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Gourmet
2020.05.04

缶だけじゃない!おうちごはんの心強い助っ人「塩サバ」15分でできる簡単レシピ

この記事を書いた人

何かに行き詰まった時、「先人の知恵」が道を拓いてくれることは多いですね。人々に永く親しまれてきたものには、困難な局面を乗り越えるヒントがあるように感じています。

2020年春、外出自粛が続くなかで自炊をする人が増えています。「この機会に新しい料理にチャレンジしよう!」という前向きな方ばかりではなく、これまで外食ばかりだったので「何を作ったらいいのか分からない」と戸惑う方や、家族全員が一日三食をしっかりと食べるようになり「食事を作っても作っても追いつかない」といった悩みを抱えている方も少なくないと思います。

さらに「買い物の回数を最小限に減らすように」とも言われ、食事のことで頭がいっぱいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、昔ながらの保存食「塩サバ」に注目したいと思います。

実は、私自身は約15年続けている「お弁当づくり」のために塩サバを常備してきましたが、昨今のおこもり生活でも大活躍しています。

少し前からサバ缶ブームが続いていますが、塩サバも見逃せない! とひそかに確信しています。

それでは、おうちごはんを楽しむための心強い助っ人「塩サバ」についてご紹介していきますね。

塩サバと生サバの違い

サバという同じ名前が付いていても、「生サバ」と「塩サバ」には大きな違いがあります。まず、生サバはその名前の通り「生のサバ」であるのに対して、塩サバは塩味が付いたサバのこと。一般的に塩サバは、旬の時期に水揚げされたサバをさばいて塩水に浸し、その後干して作られます。

塩サバの特徴は、生にはない塩気と旨味が味わえること。冷凍品なども多く出回っています。「サバの塩焼き」は定食屋さんなどの人気メニューのひとつですが、塩サバがあればフライパンなどで焼くだけで完成します。

塩サバの魅力とは?

「(昔に比べて)魚を食べる機会が減った」と言われていますが、その一方で魚に含まれる栄養は、昨今とても注目を集めています。

塩サバの魅力を挙げると、こんなにたくさん!おこもり生活のなかで「もっと気軽に魚を食べたい」という方にも、ぴったりの食材と言えそうですね。

〈塩サバの魅力〉
・手軽に料理できる…塩味が付いているので、焼くだけで食べられる。下味を付ける必要がなく、「竜田揚げ」などの揚げ物も簡単に作れる。
・現代人に不足しがちな栄養がたっぷり…カルシウム、ビタミンD、DHA、EPAなどが豊富に含まれている。
・臭みなどが少ない…塩がしっかり効いているため、魚独特の匂いが少ない。魚が苦手な方にも食べやすい。
・保存性が高い…塩分濃度が高く、冷凍品も多いため保存に向いている。
・価格が安定している…旬の時期に加工しているため価格の変動が少なく、比較的手ごろな価格のものが多い。

塩サバは飛鳥時代に生まれた!?

サバの歴史はとても古く、縄文時代の遺跡からサバの骨が発見されています。塩サバのような加工技術は、飛鳥時代にはすでにあったと言われています。

サバは、寄生虫がいる可能性が高いことや傷みやすいことなどから、「しめサバ」などの独自の保存方法や、「サバの味噌煮」などの濃厚な味付けの調理方法が発達してきました。

スーパーなどでは脂がしっかりと乗ったノルウェー産の塩サバを見かけることが多いですが、古くから日本で食べられてきた食材です。流通量は限られているものの、国産の塩サバも出回っています。

「塩サバ=しょっぱい」?

塩サバを食べたことがある方のなかには「塩サバは塩気が強くて使いにくい」という声もあります。塩分濃度が低いものもありますが、一般的な塩サバの場合、半身(150g程度)に約2.7gの塩分が含まれているのだとか。

塩分の摂り方についてはいろいろな説がありますが、1日当たりの塩分摂取量の目標として「男性は8g未満、女性は7g未満(※)」と言われています。汁物や野菜のおかずなどを食べることを考えると、たしかに塩サバの塩分が高いことがよく分かります。

「塩サバを水に浸して塩分を抜く」という調理方法もありますが、こうするとせっかくの旨味が抜けて身がパサパサになってしまうことが多く、あまりおすすめできません。

※厚生労働省が2014年3月に発表した「日本の食事摂取基準策定検討会」報告書より

塩サバを美味しく食べる、簡単レシピ3選!

