2018年9月2日まで、サントリー美術館で「琉球 美の宝庫」展が開催中。今回の展覧会では、琉球王国時代に花開いた独自の美を、染織、絵画、漆芸から見ていくことができます。
色鮮やかな染織の美品ぞろい
第1章 琉球の染織 展示風景
琉球の染織といえばまず思い浮かぶのが紅型(びんがた)。紅型とは1枚の型紙を使って染めていく、沖縄を代表する伝統的な染色技法のひとつです。鳳凰や龍、牡丹、松竹梅など、様々なモチーフが色鮮やかに表現されました。第1章では、そんな琉球王国の染織を特集。美しい色彩世界とデザインを楽しめます。
なかなか見られない琉球絵画がずらり
第2章 琉球絵画の世界 展示風景
琉球王国の絵画は、第二次世界大戦によって大きな被害を受け、その全容は謎に包まれています。第2章では、主に1609年〜1879年に描かれた作品を「琉球絵画」として紹介。琉球の絵師たちは中国に留学して絵画を学んでいたため、作品からは日本絵画より中国絵画に近い印象を受けます。琉球絵画をこれだけまとめて見られるのは、東京で初といっていいほどの出品数。貴重な機会なので、ぜひじっくりと鑑賞してみてください。
琉球国王の冠がすごい!
国宝 琉球国王尚家関係資料 玉冠(付簪)18~19世紀 那覇市歴史博物館【展示期間:8/22~9/2】
表面を黒縮緬(ちりめん)で覆い、その上に金、銀、珊瑚(さんご)、水晶、瑪瑙(めのう)、軟玉の7種類の玉(ぎょく)が24個ずつちりばめられているこの作品は、琉球国王の冠です。第3章では、1470年から琉球王国を治めていた尚家(しょうけ)、特に第二尚氏に継承されていた品々や、王家、首里城にまつわる貴重な資料を展示。「琉球王国尚家関係資料」として国宝に指定されている作品も、数多く紹介しています。
細やかなテクニックでつくられた漆芸が一堂に
第4章 琉球漆芸の煌き 展示風景
第4章で紹介されているのは、沈金や箔絵、螺鈿(らでん)など専門的な技法を組み合わせて制作された琉球の漆芸作品です。中でも、刀で文様を彫り、その溝に漆をすり込んで金箔を接着させる沈金や、貝殻の内側の光沢を持つ部分を薄く切り取り、漆器の表面にはめ込む螺鈿の技法でつくられた作品は、きらびやかで美しく魅了されます。
葛飾北斎の浮世絵も!
琉球八景 葛飾北斎 19世紀 公益社団法人 川崎・砂子の里資料館
中国の伝統的な画題である瀟湘八景(しょうしょうはっけい)に倣って北斎が描いた琉球の景勝地。北斎は実際に琉球を訪れたわけではなく、「琉球国志略」の挿図を参考にしました。原図にはない月や船、琉球では見られない雪などを加えた、北斎独自の作品。全8図のうち、前期・後期で4図ずつ展示されます。
実はサントリー美術館には、沖縄に関する展覧会を何度も行い、その美しさを追求した歴史があります。2018年は、1968年に沖縄に関するサントリー美術館初の展覧会「秋の特別展 沖縄の染織」から50年という節目。時代を超え現代の沖縄にも受け継がれる琉球王国の美を、ぜひこの機会にお楽しみください。
「琉球 美の宝庫」
会期 2018年7月18日〜9月2日
会場 サントリー美術館
公式サイト