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Gourmet
2020.08.25

8月25日は「即席ラーメンの日」!てりやきにすき焼き…フランスのカップラーメンがすごすぎる

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何年か前のロンドン旅行で、現地のごはんに胃がちょっぴり疲れてしまったとき、スーパーで売っていた「カップヌードル」を手にしました。ホテルに帰り、さっそく熱湯を注いで、口にしてみると、「食べ慣れた日本の味がする」と、不思議とホッとした気持ちに。「カップヌードル」を食べて日本を思い出したことに自分でも少しびっくりしてしまいましたが、同時に、「カップヌードル」は日本の国民食なんだなぁと改めて気付かされた瞬間でもありました。

そんな「カップヌードル」をはじめとしたカップラーメンは、今やありとあらゆる国のスーパーで見かけるほど、世界的に人気があることをご存知でしょうか。そして海外には日本で馴染みのないような味のカップラーメンがあるではありませんか。私が住むフランスでは、きのこやピリ辛野菜の「カップヌードル」があるのです。海外で販売されているカップラーメンってどんな味?日本のカップラーメンとはどのように違うの?など、湧いてきた疑問を解消すべく、今回、日清食品ホールディングス広報部の方にご協力いただき、フランスのカップラーメン事情を現地からレポートします。

日清食品の創業者・安藤 百福が発明したカップヌードル。海外進出の背景とは

フランスはもちろん、今や世界各国で当たり前に販売されている日本生まれの「カップヌードル」。1971年に日本で誕生した「カップヌードル」がいかにして世界中で愛されるようになったのか、日清食品ホールディングスの広報担当者からとても興味深い話を伺いました。海外の食文化からヒントを得たという、「カップヌードル」誕生の秘話もありましたよ!

世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を世界に広めようと考えた日清食品の創業者・安藤 百福は、1966年に欧米へ視察旅行に出かけました。その際に現地で訪れたスーパーの担当者たちは「チキンラーメン」を小さく割って紙コップに入れ、お湯を注ぎフォークで食べ始めたのです。これを見て“アメリカにはどんぶりも箸もない、つまりインスタントラーメンを世界食にするためのカギは『食習慣の違い』にある”と気づいた安藤 百福は、「麺をカップに入れてフォークで食べる新商品」の開発に取りかかりました。この経験をヒントにして1971年に日本で誕生した「カップヌードル」は、お湯を注ぐだけの簡単調理で、食器も要らず、片手で持ってフォークで食べられる、それまでになかった画期的な商品でした。

その後、「カップヌードル」は海外進出を果たします。

「カップヌードル」が海外に進出したのは1973年です。米国で発売された「カップ・オ・ヌードル(Cup O’ Noodles)」はビーフ、チキン、シュリンプなどの動物性スープを使い、猫舌で麺をすすれないアメリカ人が食べやすいよう麺の長さを日本の半分にするなど、日本生まれの「カップヌードル」が世界食として広がる端緒となりました。その後、欧州では、1993年のオランダ工場設立以降、袋麺、カップ麺ともに、フランスを含むヨーロッパ諸国へと商品を展開しています。

フランス人はどのように食べる?

フランスにあるスーパーのインスタントラーメン売り場は、私が渡仏した12年ほど前に比べて面積が拡大しています。街のどのスーパーに行っても、アジア食品売り場で必ず見かけるほど! そのことからも、インスタントラーメンがフランスで人気の日本食のひとつとなっていることを実感しています。しかし、日本のような「ラーメン」という食文化が存在しないフランスで、フランス人がインスタントラーメンを食べている光景をなかなか想像できない…ですよね。一体、フランスではどのように食べられているのでしょうか。

フランスで販売されているインスタントパスタ

フランスのスーパーでは、カップラーメンと形がそっくりな、またカップラーメンのようにお湯を注ぐだけで食べられるインスタントパスタが販売されています。フランスでは、カップラーメンをエスニックなインスタント麺として、もしくはパスタやスープ感覚で食ベる方が多いようです。実際、日清食品は、フランスで販売する「カップヌードル」について、「本物のアジアの美味しさ (Authentic Asia)」を表現するためのメニュー選択や、スパイスの利かせ方などを徹底的に追求して商品開発をしているとか。

また、“お湯を注ぐだけですぐに食べられる”という手軽さが、仕事に忙しい現代のフランス人のライフスタイルにマッチしたことも、カップラーメンを食べるフランス人が増えてきている要因のひとつとも言えます。「帰宅後、ご飯の準備をするのが面倒な時に、お湯を注ぐだけでエスニックな麺を食べられるのが嬉しいね。重宝している」と、あるフランス人も話してくれました。

最近は、非常事態における保存食として、カップンラーメンをおうちにストックする人が増えたように感じます。ロックダウン中、私の住むパリ郊外のスーパーでカップラーメンが売り切れているのを何度も見かけました。「明日、何があるかわからない」という状況下において、面倒な手間なしで手軽に食べられるカップラーメンは、フランスでも保存食として浸透するかもしれません。

日本のカップラーメンとはどのように違う?

