2018年10月8日まで、根津美術館で開催中の「企画展 禅僧の交流─墨蹟と水墨画を楽しむ」。現在、国宝「布袋蔣摩訶問答図」を公開中です。
布袋蔣摩訶問答図 因陀羅筆 楚石凡琦賛 国宝 中国・元時代(14世紀)紙本墨画 一幅 35.8×48.5cm 根津美術館 東京 展示期間:展示中~10月8日
布袋の並み外れた力を示す水墨画
因陀羅という伝記不明の画僧が中国・元時代に描いた水墨画。四明山(浙江省寧波)の在家の禅修行者・蔣摩訶は、布袋とともに遊行していた。ある日、川で水浴中に、布袋の背中に眼があることに気づき、その尋常ならざる様子に畏れ、手を合わせたという。本図はその場面を描いたものと考えられている。人物の顔を細かく、衣の襞を粗く描く点は、既存の水墨人物画の描法に倣っているが、濃墨を背景や衣服など画面全体に用いる点は、当時としては珍しい。禿筆という、先の擦り切れた筆で引かれた、かすれた線も見どころである。
◆ここで見られる!
根津美術館 公式サイト