観劇前の腹ごしらえに、幕間に、腹ペコの観劇後に、歌舞伎座界隈でサクッと行きたい歌舞伎theめし!役者たちが足繁く通う店や、楽屋に出前を届ける店、裏方さん御用達の人気店など、歌舞伎座界隈は、芝居好きが集う名店揃い。江戸前な逸品 10選をご紹介します。
1 YOUのオムライス
歌舞伎座を抜け出して30分の幕間に、ふわとろ体験!
木挽町で創業40年以上になる「コーヒーとサンドイッチの店YOU」。が、しかし、ふわとろのオムライスが美味しすぎて「オムライス以外は食べたことがない」という人が多数…。こちらのオムライスの注文は1日なんと200〜300皿にも及ぶそうです。2種類の生クリームと卵2個を使い、鉄のフライパンで絶妙な火加減で焼き上げたオムレツが、ケチャップライスの上で微かに揺れています。それをスプーンで崩してトロ〜リ。むろん、歌舞伎俳優たちも大好物の代物。その証拠に、店内にはサインがずらりと並んでいます。電話予約をしておけば、30分の幕間に合わせてオムライスをサッと出してくれます。
「YOU」歌舞伎座から徒歩1分
住所 東京都中央区銀座4-13-17 高野ビル1・2F
TEL 03-6226-0482
2 野田岩のうな重
ふっくらとして美しい、洗練された江戸前のうな重
江戸時代に創業して、200年の歴史をもつ老舗の鰻屋。一寸敷居の高い鰻屋さんかと思いきや、なんとも温かい雰囲気です。こちらのうな重「山吹」は、「鰻はちょっと…」なんて言ってる人にこそおすすめしたい絶品!野田岩の鰻は裂いて串を打ってから1時間以上じっくり蒸して余分な脂を落としているので身がふっくらとしています。味醂と醬油だけの潔いタレをつけ、備長炭で焦げ目をつけぬよう、繰り返し繰り返し、丁寧に焼いて仕上げます。薄めに敷いたご飯の上に、大きめの鰻が1匹分(250g)。なんとも品のある旨味です。昼の部の終演後に、もしくは予約して、うな重のお弁当を幕間にいただくのもおすすめです。
「野田岩」歌舞伎座から徒歩10分
3 玉木のハヤシライス
最高級の神戸牛を使った名店のハヤシライス
歌舞伎座・夜の部の終演後「芝居の余韻に浸りながら美味しいものを食べたいね」なんてときにおすすめの洋食屋さんです。洋食といえばすぐに浮かんでくるのがハヤシライス。ふつうは薄切りの牛肉と玉ねぎを炒めてトマトソースやデミグラスソースで煮込んだものを想像しますが、玉木のハヤシライスはちょっと違います。最高級の神戸牛のかたまりがゴロリ。「うちのは途中までビーフシチューです。最後に玉ねぎとマッシュルームのバターソテーを合わせてハヤシになります」と、ご主人。常連客の「レトロなハヤシライスをつくってよ」の一言から生まれた逸品なのだそう。歌舞伎座から少し足を延ばしてでも食べに行く値打ちアリ。
「玉木」歌舞伎座から徒歩11分
4 喫茶アメリカンのタマゴサンド
名物は、想像を絶するタマゴサンド&店主
こうして写真で見ていても、実物を前にすると、その迫力に必ず仰天するでしょう…。朝8時すぎ、厨房ではすでに焼きたてのアツアツの食パンを手に、手際よく極厚のサンドイッチをつくる店主・原口誠氏の姿があります。しっとりキメの細かい食パン1本を3等分に切り、そこに卵5個分を使ったタマゴサラダをたっぷりはさんで、ドッカと皿に盛る。これが500円也。「お客様を驚かせたくて、喜ばせたくてね…」とは、これぞ歌舞伎の心意気!この気っ風のいい店主もまたこの店の名物のようです。なお、食べきれない場合のために持ち帰り用の袋も用意されています。
「喫茶アメリカン」歌舞伎座から徒歩3分
住所 東京都中央区銀座4-11-7
TEL 03-3542-0922
5 梵のビーフヘレカツサンド
観劇前に立ち寄りたい、赤身の極上ヘレ肉のカツサンド!
本店は大阪の通天閣付近にある洋食屋「新世界グリル梵」。人気メニューのビーフへレカツサンド専門店として、銀座店がオープンしたのは9年前。脂肪分が少なくてやわらかい、厳選された赤身の極上ヘレ肉のみを使用し、パンは上質の小麦粉を使った特注。ソースやマヨネーズも秘伝のオリジナルで、ひとつひとつ手づくりで丁寧につくられています。歌舞伎俳優はじめ、舞台人に人気が高く、楽屋見舞いとしても重宝。実は歌舞伎座の売店でも販売しています。が、カウンター越しに目の前でつくってもらい、できたてを食すのは贅沢な時間です。観劇前に是非!
