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2017.12.26

上村松園が描いた女性たち。美しいきものを見るだけでもキュン!

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美人画の巨匠、上村松園(うえむらしょうえん)。明治後期から昭和初期にかけて、次々と美人画の傑作を世に送り出し、女性で初めて文化勲章を受章しました。松園が描くきもの姿の女性は、高貴でしとやか。その秘密は、美しい日本女性の風俗をきちんと描き残しておきたい、という松園の強い意志にありました。今回は、清澄な印象に満ちあふれている作品7つをご紹介します。

降りしきる真っ白な雪の中を行く女性

上村松園

「牡丹雪」昭和19(1944)年作 70.5×86.5㎝ 山種美術館蔵

右の女性の背中は、ふんわりとしたライン。数枚の綿入れを重ねているのだろう。袂に入れた手で傘の柄をつかむしぐさも、襦袢の赤がのぞく様子も、女性らしさを熟知する松園ならではの心憎い表現。帯は表が麻の葉柄、裏は黒繻子。異なる布で仕立てたこれを昼夜帯(ちゅうやおび)と呼び、町人女性に愛用された。

天女のような雰囲気を思わせる令嬢

上村松園* EP10910 V3

「序の舞」昭和11(1936)年作 233.0×141.3㎝ 東京藝術大学大学美術館蔵 重要文化財

上村松園の代表作「序の舞」は、令嬢の華やかな舞い姿。総絞りの帯揚げをふっくらと見せ、半襟は菊柄の変わり織り。立て矢系に大きく結った帯も素敵。大振り袖姿からは品格がただよう。

よそゆきのきものを着た母娘の微笑ましい姿

上村松園

「秋の粧(よそおい)」昭和11(1936)年作 162.7×57.6㎝ 西宮市大谷記念美術館蔵

大ぶりな三ツ割梅の女紋を配したお出かけ用のハレのきもの。このふたりは同じ紋なので母娘の関係であることがわかる。眉を落とした母は龍を織り出した前帯(結び目を前にして帯を締めた)の姿で、娘の帯も朱地に向かい鳳凰柄。ともに格式の高いもの。

月の出を待ち望む涼やかな横顔

上村松園

「待月(たいげつ)」昭和19年(1944)年作 73.0×86.0㎝ 足立美術館蔵

ほおづえをついて、おすまし顔で空を見上げる「待月」。紗のきものの下に、ほんのりと浮かび上がる紅白の釘抜き繫ぎ模様の襦袢こそ、日本的な透かしの美学。水色の絞りの帯は、流水に楓の模様。長襦袢の袖口と襟の赤、そして唇の紅のアクセントが、女性の華やぎを表現する。

画業を支えてくれた母・仲子への追慕作品

上村松園

「青眉(せいび)」昭和9(1934)年作 75.0×81.0㎝ 吉野石膏株式会社蔵(天童市美術館に寄託)

江戸後期から明治初期にかけて、子供を産んだ女性は眉を落とす習慣があった。本作「青眉」は、花盛りの娘とはまた違う、母の美しさを描いたもの。麻の葉の半襟の襦袢と格子柄の単衣を着た上に、黒の掛け襟をつけた千筋のきもの姿がどこか優しい。

働く女性の清楚なたたずまい

上村松園

「晩秋」昭和18(1943)年作 178.7×87.0㎝ 大阪市立美術館蔵

縁側で障子の破れた穴を直す女性を描いた「晩秋」。女性の髪型は、明治以降の京都独特のかたちで、若い女性が好んだ「粋書(すいしょ)」と呼ばれるもの。黒の掛け襟をつけた無地のきものに、青磁色の博多織の昼夜帯を洒脱な角出しに結び、帯締めで留めている。淡紅色の襦袢が慎ましい。無地の強さを実感。