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2023.04.28

四季折々の景色を届ける京菓子店。京都「亀屋良永」【茶味こそが京都!】

特集 茶味こそが京都! 第二弾は名店「亀屋良永(かめやよしなが)」をご紹介します。

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道行く人たちに四季折々の景色を届ける京菓子店「亀屋良永」

寺町通を上がり御池通(おいけどおり)にぶつかる手前の左角。「亀屋良永」のウインドーをのぞき込むと、斜め向かいに人の気配を感じます。視線を上げると、御池通に面したウインドーを凝視している人がいる。お互い、目が合って照れ笑い。
この店に足を運ぶようになって、こんな場面に何度遭遇したことでしょう。
和菓子とうつわ、花に掛け軸と趣向を変えた3面の出窓が、この店のもうひとつの〝顔〟です。

左/天保3(1832)年創業。のれんのマークは亀甲に苗字の「下」を先代がデザイン。ちなみに御池煎餅のラベルは先代が棟方志功に依頼した。右/落雁製の干菓子「大原路」の「春の色」1,674円(税込)

京菓子は四季を映しながら変わるもの。
暦どおりには季節は変わらない

「ウインドーの目を変え、品をかえることを考えるのは店の〝親父〟の仕事です。菓子屋に限らず、親父がいる店が少なくなったのは寂しいもんや」とは、5代目の下邑 隆(しもむら たかし)さん。
現在は息子・修(おさむ)さんが6代目を継いでいますが、5代目も毎日店に顔を出し、帳場から目配りをしています。
「京菓子は四季を映しながら変わるもの。暦どおりには季節は変わらないし、お菓子をかえるタイミングを決めるのが腕の見せどころ。外の空気を運んできてくださるお客様との会話も大事でね、頭の隅ではお菓子の参考になることはないかと考えてしまうね」と下邑さん。
名物「御池煎餅」に並んでウインドーを飾るのは、自身が創案した落雁「大原路(おおはらじ) 」。長方形の中に丸の入る単純なデザインですが、丸の形と色が変わるだけで、それが菖蒲(あやめ)にも秋の月にも見えてくる茶心あふれるお菓子です。
ウインドーショッピングという言葉が消えつつある今、京都の店先も変わりました。だからこそ昔ながらのあり方を続けるこの店が尊く感じるのです。

寺町通に面したウインドー。「京菓子はうつわ、花、軸としつらえがあって映えるもの」とこの店では皿の上に菓子を盛って飾る。軸の書は清水比庵(しみずひあん)によるもの。「大原路」は1年に9回、表情を変え、5月は緑に黄色と紫をあしらった「春菖蒲」が登場

亀屋良永(かめやよしなが)

住所:京都市中京区寺町通御池角
電話:075-231-7850
営業時間:8時~18時 日曜、第1・第3水曜休

撮影/篠原宏明 構成/藤田 優 ※本記事は雑誌『和樂(2018年4・5月号)』の転載です。

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和樂web編集部

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