「梵」歌舞伎座から徒歩7分
6 森川の究極の親子丼
博多出身のご主人がこだわる素材も味も究極の親子丼!
「究極の親子丼」、このネーミングについ惹かれてしまいます。東銀座の、うっかりすると見落としてしまいそうな細い路地にある小さなお店。博多出身のご主人が、3年前、今の歌舞伎座ができて間もないころに「博多揚げ鶏」と「水炊き」を看板メニューに店を出しました。最初は昼だけのメニューとして始めた「究極の親子丼」。築地の老舗の出汁屋で仕入れる真昆布やアジ、サバ、カツオをブレンドして出汁をとり、築地「宮川」で仕入れる朝締めのもも肉と卵を使用します。甘辛いやや濃いめの割り下は、最後にポンと落とした半熟卵と混ぜ合わせたときに、ちょうどよくなるよう味付けしています。鶏肉のジューシーで弾力ある歯ごたえも申し分なく、一度食べてしまうと、忘れられなくなる味です。
「森川」歌舞伎座から徒歩5分
住所 東京都中央区銀座2-13-17
TEL 03-6264-3933
7 ナイルレストランのムルギーランチ
混ぜれば混ぜるほど美味しくなる、魅惑のムルギーランチ
日本のインド料理店の草分け、ナイルレストラン。まずは席に着くなり、インド人の店員さんに「定番でいいですか?」と声をかけられます。さらに否応無く「ムルギーランチ、定番です」と、すすめられます。このやりとりこそが、この店の名物です。ムルギーランチとは1949年の創業以来、当時のレシピを元に変わらない味を守り続けているインド風鶏ランチのこと。岩手産米「いわてっこ」を用い、地鶏のもも肉を7時間煮込んだスパイシーなカレーで、イエローライスや炒めたキャベツなど温野菜と共に銀色の皿にのって出てきます。店員が見事な手捌きで鶏の骨を取り除くと、これを徹底的に混ぜます。混ぜれば混ぜるほど美味しくなります。ムルギーランチの虜になった歌舞伎俳優も数知れず…楽屋に出前をとる方、駆け込んで食べる方、いろいろです。
「ナイルレストラン」歌舞伎座から徒歩3分
8 銀之塔のミックスシチュー
50年ずっと変わらない、ご飯に合う、和風のシチューです。
昭和30年に創業したシチューの専門店。メニューはシチュー(タン、ビーフ、野菜)とグラタンのみ。かつて歴代の名優たちから出前の注文があったそうで、土鍋で出すので、歌舞伎座の楽屋でも熱々のシチューが食べられると大変な評判だったようです。つまり、私たちが30分の幕間にトライするのは危険、口の中がヤケドします。ただし、予約しておけば、幕間の時間に合わせて熱さを調整してくださるそう。おすすめは、タン、ビーフ、野菜(ジャガイモ、ニンジンなど)が入ったミックスシチュー。味噌が隠し味に入っているのではないかと思うほど和風味で白ご飯と絶妙に合います。
「銀之塔」歌舞伎座から徒歩3分
9 イマカツ銀座のささみカツ
塩で食べるささみカツ、サクッとジューシー!
4年前、歌舞伎座新開場の時期に、歌舞伎座のすぐ脇にオープンしたとんかつ屋さん。一番の人気はサクッとやわらかくてジューシーなささみかつ。これを山口県下関産の厳選したお塩でさっぱりといただきます。ささみは岩手の契約養鶏場で大切に育てられた銘柄のみを使用し、衣は薄く、じっくり火を通して限界までやわらかく仕上げています。低カロリーで、ほかでは味わえない食感が女性客に大好評。歌舞伎座のすぐ隣という場所柄もあり、ほとんどが女性客で、とても入りやすい雰囲気です。21時半L.O.なので終演後でもセーフ!また、要予約ですが、ささみカツにごはんが付いたお弁当もあります。
「イマカツ銀座」歌舞伎座から徒歩2分
10 歌舞伎そばのざるかき揚げそば
カラッと美味しいかき揚げと、斬新な盛りつけに惹かれます
先代の歌舞伎座のときは表側に店があり、昼休みともなれば、連日のように歩道まで行列が続いていた歌舞伎そば。幕内やいかにも歌舞伎通のお客様に支えられていました。歌舞伎座が新しくなり、場所は真裏に移りましたが、人気の「もりかき揚げそば」は健在です。もりそばの周りにカラっと揚がったかき揚げが5個、その斬新な盛り付け方も変わらぬまま。店内は相変わらずカウンター席のみ。店の外まで続く行列も変わらぬ光景で、客はさっと入って、無言で食べて、さっと出ていく。江戸っ子の鑑のような客ばかりだから回転が早い、早い。注文のほとんどが「ざるかき揚げそば」です。