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Gourmet
2020.09.18

冬に大活躍のあれを使うと…!3日でできちゃう自家製納豆!

この記事を書いた人

家にいる時間が増えた今、パンを焼き始める人が増えました。一時はスーパーから小麦が消え、未だ私のインスタには、朝からパンを焼くママ友たちの姿が、アップされ続けています。

せっかくの機会、私も何かいちから作ってみたい。「自炊は和食派」なので、できれば和食に合うものを。でも定番の味噌や糠漬けは手間がかかって続かなさそうだな……。

そんな中、「3日で完成する自家製納豆セット」があるという情報を入手。我が家は全員納豆好きのため、早速取り寄せて挑戦することにしました。

発酵食品作りは初めての私。「きっとこの後、大変な作業が待っているに違いない」と予想をし、心構えをして取り組んだのです。

しかし、実際の工程はとってもシンプルで簡単。特別な道具も揃える必要はありません。

煮豆をセットし、あとは納豆菌たちにお任せしつつサポートしながら見守るだけ。3日も経てば美味しい自家製納豆は完成するのです!

老舗納豆菌メーカに教わる納豆づくり

「宮城野納豆菌製造所」の納豆製造体験セットを使って本格的な手作り納豆に挑戦!

宮城県仙台市で大正9年(1920年)より納豆菌と納豆を製造し続ける「宮城野納豆菌製造所」。今回お取り寄せしたこの「納豆製造体験セット」。納豆に必要な豆、納豆菌、パック、レシピが揃っています。

この他に、追加で以下のものを用意すれば準備はOK。

・カイロ
・バスタオル
・保温バッグ
・圧力鍋

作り方は簡単な6ステップ

納豆づくりは下記の通り、大きく6工程に分けられます。

①豆洗い→②浸漬→③蒸煮(じょうしゃ)→④接種→⑤室入れ→⑥追熟

分量や規模は違えど、基本的に宮城野納豆製造所で製造されているステップと同じプロセスです。家にいながら、納豆工場の工程を楽しむことができるのもこのキットの魅力のひとつ。

それでは早速作っていきましょう。

①豆洗い ②浸漬

まずは、大豆をよく洗って水に浸します。(夏は12時間、冬は18時間くらい)

一晩浸したら、大豆を半分に切って、子葉と子葉の間に隙間がないことを確認します。

③蒸煮(じょうしゃ)

煮豆を作ります。

圧力鍋で20分、火を止めて10分ほど蒸らします。(煮豆を親指と薬指で潰してすぐ潰れるくらい柔らかく煮ます。市販の納豆を食べるイメージで硬さをチェックすると分かり易いです。)

ちなみに我が家には圧力鍋がなかったので、手持ちの鍋で5〜6時間程煮ました。途中、足し水や焦げないようチェックが必要でしたが、十分に美味しく炊くことが出来ました。

④接種

納豆菌をまぶします。

③で煮た豆が熱いうちに作業します。セットについてくる宮城野納豆菌を決められた分量に薄めて、煮豆全体にまぶします。

この量、1kgの豆に対して、ほんの10cc程。

実は納豆菌は、たくさんあれば良いものではなく、少量の菌が培養されていく過程で糸がひき、栄養分も増えて、おいしさに繋がります。というわけで、今回の分量はほんの少しで十分なのだそうです。

煮豆が2cmくらいの暑さになるように広げて整え、乾燥しないようにラップをかけます。納豆菌は、生き物なので空気が必要。酸欠にならないように爪楊枝で20箇所くらい穴を開けます。

⑤室入れ

煮豆を40度で15時間〜20時間ほど保温します。

写真のように煮豆をタオルで包み、ここでカイロが登場。カイロで挟んで保温のバックに入れればOKです! 納豆菌は、40度〜42度が活躍しやすい温度。カイロが長時間適度な温度で保温してくれるのです。

宮城野納豆さんに聞いてみると、カイロと保温バックでの室づくりを思いつくまでは、自宅での納豆づくりでは、コタツやヨーグルトメーカーなどで色々と試みていたそう。試行錯誤の末、安全で手軽なカイロでの保温が一番簡単に室を作り出せることがわかり、以来この方法を推奨しているそうです。

確かに後片付けも圧倒的に楽かも!

