味噌や醬油などの発酵調味料は、日本の料理に欠かせません。今では海外でも使っている料理人が増えてきました。ただ、残念ながら、昔ながらの製法を守っているメーカーが減ってきているのも現実です。
江戸時代から変わらぬ製法
八丁味噌は愛知県を中心に愛用され、徳川家康の生地・岡崎城から八丁(約870m)にある味噌です。「まるや八丁味噌」は旧東海道沿いにあり、向かいの「カクキュー」と2軒で、江戸時代から変わらぬつくり方を守っています。
極力少ない水分で仕込み、桶の中の水分が均一になるよう石で重しをします。積む石は最大60㎏、数は300個くらいで、味噌の重さの2分の1、約3tにもなります。
「兵糧として持ち運びに便利。大豆のうまみも凝縮します」と社長の浅井信太郎さん。「子供のこぶしほどの大きな味噌玉をつくるので、熟成がゆっくり進みます。大桶で2年以上熟成させています」
八丁味噌は、矢作川が支えてきました。桶に使う竹や木、石は上流から流し、海沿いの吉良町からは塩田の塩が川を上ってきました。伏流水も欠かせない条件でした。四季によって酵素と菌の活動が違うとか。日本の気候も、味をつくってくれるのです。
直径2m、高さ2mほどの六尺桶に入って、八丁味噌を掘る。熟成した味噌は、人が乗っても沈まないほど硬くなる。幕末の元治3(1864)年製造の古い桶も現役だ。掘る道具はスコップ。