京都・丹後(たんご)で生産される美しい絹織物、丹後ちりめん。誕生したのは江戸時代中期のことでした。その歴史や文化に触れながら、実際に丹後ちりめんの工房見学をし、白生地を手に入れ、美しい色に染める。そんな旅に出てみませんか?
【工房を見学する!】
「田勇機業」の機織り工場で知る、丹後ちりめんができるまで
カセになった生糸を糸枠に巻き取る糸繰りの作業。熟練の技術が必要で、製品の完成に影響を及ぼす
「田勇機業」は昭和6(1931)年に創業し、通産大臣賞はじめ数々の賞を受賞している丹後屈指の機織り工場。丹後ちりめんとしての品質のよさには定評があり、そのセンスも最上級。少しでも多くの方に丹後ちりめんを知ってほしいという考えから、製造工程の順に、実際に動いている約40台の織機を間近で見せてくれます。
左/水が重要なため、織物業社が立ち上げた水道組合がある。右/ヨコ糸1mあたり3000〜4000回の強い撚りをかけてシボのもとをつくる、ちりめんの工程の中で最も重要で特徴的な“水撚り八丁撚糸”の作業の一部
◆田勇機業(たゆうきぎょう)
公式サイト
【買う!】
峰山町の老舗「吉村商店」、白生地を買うならココ
座敷に積み上げられて出荷を待つ、畳紙に包まれた丹後ちりめん
天保元(1830)年、初代・吉村金次郎が創業して以来、190年近く縮緬問屋を営む「吉村商店」。京丹後市峰山町の町並みにひときわ風情のある店構えです。勇気を振り絞って店内に一歩足を踏み入れれば、とてもアットホームな雰囲気。こちらで扱う製品はほぼ100%正絹です。丹後ちりめんの絹織物から紬(つむぎ)織物まで、吉村商店オリジナルの柄に加えて、得意先と連携した商品も合わせれば、なんと数百種類にも及ぶ白生地が揃っています。
左/数百種類もの白生地の中から選ぶ楽しさは、着物好きにはたまらない醍醐味。右/吉村商店の屋号は「丹後屋」
◆吉村商店
公式サイト
【染める!】
「小林染工房」を訪ねて、名人に白生地を染めてもらいます
刷毛を使って引き染めする、小林知久佐(ともひさ)さんの職人技
丹後の海沿いの町、京丹後市網野町にある「小林染工房」は、知る人ぞ知る染め職人、小林知久佐さんの工房です。かつて、鮮明な薄青は日焼けしやすく絹染色業界でいちばん難しい色とされていましたが、小林さんは日焼けしにくい堅牢(けんろう)度の高い染料を使って引き染めを可能にした人。きものサローネでも数々の賞を受賞しています。得意な色は丹後ブルー。美しさのポイントは、染料の色合わせだそうです。この色の名人に白生地を染めてもらいましょう。
左/櫛状にギザギザになった“しけ刷毛(はけ)”など多くの刷毛が並んでいる。右/小林染工房の作業場
◆小林染工房
公式サイト