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読み物
Gourmet
2017.11.21

あなたならどのお茶で一服する? 人気スタイリストが提案する5つのお茶時間

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抹茶、コーヒー、紅茶、日本茶、中国茶。朝はコーヒーだけれど、おやつの時間は和菓子とともに日本茶でひと休み、というのも楽しいものです。そこで、人気スタイリストのchizuさんに、各ジャンルのお茶の時間のコーディネートを提案してもらいました。どれにもお茶を楽しむヒントがつまっています。ひとつの盆の中に心惹かれるうつわや道具をセットにしてご紹介します。

抹茶

近現代作家の茶道具はうつわを育てることができます。経年変化を楽しむ、これこそ醍醐味です!

DMA-010茶盆に見立てたのは、花入をのせる台!時代物の籐組花盆は、京都の飛来一閑作で、帽子のようなかたちがユニーク。茶杓は初田徹作。ミニサイズの茶杓は珍しい。その下は、草花水玉文ヨーロッパ更紗の出袱紗。銅版による約100年前の繊細な表現が美しい。茶碗は浅井純介作の三島小服茶碗(仕覆付き)。中央の薄茶器(仕覆付き)は、竹に無地の漆をほどこした溜塗りの骨董品。シンプルな茶道具は、なんにでもよく合う(以上、花筥)

茶道具は、長い歴史の中で定まった価値基準や評価があり、楽しむ際は約束事が多くあると思われがちですが、お茶の世界は意外に自由!飯茶碗で抹茶を飲んでもよいですし、ふた付きの小さな容れものがあれば、それを棗にしてもいいんです。茶の湯の世界では、そんな行為を「見立て」と呼んで親しんできました。古いものには、古い茶道具ならではのしみじみとした味わいがありますが、現代作家のつくる茶道具なら、いちから「うつわを育てる」楽しみもあります。

毎日、同じ茶碗で抹茶を飲むと、陶器の肌に染みができたりして、思いがけない景色が生まれます。こうして、少しずつ時間が刻まれる姿を楽しむ過程が、茶の湯という文化の本質なのかもしれません。「一緒に歳を重ねていきたい」と感じるうつわが、自分にとってベストな茶道具ではないかな、と思うのです。

DMA-007三島小服茶碗の仕覆はペルシャ更紗のバテック

コーヒー

いつもの机でコーヒーブレイクもいいけれど、こんなテーブルがあれば気持ちの切り替えができます!

DMA-001茶FAT-FATスモールテーブル(B&B Italia Tokyo)は大中小のサイズ展開。向かって右のケトル900㎖ブラック、左奥のブリューワースタンド、ブリューワー4cups、コーヒージャグ600㎖(以上、KINTO)をセットで揃えるとすっきり見える。南部鉄器の釜定コーヒーメジャースプーン(designshop)も仲間に入れて。ピンク色のコーヒーカップ(小・大)とソーサー(yumiko iihoshi porcelain)でメリハリを。回転木馬がプリントされたクッキージャー(アレッシィショップ青山)が乙女心を刺激する

起き抜けの一杯。仕事途中の一杯。コーヒーは、頭をすっきりさせる覚醒効果もさることながら、その香ばしい香りに癒やされます。コーヒーは、アラビア半島とアフリカ大陸が出合う地で発見され、イスラムで「秘薬」から「大衆の飲みもの」になり、世界中でコーヒー文化が育まれてきました。

毎日のコーヒータイムには、台付きのテーブルにセットを組んでおきませんか。ちょっとしたテーブルがあれば、外のテラスやお気に入りのソファのそばへでも、すぐに持っていくことができます。このセットは洋風の盆点前をイメージしたもの。スモーキーなピンク色のカップ&ソーサーは、昔のフランス映画に出てくるカップのよう。たっぷりとしたカップで、カフェオレを楽しんでもいいですよね。チャーミングなガラスポットも少し甘めな味わいですが、心躍る小物たちがコーヒーブレイクを盛り上げてくれます。
DMA-006茶メリーゴーラウンド柄のポットには、美味しいクッキーを入れて!遊び心にあふれたイタリアらしいデザイン

紅茶

ビンテージの英国ティーセットは永遠の憧れ!ティーブレイクは本格派のスタイルで

DMA-020ビクトリア文様が釘彫りされた純銀のティーセットは、いつか手に入れたい品。手前右から時計回りに、ミルクピッチャー・シュガーポット・ティーポットの3点セット。シルバートレーも合わせて、クラシックなお茶の時間を楽しみたい。ティーナプキンの代わりに鳳凰柄スワトウのハンカチーフ(以上、和光)を合わせて

優雅にティータイムを過ごしたいときは、紅茶の気分。紅茶といえばイギリスです。イギリスの紅茶は、17世紀にオランダからチャールズ2世に嫁いだキャサリン妃が王室に伝えたのがはじまりだといわれ、18世紀には中流階級にも広がりました。今でもイギリス人は、朝起きてから寝るまで、何度も紅茶をたしなみます。

