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Art
2017.03.27

花鳥画で世界を魅了した“渡辺省亭”の展覧会が加島美術で開催中!!

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洒脱な構図と精緻な筆致で独自の様式を確立した孤高の絵師

明治から大正にかけて、主に花鳥画の分野でその才能を発揮した絵師が渡辺省亭(わたなべせいてい)です。省亭は、16歳で狩野派や花鳥画の作風を得意とした菊池容斎(きくちようさい)に入門。画家としての道を歩み出しました。彼は同時に幕末、明治に蒔絵や絵画に類い稀な才能を発揮した柴田是真(しばたぜしん)を崇敬。是真の洗練された美意識と洒脱な感性に多いに影響を受けるとともに、独自の技と様式美を模索。特に花鳥画の流麗さにおいては他の追随を許さないと、画壇で高い評価を受けるようになるのです。
 
また、明治11(1878)年には日本画家として初めて渡仏し、ドガやマネといった印象派の巨匠と交流。彼らに大きな影響を与えた存在だったことは、日本ではあまり知られてはいません。帰国後は七宝家(しっぽうか)の濤川惣助(なみかわそうすけ)とともに無線七宝の技を編み出し、迎賓館赤坂離宮「花鳥の間」には現在でもその作品が飾られています。

晩年に画壇と距離を置いたこともあり、死後は回顧される機会がほとんどありませんでしたが、その作品のクオリティの高さ故、近年再評価されはじめ、いま再び注目を浴びる存在となっているのです。

自然界の一瞬を画面に的確に定着できた希有な画力

鴨の雌雄は春の繁殖期になると、羽色の違いがより明確化し、特に雄は頭部の緑色がより華やかに変化します。こうした自然の変化を細やかに観察した省亭らしい配色が特徴の一作で、つがいの鴨が羽ばたく一瞬を的確に捉えています。
スクリーンショット 2017-03-27 10.13.48『雪中之鴨図』一幅 絹本着色 149.0×70.0㎝ 明治時代 個人蔵

精緻で端正な筆づかいが洗練された作品を生み出す

淡いグリーンで、すっくと天に向かって一直線に伸びる青竹が印象的です。吉祥のシンボル「松竹梅」を彩色で表したものは省亭の中でも珍しい。繊細で力強い筆致の描写は、卓越した画力があってはじめて実現し、筆の確かさが伝わってきます。
スクリーンショット 2017-03-27 10.18.18『松竹梅』一幅 絹本着色 137.0×49.0㎝ 明治時代 

デザイン性に満ち溢れた洒脱な構図が見どころ

黄色く色づいた楓とピンクが印象的な牡丹の色の対比、さらにはそこにとまる鳩と雀の大小の対比が、双幅という形式の中で絶妙な構成を見せています。花鳥の作家と呼ばれるにふさわしい画題であり、デザイン性に長けた省亭の感性が光る一作。
スクリーンショット 2017-03-27 10.22.14『紅楓鳩・温牡丹』双幅 絹本着色 各116.0×41.0㎝ 明治時代

華やかで麗しい花鳥画が省亭の真骨頂

牡丹は仏界に咲く高貴な花であり、古来「富貴の花」「百花の王」とも言われ、美の象徴とされてきました。その牡丹を気品溢れる線と色合いで描き出した、省亭花鳥画の真骨頂とも言うべき傑作。落款から、明治26年6月に制作されたことがわかります。
スクリーンショット 2017-03-27 10.24.26『牡丹に蝶図』一幅 絹本着色 143.0×69.0㎝ 明治26(1893)年 個人蔵

100回忌を記念して“渡辺省亭”の展覧会が加島美術で開催中!!

今年4月2日に100回忌を迎える明治期の日本画家・渡辺省亭。フランス印象派の画家たちに、賞賛をもって迎えられたというその美と技の高みは、日本ではすっかり忘却の彼方に追いやられてしまっていますが、再評価の機運を高めようと100回忌を記念した回顧展の開催が決まりました。これに併せて作品を所蔵する東京国立博物館や山種美術館をはじめとする都内の複数の美術館でも、渡辺省亭の作品の展示が行われるというから要注目!!

「SEITEI 蘇る!
孤高の神絵師・渡辺省亭展」

会期/2017年3月18日(土)〜4月9日(日)
会館時間/10時〜18時
※会期中無休
観覧料/無料
※会期中展示替えあり
会場/加島美術1F・2F展示スペース
住所/東京都中央区京橋3-3-2 地図