奈良大和路の古刹、聖林寺。十一面観音立像はそのお堂に安置されています。化仏(けぶつ)とは、頭上の仏さまのこと。本尊は像高209.1㎝のため、化仏のお姿を正面から見ることは不可能に近いといえます。和樂では、化仏を真正面から撮影することに成功! ひとつひとつは大人の握りこぶしくらいの大きさですが、この美しさといったら…ご住職さまでさえ見たことがなかった、奇跡のショットです。
人々を見渡す11のお顔
苦しんでいる人、悩んでいる人を見つけやすいよう頭上に11(あるいは10)の化仏をのせ、全方位を見つめる観音菩薩。人々の苦悩に応じて33の異なった姿に変身し、10種類の現世での利益と、4種類の死後の幸せを与えます。
聖林寺十一面観音立像 国宝 天平時代(8世紀後半)木心乾漆造 漆箔
奈良盆地を見下ろす小高い山の中腹に建つ、聖林寺の十一面観音立像は、観音菩薩が人々を救うため、仮の姿をとって現れた仏です。天平仏の最高峰とも称されるその仏像の化仏は、いったいどんなお顔で私たちを癒し、励まし、ときに叱責するために見渡してくれているのでしょうか。
聖林寺 十一面観音化仏 ご尊顔コレクション
穏やかな表情で善良な人に楽を施す菩薩面。怒りの表情で邪悪な人間を戒める瞋怒面。牙を剝きながらも清らかな行いを励ます狗牙上出面。頂上には観音菩薩自身の化身である頂上仏面。そして背面には、悪行や煩悩の愚かさを笑い飛ばす暴悪大笑面が1面あったはず。10の化仏のうち3面は消失していますが、頂上仏を含む8面それぞれのお顔といったら…。
頂上仏面(ちょうじょうぶつめん)
瞋怒面(しんぬめん)
菩薩面(ぼさつめん)
狗牙上出面(くげじょうしゅつめん)
聖林寺の観音堂で、ガラスの向こうに安置されている十一面観音立像の化仏を、正面からこうして拝見できるのは史上初!どうぞ、じっくりご覧ください。