小さな器が内包する豊かな美
京都の街中を散策すると、あちこちで骨董店に出合います。そんな一軒に「何か使える器でも」と立ち寄ると、さすが文化や芸術が花開き育った京都。藍一色で描かれた染付、赤や緑、金などにぎやかな色絵もの、白磁や青磁、各地の焼物と、陶磁器だけを見てもその種類はさまざまで数も豊富です。「何か」と漠然とした気持ちでは、視点も定まりません。
〝蔵出し〟と呼ばれる品を扱う「古美術やかた」。
そこでおすすめなのが、愛らしい豆皿を見つける骨董店めぐり。八寸皿やなます皿も日常的に使えますが、旅先でとなると荷が重いものです。豆皿は小さいので持ち帰りやすく、お値段もかわいらしい。その小ささゆえ異なる種類の食器とも組み合わせやすい、一枚だけでも数枚使っても楽しい、食卓だけでなく用途も自在、さらに収集するのに場所を取らない…と、骨董入門の品として具合がいいのです。
「古美術観山堂」では、3000円程度のお手ごろな豆皿も豊富。
染付に梅の花を色差しした豆皿や、藍色が美しい染付、色の組み合わせが雅な色絵など、絵付けものもさまざま。初心者には、染付や白地の多い色絵が使いやすい。同じ手のものが何枚もある場合は、「これ!」とピンときたものを。店の人に声をかけ、安全に並べられる場所で見比べて。手荷物は邪魔にならない場所に置かせてもらうのも、骨董店でのマナー。
「道具屋 広岡」
一枚ずつ手に取り裏も眺め見比べて…と、骨董探しは時間に余裕をもって。手のひらにすっぽり収まる、小さな小さな豆皿。次回の京都では、そのかわいらしい姿の奥深くに潜む、日本人の豊かな美意識に出合いませんか?-和樂2015年10月号より-
-撮影/篠原宏明-