出来上がりはこの感じ。白っぽく、醗酵してきたことがわかります。見た目も匂いも完全に納豆! これをさらに寝かせて熟成させます。

⑥追熟

冷蔵庫で、12時間寝かせ熟成させます。

そして12時間後……ついに完成です!! この作業で味も香りも完全な納豆になりました。

早速だし醤油とねぎをかけていただきます。

スーパーで購入すればすぐですが、3日かけて作った納豆はまるで我が子のように可愛く、待っている時間のワクワク感が、味わいをより一層深いものにしてくれます。

また宮城野納豆では、納豆菌のみの販売もしています。次回は大豆以外にも、好みの豆で作ってみるのも面白いかもしれません。

納豆の始まり

私たちの食卓に、あまりにも身近な納豆。そもそもどのようにして生まれたのでしょうか? その歴史を宮城野納豆製造所の運営統括責任者・三浦 晴美さんに伺いました。

「納豆菌は、稲の根元に多く棲息しています。そのほかにも、自然界のあらゆる植物に生息していて、実は、私たちのとても身近な菌なのです。

納豆の発祥には所説あります。八幡太郎義家(源義家)の伝説で、前九年の役(1051〜62年)後三年の役(1083〜1087)の頃、奥州に遠征中、稲藁に包んだ煮豆が発酵して偶然出来たものが、その後義家や家臣たちによって各地に伝えられたという話も残されています。

しかし日本人は、古くから豆を煮て食べていました。また、稲藁も生活にとても身近な存在で、住居にもよく使われていた素材です。

おそらく文字に残らないもっと前から、『藁に落ちた煮豆が何故か糸を引いている。食べてみたら美味しかった!』ということはあったのではないか? と私は思います。」

セットのパックに詰めた手作り納豆。普段何気なく食べている納豆も、その歴史の奥深さにロマンを感じます。

100年前から作られている宮城野納豆のあゆみ

稲藁包みの納豆が作られるようになってから時は経ち、明治時代。

現北海道大学の半澤洵教授が、納豆菌を使った納豆製造を発明。初代社長三浦二郎は、半澤教授から教えを受け、大正10年より自社納豆菌の開発を開始しました。以降、納豆製造の温度調節に適した文化室の開発などを重ね、安定した納豆生産を可能にしてきました。

現在使われている宮城野納豆菌も、80年近く前に改良を重ねて開発をされたものだそう。その後純粋培養を続け大切に守られ、自社の納豆製造のほか、多くの納豆メーカーに納豆菌を卸すことを通じて、日本の食文化を支えています。

納豆菌のこれから

時代に合わせ、工場の機械化など伝統を守りながらも進化を続けてきた宮城野納豆製造所。
現在は、納豆造りだけでなく、異業種から納豆菌を使って商品開発をしたいというオファーを受けることも多いと三浦さんは語ります。

「現在は、畜産関係や水質、化粧品などの研究のためなどにも納豆菌を販売しています。異業種との取り組みは、双方が製品のレベルを高められる貴重な機会になり得るのではないでしょうか。今後も継続して取り組んでいきたいと考えています。」

その一方で、稲藁から作っていた時代の納豆に学ぶことも、まだまだあるのではないか?と感じているそう。

「あまり知られていませんが、納豆菌は稲藁だけではなく、自然界のあちこちに棲息しているもの。その辺りの葉にだって生息しているのです。

実は、拾ってきた葉でも、火を通し、煮豆を包んで室入れ追熟をすると、ちゃんと納豆が出来上がるんですよ。

そういう自然界の変わらない事実に秘めた可能性もあるのではないかとも考えています。」

毎日多くの日本人が食べている納豆。当たり前の中にもまだまだ知らない沢山の物語がありました。

ここ最近のコロナ禍で、毎日の食生活を見直した方も多いはず。

皆様も、週末、納豆菌の知られざる未来を思い描きながら、自家製の納豆づくりにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

有限会社宮城野納豆製造所

住所: 983-0047 宮城県仙台市宮城野区銀杏町4-29
営業時間: 9:00~17:00
定休日: 日曜日
公式webサイト: https://www.miyagino-nattou.com/company.html