禅における「円」「円相」についてご紹介。そもそも禅って何? という方は、こちらの記事からどうぞ。
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ザ・ZEN対決!テーマは『円』
「円」は空、風、火、地を含んだ世界全体を表しているとされていますが、悟りの境地を説明したり、文字で表現したりすることが禁じられている禅において、「円」は悟りや真理の象徴で見た人の心を映し出すものでもあるのです。単純明快な形でありながら、最も理解することが難しい。そんな「円」を高僧や禅画の名手はどのように表現したのでしょうか。
沢庵宗彭筆・自賛
(たくあん そうほう)
大徳寺の住持となるものの3日で辞したという逸話を残し、漬物にも名を残す沢庵和尚。端正に描かれた円や賛の書は見事なもので、完全無欠の世界がそこに…。禅を極めた名僧は手書きとは思えない完璧な円を残しました。
沢庵宗彭筆・自賛『円相像』
(たくあんそうほう えんそうぞう)
一幅 絹本墨画
江戸時代 正保2(1645)年
145.6×44.9㎝
所蔵:大阪 南宗寺
仙厓義梵(せんがい ぎぼん)
賛は「これくふて御茶まいれ」これを食べてからお茶にしよう。ということはこの円は餅?饅頭?悟りを表す円を食べるとどうなるのでしょうか。仙厓ならではの機知に富んだ円相の代表格です。
仙厓義梵『円相図』
(せんがいぎぼん えんそうず)
一幅 紙本墨画/江戸時代(19世紀前半)/37.0×49.4㎝/所蔵:福岡市美術館
仙厓からはもう一作品!
未完成の円は秋の夜に輝く月。仙厓が80歳代になった断筆前の作とされ、得意とした滑稽見(こっけいみ)を抑え、しみじみとした趣で人生を振り返っているかのようです。
仙厓義梵『一円相(仲秋明月)画賛』
(せんがいぎぼん いちえんそう ちゅうしゅうめいげつ がさん)
一幅 紙本墨画/江戸時代(19世紀前半)/40.6×56.7㎝/所蔵:出光美術館
白隠慧鶴(はくいん えかく)
白隠の円相図はまさに見る人の心を映す鏡のよう。賛はなんと遠州浜松(えんしゅうはままつ)の茶摘み歌。家族に対するメッセージを読み取ることはできますが、はたして白隠の真意は…
一幅 紙本墨画/江戸時代(18世紀)/46.8×55.6㎝/所蔵:永青文庫
仙厓、白隠、沢庵の『円』が2016年開催の展覧会に展示されていました。
●仙厓の『円相図』『一円相画賛』
大仙厓展–禅の心ここに集う–
会場)出光美術館 地図
会期)2016年10月1日(土)〜2016年11月13日(日)
※『一円相(仲秋明月)画賛』『円相図』の
展示期間は10月1日〜10月30日まで ※終了
入館料)一般→1000円/高・大生→700円/中学生以下→無料
※中学生以下は保護者の同伴が必要です。
休館日)毎週月曜日
●白隠・沢庵の『円相図』
禅–心をかたちに–
会場)東京国立博物館 地図
会期)2016年10月18日(火)〜2016年11月27日(日)
※白隠と沢庵の『円相図』の
展示期間は11月8日〜11月27日まで
入館料)一般→1600円/大学生→1200円/高校生→900円
※中学生以下無料
※20名以上で団体となり当日料金より300円引き
休館日)毎週月曜日