埋蔵文化財とは?
土偶や埴輪(はにわ)、土器や石器などの「埋蔵文化財」は、今この時間も全国のどこかで発掘調査が行われています。その数はなんと、毎年約9000件!
しかし、その成果に実際に触れる機会は限定されていて、あまり知られていないという実情があります。
より多くの人に埋蔵文化財のことを知ってもらい、それを保護することの重要性に理解を深めてもらいたい!
そんな願いを込めた展覧会が2019年6月1日(土)から7月21日(日)まで、江戸東京博物館で開催されます。
埋蔵文化財がよくわかる展覧会
「発掘された日本列島2019」
2019年の展示内容は、近年発掘された遺跡の中でも注目すべき12遺跡473点についての速報展示のほか、被災地の埋蔵文化財と発掘調査の特集、史跡名勝天然記念物保護などの展示など。
かわいい土偶や技巧的な埴輪、精巧な土器といった埋蔵文化財の面白さを鑑賞しながら、古い時代の人々の営みに思いを馳せる貴重な機会です。
また、特集1「福島の復旧・復興と埋蔵文化財」、特集2「記念物100年」、地域展「道灌(どうかん)がみた南武蔵」とともに鑑賞すると、日本文化のまさに礎に触れられるはず!
特集1「福島の復旧・復興と埋蔵文化財」
東日本大震災の発生から8年の月日がたち、東北沿岸のあちこちで、かつてのにぎわいを取り戻しつつある姿を見ることができるようになってきました。
その一方で、 福島第一原子力発電所事故の影響により福島県沿岸部の「浜通り」地域や内陸の一部地域の復旧・復興はまだ道半ばです。
浜通りは海の道と陸の道によって各地と結ばれていて、極めて個性的な文化を育んできた魅力ある地域。遺跡・遺物の展示を通じて、浜通りに根付いた豊かな歴史や文化が紹介されます。(展示遺跡数:7遺跡)
特集2「記念物100年」
記念物とは、歴史上・学術上の価値の高い遺跡、 観賞上の価値の高い名勝地、学術上の価値の高い動物・植物・地質鉱物の総称。中でも重要なものは文化財保護法により「史跡」「名勝」「天然記念物」に指定されています。
2019年は文化財保護法の前身で、記念物を指定し保護する制度「史蹟名勝天然記念物保存法」ができて100年目の節目の年。
そこで、後の時代に残したい大事なものである「記念物」100年の歩みを紹介し、それを守り、未来へと伝えることの大切さに目を向けさせる展示がなされます。
地域展「道灌がみた南武蔵」
2020年に向けて、都内随所で新たな開発事業が進んでいます。そして開発にともなう発掘調査により、地中に眠っていた江戸時代の遺跡がよみがえっています。
そんな中から地域展で注目するのは、調査で発見されたさまざまな遺跡のうち、江戸城を築いた太田道灌が活躍した戦国時代前半(15世紀後半~16世紀前半ごろ)の遺跡。
戦国時代の道灌は、主家である扇谷上杉家を支え、関東平野での享徳の乱、長尾景春の乱などの合戦で活躍。江戸城を築いたのはこの戦乱の時代のはじめごろの長禄元(1457)年とされています。
その完成により江戸は南武蔵の重要拠点となり、後に都市が発展する基点となったのです。
近年確認された、戦国時代前半の道灌にまつわる遺跡をもとにした、当時の南武蔵の姿をよみがえらせた展示は、東京の原風景を教えてくれます。
「発掘された日本列島2019」
会期 2019年6月1日(土)~7月21日(日)
会場 江戸東京博物館 常設展示室、5F企画展示室(地域展:5F企画展示室前) 東京都墨田区横網1-4-1
開館時間 9:30~17:30(土曜は19:30まで、7月19日は金曜につき21:00まで 入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜(7月15日は開館)、7月16日(火)
観覧料 常設展観覧料 一般600円、大学・専門学校生480円、中高生・65歳以上300円
公式サイト