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2017.09.25

代表作品を一挙公開!安藤忠雄、初の大規模展覧会

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既成概念を打ち破る、斬新で美しい建築を次々と世に送り出してきた安藤忠雄さん。そんな希代の建築家である安藤さんの、半世紀に及ぶ「挑戦」の歴史とその軌跡を辿る展覧会「安藤忠雄展–挑戦–」が、国立新美術館で2017年12月18日(月)まで開催中です。今回は、その概要と見どころをご紹介。

「挑戦」の歴史が今よみがえる

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大胆なアイディアと斬新な造形力。コンクリート、鉄、ガラス、さらには木を自在に使い、光、水、風を自由な発想で取り込みながら、世界中に数多の作品を築いてきた安藤忠雄さん。

スクリーンショット 2017-09-06 14.26.49事実上のデビュー作「住吉の長屋」(1976年、大阪府大阪市、撮影/新建築社 写真部)。安藤建築の原点。

1960年代後半から建築設計活動を開始した安藤さんは、「都市ゲリラ」と称し、都市において敢えて「余白の空間」を与えることで、人の集まる場を創造。その挑戦のプロセスは、2000年以降の「表参道ヒルズ」や「東急東横線渋谷駅」などの大規模プロジェクトへと続く礎となりました。また、安藤さんの名声を一躍世に知らしめた原初的作品「住吉の長屋」(1976年)は、光と影、打ち放しコンクリート、単純な幾何学的造形、自然との共生というキーワードに象徴される安藤建築の哲学がすべて凝縮した建築として、今もなんら変わることのない輝きを放っています。

s_04:直島 ベネッセハウス直島における安藤建築の原点「直島ベネッセハウス」(1992/1995年、香川県直島町、撮影/松岡満男)。直島には安藤さんの建築作品が7つある。

今回の展覧会では、こうした安藤さんの初期作品を皮切りに、やがて活躍の場を世界へと広げ、アジア、ヨーロッパ、アメリカなどの各国で高い評価を獲得した意欲的な作品、さらには30年に及ぶ香川県の直島でのアートプロジェクトの取り組みを、模型やスケッチ、ドローイングなど、総計270点余の展示物で紹介。

その空間デザインもまた、安藤さん自身が手がけています。元プロボクサーにして独学で建築を学ぶという、異色の経歴でも知られる安藤さんの、半世紀におよぶキャリアの集大成をつぶさに体感できる展覧会として大注目です。

展覧会の見どころをご案内

03:直島の一連のプロジェクト(香川県直島町) 模型直島での一連のプロジェクト(香川県直島町)は、模型と映像を交えた空間インスタレーションで再現展示する。

展覧会場には、安藤さん直筆のスケッチやドローイングなどの建築資料270点余が展示されるほか、「光と影」を象徴する建築であり安藤建築のアイコンともなっている「光の教会」を、野外展示場で原寸大で再現。現在の安藤事務所のアトリエ再現とともに最大の見どころとなっています。また、瀬戸内海の直島を「アートの島」として再生する文化プロジェクトを俯瞰できる空間インスタレーションも注目。安藤建築のすべてを体感できる貴重な機会となりそうです。

「安藤忠雄展–挑戦–」

公式サイト

安藤忠雄が考える「日本の美」

和樂では創刊以来、幾度となく安藤さんの「日本美」に対する想いを紹介してきました。2017年10・11月号では、初の大規模展覧会を控え、世界に名立たる安藤忠雄さんが考える「ニッポンの美」とは何か、各界の第一人者たちとの対談を交えて、過去の和樂で安藤さんが語ってきた「日本の美」にまつわる名言、至言を改めてご紹介しています。

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