2018年3月11日まで、東京国立博物館平成館で特別展「仁和寺と御室派のみほとけ―天平と真言密教の名宝―」が開催中です。
十一面観音菩薩立像 国宝 8~9世紀 木造 素地 像高99.4cm 道明寺 大阪 展示期間:展示中~3月11日
白檀などの香木を素材とし、木目の美しさを生かした無彩色の仏像を檀像という。インドで始まり、中国の隋・唐時代にさかんに造られた。日本にも将来され尊ばれたが、奈良時代末には、ヒノキやカヤなどの代用材を用いた日本製の檀像風仏像が造られるようになる。大阪・道明寺の十一面観音菩薩立像はその1例。瞳に用いた黒い石の珠、左右に垂れる髪、胸の飾りなどに、唐時代の檀像の特徴が見られる。いっぽう、引き締まった肉身、ふっくらと柔らかそうな頰、複雑に絡まったなめらかな衣文など、質感の違いまで見事に伝わってくる。中国の仏像様式と、日本仏師の高度な技術が融合した日本製檀像の頂点といえる。