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桜の青葉が入手できる時期だけの味
菊家の「水ようかん」
江戸小紋や縞の着物を洒脱に着こなす女将・秋田隆子さんが接客を担当。菓銘を筆で書くのも女将の仕事で、流れるように「水ようかん」と書かれた短冊は、都会を歩く人の目を涼ませています。さて、この水ようかんで注目すべきは、なまめかしいほどの赤みを帯びた小豆の色! 「うちのはよそさんより、あんが濃いですよ。懐紙にのせられる固さは欲しいし、ひとつで満足いただきたいので」。なめらか、かつ濃厚なあんの質感。官能的な舌触りがあってこそ、スパッとした切り口とのギャップが面白い。
長男・祥秀(よしひで)さんに経営を、次男・祥典(よしのり)さんに製造を委ねつつもあん炊きは隆子さんの夫・俊典(としのり)さん(80歳)が今も担当。俊典さんは二代目根津嘉一郎(ねづかいちろう)をはじめ、そうそうたる茶人から手ほどきを受けたそう。息子たちにもその心は引き継がれています。
角の立った美しさは向田邦子好み
店舗情報
菊家 きくや
住所:東京都港区南青山5-13-2 9F
電話:03-3400-3856
営業時間:9時30分~17時(売り切れ次第閉店) 日曜・月曜・祝日休
●お取り寄せができます。小ケース(約4人前)1,430円が発送可。
撮影/石井宏明 構成/藤田 優、後藤淳美(本誌)本記事は雑誌『和樂(2021年8・9月号)』の転載です。
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