かわいい禅画・仙厓さんの人気が止まらない!
『朧月夜図』 19世紀(80代) 永青文庫【第1期展示】
仙厓さんのミラクル・ワールドを永青文庫で!
ひと足早く出光美術館で始まった「大仙厓展 ―禅の心、ここに集う」で、江戸時代の禅僧・仙厓(せんがい)が描いたゆるカワな絵が大人気を博しています。それに続いて永青文庫で10月15日からユニークな展覧会「仙厓ワールド」が開催されます。※会期は終了しました
『龍虎図』 19世紀(70代前半) 永青文庫【第1期展示】
江戸時代中期、博多・聖福寺(しょうふくじ)の住持(じゅうじ)を務めた仙厓義梵(ぎぼん)は、民衆に禅を教えるために、ユーモアに富んだ「禅画」を数多く残しています。その絵はまるで現代のヘタウマなイラストのようで、昔のものとは思えないほど新鮮で、まさにゆるカワ。日本美術史上においては異質ながら、親しみやすさで人気急上昇中です。
永青文庫ならではの珠玉の仙厓コレクション
左/『人形売り図』 19世紀(50代~60代)【第1期展示】、左から2番目/『武渓老師安居図』文政5年・1822年(73歳)【第1期展示】、左から3番目/『寒山拾得図』19世紀(50代~60代)【第2期展示】、右/『老子出関図』文化13年・1816年(67歳)【第3期展示】 すべて永青文庫
永青文庫には設立者・細川護立による有数の禅画コレクションがあり、禅画におけるもうひとりの大スター・白隠の作品がとくに有名ですが、実は100点以上もの仙厓作品を所蔵していることはあまり知られていないかもしれません。
『狗子仏性図』19世紀(50代~60代) 永青文庫【第2期展示】
仙厓の一大コレクションで知られる福岡市美術館副館長の中山喜一朗氏の監修のもと、永青文庫が所蔵する仙厓作品のすべてを改めて調査。展覧会「仙厓ワールド」でその成果を、なんと4期にわたって一挙公開する初の試みです。
仙厓さんがもっと好きになる「仙厓ワールド」
『虎図』19世紀(70代後半) 永青文庫【第2期展示】
仙厓の禅画は、素朴な表現やゆるカワな脱力系の筆致で、とても身近に感じられますが、絵の奥には実は、仙厓独自の禅の哲学が込められています。それを現代に伝えるため、「仙厓ワールド」展では作品の横に楽しいひと言コメントを掲示。仙厓が人々に説いた禅の心をわかりやすく教えてくれると同時に、納得したり、感心したりしながら、仙厓ワールドの奥の奥へ誘ってくれます。
『野雪隠図』19世紀(80代) 永青文庫【第3期展示】
そして、現存唯一の仙厓の襖絵(現在は掛軸)をはじめ、ユニークな画題の作品など、永青文庫でしか見られない貴重な作品がそろっているのも見逃せないポイント。また、禅画のみならず、仙厓が愛用した朝鮮の茶碗のほか、アジアの素朴な器、小さくて愛らしい香合、中国・明清時代の硯などの文房具が展示されていて、墨の文化にまで触れることができるのも「仙厓ワールド」展ならでは。