ナカガワ小麦店
-文/和樂スタッフ輪湖雅江
(和樂のインテリア番長。建築にも造詣が深い)-
「京都はパン天国」。おいしいもの好きが口をそろえてそう言うようになったのは、ここ数年のこと。なかでも「ここの食パンは別格」と皆がすすめるのが、下鴨神社近くにある「ナカガワ小麦店」の〝トースト・モンターニュ〟だ。〝もっちり〟が好きな人にとって、ナカガワの食パンはまさに王様。カリッと焼き色をつけたトーストを嚙みしめるたびに、もっちりもっちり。新鮮な粉の香りや旨みもしっかりと感じられる。
「ご飯を主食としてきた日本人の好みにあうのは、もちっとした食感だと思います」と店主の中川恵介さん。小麦よりも米になじんでいる日本人の胃が消化しやすいよう、水分も調整しているらしい。だから、トーストしないのも旨い。厚さ1.5㎝くらいに切ると、ふるふる揺れるほどの柔らかさ。しっとりした生地に冷たいバターをかたまりでのせたり、クリームチーズ&シロップ漬けオレンジスライスで食べたりするのも、背徳感満載の幸せ。
そんな売り切れ必至のパンを求め、開店直後から続々とお客が訪れる。常連さんにはあたりまえなのかもしれないけど、店内の音楽がまず最高。私が最初に出かけたときはマッシヴ・アタックが流れていて「きゃー、この店、好きかもー」と興奮した。パンを入れる紫色の袋もかわいい。ロゴやショップカードのデザインも素敵。すべて中川さん夫妻が手がけたそうだ。なんてセンスがいいんだろう。こんなパン屋、なかなか出合えない。
ナカガワ小麦店
住所/京都市左京区下鴨松ノ木町52-1 地図
営業時間/9時~18時30分(売り切れ次第終了)
定休日/月曜、火曜