この写真のセットは新しく見えますが、100年ほど前のビンテージです。右下のミルクピッチャーと左のシュガーポットの内側には、銀の酸化を防止する金メッキがほどこされています。それは同時に格調高く仕上げるための工夫であったとか。こんなティーセットには、レディな雰囲気を盛り上げるスワトウのハンカチーフを添えてみました。緻密な刺繡は、16歳ごろまでの視力のよい少女にしか刺せないそう。そんなことを聞くと、キュンとしてしまいますよね。ロマンティックな紅茶のセットは、お茶の時間をアップデートしてくれます。
DMA-018茶真っ白やカラフルなハンカチもキュート(ともに和光)。淑女な趣にひと目惚れ

日本茶

ガラスを通して見る玉露の鮮やかさ。芳しい香りは極薄のガラスで味わって

DMA-014 茶シンプルな黒漆塗り独楽盆(銀座 黒田陶苑)。急須・ポット専門の陶芸家、加藤財作の焼き締めの丸急須(宙SORA)は、茶切れが抜群。フィンランドのビンテージの黄色のカップ(QUICO)にグリーンも飾って。グラスはすべて極薄で、繊細な味わいが日本茶にもマッチする。手前から、スモールボウルTU206ボウル1、ウイスキーテイスティンググラス(ふた付き)、パンクソーサーシャンパングラス(以上、木村硝子店)。逆台形の漆塗りの重箱(サボア・ヴィーブル)は鎌田克慈作。大塚友野作の緑茶色の茶さじ(うつわ楓)には、骨董の古布(古民藝もりた)を添えて

ある日本茶専門店のイベントで、グラスで日本茶を楽しむ催しがありました。試しにうかがってみると、日本茶の香りがいつも以上に強く感じられて、あらたな魅力にビックリしたのです。それはまるで未知なる世界との出合いでした。

写真上のシャンパングラスには、ぜひほうじ茶を入れてみてください。焙煎の香りがフワッと広がって、リラックスできるでしょう。その下のウイスキーのテイスティング用グラスには玉露を。鼻を抜けていく甘い香りがたまりません。手前の小さなグラスには口直しのお湯を入れて、交互にふたつのお茶を味わってみると、違いがよくわかります。重箱に季節の和菓子やあんこのお団子を盛れば、気持ちも明るくなりますよね。そして、部屋に飾っていた終わりかけの花を少し短くして、盆の中にそっと置いてみる。ていねいな暮らしは、小さなことの積み重ねじゃないかな、と思います。

DMA-017左の梨形茶さじ(木屋)。中と右は大塚友野作乾漆の茶さじ(茶と緑)(ともにうつわ楓)

中国茶

あえて日本茶の宝瓶や海外のティーカップを組み合わせると、中国茶がとても身近に感じられます!

DMA-004骨董品の砂張盆(さる山)は、もともと何に使われていたものかわからない。けれど時代の風格が感じられる品。その中に人間国宝の奥山峰石作の銀製宝瓶(宮本商行)をコーディネート。奥山さんは80歳を超えてなお精力的に制作を続ける鍛金作家。隣はウィーンの著名な磁器工房、アウガルテンのデミタス&ソーサー(ル・ノーブル銀座店)をセットして。とぼけた感じの人形がつまみになった容器、ミニチュアベースマンダリン・牡丹(クラブ ヘレンド ジャパン本店)もかわいい。シノワズリを得意とするヘレンドらしい容器に茶葉を入れて、ゆるりと中国茶を楽しみたい

中国や台湾に行くと、日常的にお茶を楽しんでいる風景を目にしますよね。烏龍茶にはいくつもの種類があり、茶葉に花の香りを移したジャスミン茶や桂花茶(キンモクセイ茶)と呼ばれる花茶もあって、アジアにしっかりと茶文化が根付いていることを実感させられます。

中国茶は、ちまたでよく見かける専門の茶器セットを使ってもよいですが、いろんな国のクラフトをミックスして、見立てで遊んでみてはいかがでしょうか。ご紹介する急須は、鍛金作家の人間国宝・奥山峰石さんの宝瓶。両脇の耳に籐がきっちり巻かれているので、熱いお茶を入れても扱いやすいもの。茶葉はヘレンドのミニチュア容器に。ヘレンドは1826年創業のハンガリーのメーカーで、英国のビクトリア女王やハプスブルク家のエリザベート皇妃に愛されました。モノトーンのカップはアウガルテンのデミタスカップ。中国茶の一杯の容量にぴったりの大きさです。

DMA-005アールヌーボーからアールデコ時代のデザイン界の旗手、ヨーゼフ・ホフマンのデザイン