浮世絵の凄さ、ひいては日本美術の凄さを世界に轟かせた葛飾北斎。富士山や大波の絵は海外へ渡り、ジャポニスムやアールヌーヴォーの波を巻き起こしました。では、そのとき北斎が世界の人々に与えたのは、どんな衝撃だったのでしょう。
和樂10・11月号では、『波』『瀧』『山』の三大名画を課題に、分析と妄想で、「この絵を見たとき世界は…」を考察し、和樂流北斎研究を行っています!
『波』では、証人として、ムンクやゴッホが登場。ヨーロッパを驚かせた『瀧』は、卓越した北斎のアイディアと、世界の巨匠たちの作品を比べています。
研究の一部をご紹介!
北斎の『山』を見て「美とはなんだ?」を定義
『冨嶽三十六景 山下白雨』横大判錦絵 天保1〜4(1830〜33)年ごろ 大英博物館
画面いっぱいに富士山の姿を描いた『山下白雨』には、山を魅力的に見せるための美学と知識と技巧がぎっしり。山裾では雷光、山頂は快晴という、きわめて印象的なこの名画から、北斎一流の美意識を読み解きます。
『美』とは破掟!
デヴィット・ボウイ『アラジン・セイン』発売元:ワーナーミュージック・ジャパン
調和を打ち破るように描かれた稲妻の閃光。それは、型通りの美しさよりも奇想や刺激に惹かれ続けた北斎の、強い美意識の表れです。そのDNAを、唯一無二の美学を貫いたロックスターに見るのは強引でしょうか。人は破綻の美がもつ引力に抗えないのです。北斎のアヴァンギャルドな美学は21世紀をも照らします。