「しょっぱい」と言われることもある塩サバですが、その特徴を逆手にとって独特の塩気と旨味を生かせば、簡単に味わい深い料理ができあがり! 今回は、余分な調味料を加えずに作るレシピを3点、ご紹介したいと思います。

いずれも15分程度で完成するので、「何か物足りない」という困った時の一品にも大助かり。塩サバを常備しておけば、その時に自宅にある野菜を組み合わせて、口にも身体にも嬉しい料理が作れます。

【レシピ1】塩サバとにんじんのふりかけ

塩サバと野菜を炒めて煮詰めたふりかけ。ごはんとの相性も抜群なので、育ち盛りのお子さんにもぴったりです。

〈材料〉作りやすい分量
・塩サバ 半身 *冷凍品の場合は事前に解凍しておく
・にんじん(ごぼうやきのこ類などでもOK)1/3本
・酒・みりん 各大さじ1
・ごま油・すりごま 各小さじ1~2
・生姜 1/2片
・自然塩(お好みで) 少々

〈作り方〉
1. にんじんは粗みじん切り、生姜はすりおろす。塩サバはスプーンなどで身を取り(骨があれば取り除く)、包丁で刻んでおく。


2. フライパンまたは厚手の鍋に油を入れて熱し、1のにんじんを入れて炒める。
3. にんじんに油が回ったら、1の塩サバと生姜、酒、みりんを加えて時々混ぜながら加熱する。
4. 水分が飛んできたら、すりごまを加える。全体をさっと混ぜたら、できあがり。味見をして、もし味が薄いようなら塩少々を振る。

【レシピ2】塩サバと野菜の煮物

塩サバの風味が、野菜にじんわりと染み込みます。冷めても美味しいので、お弁当や作り置きにもおすすめです。

〈材料〉2人分
・塩サバ 半身
・大根・にんじん 各2~3㎝分 *お好みの野菜でアレンジしてもOK
・しいたけ 2枚
・酒 大さじ1
・生姜 1/2片
・自然塩(お好みで) 少々

1. 塩サバは、4~6等分に切る。大根とにんじんは半月切り、生姜は薄くスライスする。しいたけは石づきを取っておく。
2. 鍋に、大根・にんじん、塩サバ、生姜の順に重ねて入れる。分量の酒と、1㎝位の高さまで水を加えて、蓋をして8~10分程度蒸し煮にする。しいたけなどすぐに火が通るものは、途中で加えて加熱する。

3. 全体に火が通ったら、できあがり。味見をして、もし味が薄いようなら塩少々を振る。

【レシピ3】塩サバと豆腐のハンバーグ

お子さんや魚が苦手な方にも食べやすい一品です。ごはんだけでなく、酒の肴にもよく合います。


〈材料〉2人分
・塩サバ 半身 *冷凍品の場合は事前に解凍しておく
・木綿豆腐 1/4丁(100g)
・玉ねぎ 1/5個
・片栗粉 大さじ2
・生姜 1/2片
・お好みの油(なたね油、米油など)小さじ1~2
・ポン酢・レモン・大根おろしなど(お好みで) 適量

〈作り方〉
1. 玉ねぎは粗みじん切り、生姜はすりおろす。塩サバはスプーンなどで身を取り(骨があれば取り除く)、包丁で刻んでおく。
2. ボウルに、1の塩サバ・玉ねぎ・生姜、片栗粉を入れる。水切りをした豆腐を手で崩しながら加えて、全体をよく混ぜる。


3. 2のタネを4~6等分にして、小判型に形を整える。
4. フライパンに油をひいて熱し、3を入れて焼く。香ばしい焼き色が付いたら裏返し、蓋をして蒸し焼きにする。


5. 皿に盛りつけて、お好みでポン酢やレモン・大根おろしなどを添えていただく。

塩サバで、おうちごはんをもっと手軽に楽しく

伝統的な保存食であるとともに、旨味と塩気がギュッと詰まった塩サバ。

簡単レシピなどもご参考に、じんわりとした美味しさをぜひ味わってくださいね。

作る人にも食べる人にも嬉しい塩サバ料理で、おうちごはんを楽しみましょう!

書いた人

バックパッカー時代に世界35カ国を旅したことがきっかけで、日本文化に関心を持つ。大学卒業後、まちづくりの仕事に10年以上関わるなかで食の大切さを再確認し、「養生ふうど」を立ち上げる。現在は、郷土料理をのこす・つくる・伝える活動をしている。好奇心が旺盛だが、おっちょこちょい。主な資格は、国際薬膳師と登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。https://yojofudo.com/