釈迦金棺出現図 国宝 11世紀 絹本着色 一幅 160.0×229.5cm 京都国立博物館蔵 展示期間:1月2日~1月28日
東京国立博物館では毎年正月に、吉祥画題の作品や国宝などを特別公開する「博物館に初もうで」を開催する。2018年の注目作は本館2室の「釈迦金棺出現図」だ。
涅槃に入る前にひと目会おうと、天上界から駆けつけた母の摩耶夫人のために、釈迦が神通力で棺の蓋を開け、姿を現した場面を描く。この画題を単独で描いた作例はほかになく、貴重である。
また、本作は平安仏画のなかでも、まれに見るほど色彩が豊か。朱、群青、緑青、白など一般的な色のほかに、中間色や金銀も用いる。さらに、絹の裏から彩色する「裏彩色」で発色をよくし、金箔を細く切って文様を表す「截金」の技法で装飾する。色彩と金で華やかに描き出された釈迦の奇跡の情景である。