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2021.01.06

標高なんと3.6m!? ヤマトタケルが白鳥となって舞い降りた松原で日本一低い山を発見【香川】

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ヤマトタケルの魂が白い鳥となり、讃岐の国の松原村に舞い降りて祀られたと伝わる香川県東かがわ市の「白鳥神社」。この神社には日本一低い山があるというのです。何とその高さ3.6m!一体どんな山なのでしょうか。登山初体験の著者が取材に向かいました。

日本一低い山は神社の鎮守の森「白鳥の松原」にあった

香川県東かがわ市松原。瀬戸内海の多島美を望む瀬戸内国立公園にある40,000坪の「白鳥の松原」には約1,500本も松が自生する白砂青松が広がっています。日本書紀によると、伊吹山の神を退治に出かけ、病に冒されたヤマトタケルは能煩野(のぼの)で息を引き取り、その魂が白い鳥となり、舞い降りたのが讃岐の国松原村(東かがわ市松原)の「白鳥の松原」に舞い降りたそう。その美しい松原の中に日本一低い山「御山」があるというのです。

既に2万5,000人が登頂成功

白鳥神社の禰宜・猪熊兼高さんによると、2004年、大型台風の影響により神社がある東かがわ市松原付近が床上、床下浸水の災害に遭いました。それをきっかけに平坦に思える松原地区の中でどこが高い場所なのかをこの町の人たちが調べたところ、白鳥町都市計画図(2005 年)の中で一番高い3.6メートルの地点が松原の中にあることを発見しました。神社の鎮守の森でもある松原一帯は、昔から地元の人々から「御山」という地名で呼ばれていた場所。「御山」……いやはや何ともありがたい名前です。何よりここは神社の由縁でもあるヤマトタケルが白鳥となって舞い降りたと伝わっていた由緒ある場所。そこに日本一低い山があれば参拝した人に喜んでもらえるのでは? そして地域の町おこしの一環になればと「日本一低い山」として2005年8月7日にボランティアの人たちで山開きを行いました。登山証明書も神社社務所で発行しており、現在2万5,000人を超える人が無事登頂を果たしています。

日本一低い山へいざゆかん

日本一低い山と正式に認められるには、国土地理院発行2万5千分の1の地図に掲載されることが必要です。しかし、ここはまだ申請していません。現在は築山として、日和山(宮城県)3m、天保山(大阪府)4.53m、自然の山として弁天山(徳島県)6.1mなどがあります。「日本一低い山」の定義が築山、自然の山とそれぞれ条件が異なっていることもあり、全国にはいくつもの自称「日本一低い山」が存在しているそうです。ここ「御山」は登山専門誌に「日本一低い山」のひとつとして掲載されたことをきっかけに、日本一高い“富士山”登山を終えた人が、日本一低い山「御山」にも登山したいと訪れるケースも増えています。
さて、いよいよ登山と参りましょうか。

神社の拝殿を抜けると本殿の裏が松原となっており“鎮守の森”ならぬ“鎮守の松原”が広がっています。まって。どこ?山どこ?
潮風の香りに癒されながらゆるりと看板を頼りに進むこと約200m。
松原の中は登っても下ってもいない平坦な道が続きます。
あった。
ええええええ。ココ??

まっ平ですけど山なんですね……。
猪熊禰宜によると「エッ?ココ?と笑ってもらえればOKなんです。元々は町おこしに一役買えればと思ったのがきっかけ。お詣りの後に松原を散策してもらい、笑顔になってもらえたら」とのこと。神社の多くは高い場所に祀られていることが多いのですが、ここ白鳥神社は駐車場から段差がないため、足腰が弱いお年寄りや、車いすの方でも無理なく参拝できることでも知られています。「神社から松原までの道も平たんなので、車いすでも登山できました! と喜んでいただけることもあります」と猪熊禰宜。
登山証明書は神社で頂けますが、登山証明の印は神社前にある“ぶどうもち”が美味しいと評判の和菓子屋さん「みなとや」さんで捺してもらえます。

出世魚「ハマチみくじ」を釣り上げて満願成就!


白鳥神社の鎮座する東かがわ市はハマチ養殖発祥の地としても有名です。近年では「オリーブハマチ」などブランド化されたハマチも登場し全国に出荷されています。ハマチは成長と共に名前が変わることから“出世魚”と呼ばれ、おめでたい魚とされています。この縁起の良いハマチにあやかり、幸運を釣り上げてほしいと登場したのが「開運出世ハマチみくじ」(300円)。トロ箱の中にギッシリ詰まったハマチを自ら釣り上げます。おみくじは、ハマチのヒレの中に……。


神社では「ハマチ御朱印」の他、四季折々に趣向を凝らした特別御朱印も期間限定でいただけます。
そして御朱印が次のページに移らないように挟む「挟み紙」にもご注目あれ! なにやらかわいらしいイラストが。これは「みゃ~まる」という白鳥神社公認のキャラクター。キャッチコピーは「白鳥神社の御朱印のはさみ紙から生まれたもちもちのなにか」。「なにか」って……。公式Twitter(@mya_maru1001)もあるので、ゆるキャラ好きの方はぜひ絡んでみてください。

神社をぶらりと散策していると境内で散歩している「みゃ~まる」を見かけたのでインタビューしてみました。
みゃ~まる「和樂Web読者のみなさん! 白鳥神社は新旧が入り混じるおもしろい所ですみゃ!東かがわ市にお越しの際はぜひお立ち寄りくださいみゃま」 
2021年にはオリジナルの絵馬も登場するらしく、なんだか誇らしげでした。

同神社には、初代高松藩主・松平頼重公が寄進した、珍しい阿吽の鶴が参拝者を迎えてくれる随神門「鶴の御門」や、わらじを履いた神馬など見所も随所にあります。

一切疲労感も達成感もなくただただゆるい”日本一低い山登山”の後は、江戸時代初期には「西のこんぴら、東の白鳥」として大変栄えた門前町の風情も楽しみながらまったりと街歩きもおすすめです。

白鳥神社(しろとり神社)
香川県東かがわ市白鳥町松原69
0879(25)3992
白鳥神社公式HP

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