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2021.05.02

冷た〜いお茶やお酒に!葛飾北斎のPOPな世界が広がる江戸切子、ついに完成!

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飲み物を入れると底の模様が広がる、不思議なグラス! その正体は、江戸切子の技法とサンドブラストの合わせ技、『砂切子(すなきりこ)』です。今回は、浮世絵界の大傑作・葛飾北斎の『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』をPOPアート風にデザインした江戸切子を作りました。グラスの中にきらめく魅惑の世界とともに、お酒やお茶の時間を楽しんでみてはいかがでしょう。

色も涼しげで飲み物が美味しく感じられそう!

今、再び熱い視線が集まる天才絵師・葛飾北斎!

約1億7000万円! これは2021年の3月に、クリスティーズ・ニューヨークで開催されたオークションで、1831年制作の『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』が落札された金額(159万ドル)です。木版画としての史上最高金額を記録し、話題となりました。また5月28日には葛飾北斎の生涯を描いた映画『HOKUSAI』(https://www.hokusai2020.com)が公開に。今、国内外で再び、北斎ブームがぐぐっと盛り上がっています。

『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』 葛飾北斎 メトロポリタン美術館
2020年の新パスポートの査証ページのデザインにも選ばれましたよね!

北斎=江戸のキング・オブ・POPアーティストだった説

日本のみならず、世界でも圧倒的に評価の高い北斎。なぜ人々は彼の作品に心奪われるのでしょう。それは彼が、江戸時代の(そして現代でも)キング・オブ・POPアーティストだったから。人気の浮世絵師というだけでなく、西洋美術に多大なる影響を与え、ジャポニスムの発端となりました。ゴッホやセザンヌ、ピカソなど、そうそうたる面々に愛されたのです。アメリカのフォトジャーナル誌『LIFE』が、1998年に「この1000年で最も偉大な業績を残した100人」の86位に、唯一の日本人として選出したことでも、その功績がいかに偉大かがわかります。

北斎のアーティストとしての位置づけを日本の伝統工芸で表現!

もともと浮世絵は、江戸時代の大衆文化。しかし同時期の欧米では、絵画は富裕層が楽しんだもの。庶民が絵を愛でることはありませんでした。だからこそ、浮世絵の大胆な構図や色使い、モチーフを、当時の庶民が楽しんでいたという日本の文化度の高さに、世界は驚いたのです。特に木版画は、大量に製作されて広まった、まさに今でいうPOPアート。そのトップを走る北斎を「キング・オブ・POP」と呼ぶのに、なんら不自然はありません。この『北斎波切子』には、そういった北斎のアーティストとしての位置づけを、日本の伝統工芸に乗せて表現するというのがコンセプト。モダンなデザインも含めて、あらためて北斎の魅力を感じ取ってみてください。

『北斎波切子』はこうしてつくられました

今回製作した『北斎波切子』は、伝統工芸である江戸切子を進化させた「砂切子」を採用。これは東京の清澄白河に工房をもつ椎名切子(GLASS‐LAB)独自の技法で、グラスの側面を平らに削る「平切子」と、底に細かい砂を吹き付け柄入れする「サンドブラスト」の組み合わせ。これによりグラスの中で柄が反射し、夢のような世界が広がる効果を生み出します。

椎名切子(GLASS-LAB)は江東区・清澄白河に工房を構えるガラス加工業社。もともとは、全国でも数少ない江戸切子の一種である平切子の加工所でしたが、新しくサンドブラストの技術を加え、伝統と革新を交えた「砂切子」を開発。人気を博しています。


椎名切子(GLASS‐LAB)の、伝統を守りつつ現代性も取り入れる理念に共感し、和樂では今までも幾度となくコラボレーション。浮世絵がテーマの切子なども開発してきましたが、今回はさらに進化。モチーフは『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』だけど、今まで見たことがないものを。それも「北斎=キング・オブ・POPアーティスト」の象徴となるデザインを、と、試行錯誤してきました。

『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』は、欧米では「モナ・リザ」の次に有名といわれる、世界に認められた傑作。浮世絵に詳しくなくても、この作品だけは知っている、という方も多いでしょう。それだけに、商品化されすぎているのも事実。だからこそ、作品をそのまま商品に写すのでは、私たちの考える天才絵師・北斎の本当の価値や魅力が、十分に伝わらないと思ったのです。

どうやって表現するかが、一番難しかった!
デザイナーの方や椎名切子の皆さんと相談しながら進めました

そこで取り入れたのは、アメリカンPOPアートのシルクスクリーンで使われる手法。アンディ・ウォーホルの『キャンベルスープの缶』に代表される、同じイメージを繰り返し並べることで記号化する表現を『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』でアレンジ。北斎=POPという方程式を、視覚化させたのです。

『北斎波切子』を内側から見ると、サンドブラストで描かれた『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』が。遊び心たっぷりのデザイン

しかしながら、わずか直径約35mmのグラスの底に、いくつもの波が繰り返されるデザインを柄 入れするのは至難のわざ。これは、0.09mmの線も再現可能という、世界基準の椎名切子のサンドブラスト技術だからこそ、実現できたのです。柄をパターン化することで、内側に反射する模様も、とても美しい仕上がりに。見てよし、使ってよし。いつものお酒やお茶の時間が、さらに楽しくなりそうです。 

上から見ても横から見てもかっこいい!

手のひらサイズの小さなグラスは、冷酒や冷茶にぴったり。側面を平らに削った「平切子」と、サンドブラストで柄入れした底の波を楽しんでください。グラスの素地自体が淡いブルーなので瑠璃色の色被きせとのグラデーションも、大変美しい仕上がりに。

左:内側 右:外側 波&富士山をグラフィカルにあしらった

飲み物を入れると、万華鏡のように底の柄が反射し、輝く。北斎の大波の世界を、手元で楽しんで

商品名:北斎波切子
価格:¥17,600(税込)
約口径7×高さ6cm、140g。セミクリスタルガラス。容量約100ml。食洗機使用不可。巾着、木箱付属。日本製。
※職人による手づくり品のため、色柄の出方やサイズ、重量に若干の個体差が生じます。

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編集長から「先入観に支配された女」というリングネームをもらうくらい頭がかっちかち。頭だけじゃなく体も硬く、一番欲しいのは柔軟性。音声コンテンツ『日本文化はロックだぜ!ベイベ』『藝大アートプラザラヂオ』担当。ポテチと噛みごたえのあるグミが好きです。