日本のカップラーメンとの違いとして、まず挙げられるのは“麺の長さ”です。ヨーロッパでは、インスタントラーメンをスープやパスタとして食べることが多く、さらに麺を啜って食べる習慣がないことから、麺が日本のものに比べて短くなっているのだそうです。実際にフランスの「カップヌードル」を食べてみると、少し啜っただけですべてが口に入りきるほどの短さでした。お湯を注いでからの待ち時間は日本のものと同じく3分。国は変わりますが、ベトナムでは、屋台の提供スピードに負けないよう、麺が1分半で戻る商品もあるのだそうです。

また、スープも現地の“おいしい”に合わせて、日本の「カップヌードル」とは異なる味付けにしているのだそう。フランスでは「照り焼き」のようなフランス人に馴染みのある日本のフレーバーや、人気のアジア食からヒントを得たピリ辛風味の「カップヌードル」が販売されています。お隣の国、ドイツでは、「アジア食」人気を背景に、“アジアン”を前面に打ち出した「カップヌードル」が販売されています。ショウガや八角など、アジア料理ならではのスパイスをきかせた、日本では食べることのできないオリジナルな味付けだそうです!

フランスで一番人気、Teriyaki Chicken !

現在フランスでは、てりやきチキン、ピリ辛野菜のほかにも、ビーフすき焼き、海老浜焼きの「カップヌードル」が販売されています。

その中でも一番人気は てりやきチキン (Teriyaki Chicken)だとか。やや甘めで、日本の「カップヌードル」に近い味がしました。


個人的に気に入ったのは、きのこの「カップヌードル」。スープ感覚で食べられるほどクリーミーですが、しっかり旨味も表現されていて、なんだか病みつきになるおいしさでした。女性に喜ばれる味わいのように思います。

焼そばの人気はクラシック


フランスでは、「カップヌードル」だけでなく、インスタント焼そばも販売されています。商品名は「焼そば」ではなく、「Soba」。毛筆体で大きく書かれたロゴが特徴的で、フレーバーはクラシック、照り焼き、チリ、焼き鳥、すき焼きなど多彩なラインアップです。日本で販売されている日清食品の「日清焼そばU.F.O.」のような皿型の容器ではなく、「カップヌードル」と同じタテ形カップ入り。お湯を入れてからの待ち時間は日本のものと同じく3分で、湯切りしたのち、ソースをかけていただきます。


クラシックは、日本の「日清焼そばU.F.O.」とかなり近い味です。日本の「日清焼そばU.F.O.」を食べたことのあるフランス育ちの私の息子は、この「クラシック」を食べた瞬間に「日本の味がする!」と興奮気味に言っていたほど。

また、フランスでは袋タイプのインスタントラーメン「出前一丁」シリーズも販売されています。

海外のカップラーメンを逆輸入!?

海外には、ときには日本人が驚くようなフレーバーのカップラーメンがあります。食べたことは無いけれど、どんな味がするのか、興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。そんな方に朗報です。日清食品は、本場の食材のフレッシュなおいしさにこだわった「カップヌードル エスニックシリーズ」を販売しています。2014年にトムヤムクンヌードルとミーゴレンを発売し、現在ではシンガポール風ラクサやグリーンカレーなど、現地の旬なトレンドを取り入れたエスニックなおいしさを楽しめる様々なフレーバーを展開しています。

最近、フランスでは、新たにジンジャーチキン、5スパイスビーフなど7種類のフレーバーが発売されました。今後も、フランスでカップヌードルがどのように進化していくのか楽しみです。

書いた人

大阪生まれ。学生時代は東京で過ごし、卒業後なんとなく思い立ちフランスへ移住。パリの大学院では文化コミュニケーションを学ぶ。気がつけばフランスでの生活も十余年。どっぷりと洋の生活に浸かる中で、和の魅力を再発見する日々。第二黄金期時代の日本映画とスクリューボールコメディ、銘仙着物、和食器が好き。