ROCK 和樂web
2023.11.03

てんてこまいってどんな舞? 類語も含めて意味と由来を探ってみた

この記事を書いた人

このところ、自宅がしっちゃかめっちゃかです。そしててんやわんやです。で、てんてこ舞いでめちゃくちゃです。
頭の中がこんな感じなのは通常運転ですが、今のこれはまた別件なので早いところ何とかしないといけません。

ところで、和樂webの記事ジャンル並みにカオスな状況にあって、ふと思ったのです。「しっちゃかめっちゃか」って、「めちゃくちゃ」って、どういう意味なんだろう? 「てんやわんや」って何か食べ物のお店? 「てんてこ舞い」ってどんな舞?

己の大パニックを収めるべく、ちょっと冷静になって意味と語源を探ってみました。
さあ出でよ、小学館『日本国語大辞典』!(こんなこと言ってて本当に冷静なんだろうか……)

「しっちゃかめっちゃか」とは?

「しっちゃかめっちゃか」の意味は、

物事の混乱したさま。めちゃくちゃ。

……あれ? 語源が出ていません。別の辞書にも掲載はなく、ネット上の諸説はいずれも出典不明。有力な語源説は今のところないのかもしれませんね。

「めちゃくちゃ」とは?

「めちゃくちゃ」の意味は、

(1)まったく筋道のたたないこと。前後を考えずに事を行なうこと。また、そのさま。めちゃめちゃ。めちゃ。むちゃくちゃ。
(2)どうにもならないほどこわれること。まったく悪い状態になること。また、そのさま。めちゃめちゃ。めちゃ。むちゃくちゃ。
(3)程度が並はずれてはなはだしいさまを表わす語。めちゃめちゃ。むちゃくちゃ。

なお、

「くちゃ」は語調を整えるために添えたもの。「滅茶苦茶」「目茶苦茶」はあて字

だそうです。

「くちゃ」に意味がないのなら、「めちゃ」は何なのか。ということで、今度は「めちゃ」の項目へ。

「むちゃ」の変化したものか。

何かこう、たらい回しされている感があるわけですが、めげずに「むちゃ」へ。

(1)仏教語ムサ(無作)から出た語か〔国語音韻論=金田一京助〕。仏教語無作から出た語で、中世から近世にかけて行なわれた副詞ムサトのムサの転か〔上方語源辞典=前田勇〕。
(2)来客に茶を出さないのは常識外れとされたところから〔ことばの事典=日置昌一〕。

なるほど。ようやくたどり着きました。

ちなみに、「めちゃくちゃ」をさらに強くした「ちゃちゃめちゃくちゃ」というのもあるそうなのですが、解説欄の同義語一覧は以下の通り。

ちゃちゃむちゃ。ちゃちゃむちゃく。ちゃっちゃむちゃ。ちゃっちゃむちゃく。ちゃっちゃむちゃら。ちゃちゃむちゃこ。ちゃちゃむちゃく。ちゃちゃめちゃくちゃ。ちゃちゃほうちゃ。ちゃちゃもちゃ。

ゲシュタルト崩壊しそうです……。

「てんやわんや」とは?

「てんやわんや」の意味は、

各自が勝手にふるまって騒ぎたてること。大勢が先を争って混乱すること。また、そのさま。

語源もすっと出てきました。

各自が勝手にの意の「てんでん」と、むちゃくちゃの意の「わや」または「わやく」が結合してできたもの

予想に反して、食欲系はまったく関係ありませんでしたぁ!

「てんてこ舞い」とは?

「てんてこ舞い」の意味は、

(1)あることの準備や対処のため、きわめてあわただしく立ち回ること。
(2)喜んで小踊りすること。
(3)うろたえてたち騒ぐこと。あわてること。

へええ、喜んで小踊りする、という意味もあったんですね!

語源は、

「てんてこ」は太鼓の音。太鼓の音に合わせて舞うこと。

だそう。踊らされて主導権を失い、きりきり舞いしている、といったところなのでしょうか。
なお、漢字で「天手古舞」と書くこともありますが、「天手古」は当て字なのだそう。

あ、「きりきり舞い」は

片足をあげて体を勢いよくまわすこと。また、そのように、忙しくあわてふためいて立ち働いたり、困難にぶつかってあわてたりすること。てんてこまい。

だそうです!

以上、現場からお伝えいたしました!

参考文献:
・『日本国語大辞典』小学館

アイキャッチ画像:岳亭春信『かやう六番つづき』メトロポリタン美術館より

書いた人

人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。