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2020.07.15

香川県ローカル線「ことでん」のかわいい駅員「ことちゃん」!家族構成や誕生秘話に迫る!

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JR高松駅に到着し、金比羅参りに向かうため、徒歩で約5分のことでん「高松築港駅」に到着。ん? 構内に漂う若干の違和感。駅構内がイルカ? イルカだらけなんだけど。気を取り直して1日フリーきっぷを購入すると、ここにもイルカが。このイルカ、ただのゆるキャラにしては面構えが違う。強い意志を感じるのはなぜだ、と思いつつ、電車に乗り込むと車内にもイルカのポスターが。一体どういうこと? どうやらこのイルカ、「ことでん」と親しまれている鉄道会社「高松琴平電気鉄道」のれっきとした駅員らしい。イルカの駅員を雇用する鉄道会社に猛烈な興味が沸き、金比羅参りの前に調査を進めることにしました。

2011年にはことでん100周年を記念し、ラッピング電車「ことちゃんひやく号」も運行した

歴史ある鉄道会社が経営の危機
沿線住民からの辛辣な意見「ことでんはいるか? 」


香川県民から「ことでん」の愛称で親しまれている高松琴平電気鉄道。歴史は古く、1943年、当時高松市内にあった鉄道3社が統合され現在のことでんが誕生。しかし1900年代の末に、バブル経済崩壊の影響で倒産の危機に陥りました。原因は本業の鉄道ではなく副業の百貨店経営。1997年にターミナルの瓦町駅に再開発ビルを建設しテナントとして「コトデンそごう」を出店。運営はコトデン単体ではなく、百貨店の「そごう」グループとの合弁子会社でした。「そごう」は2000年に巨額の負債を抱えて経営破綻。これに連鎖する形で、2001年に「コトデンそごう」も経営破綻します。債務保証を行っていたコトデン本体も連鎖的に経営破綻を引き起こし、民事再生法の申請に至りました。
本業である鉄道の利用者が充分多かったにも関わらず、なぜか会社全体が存続の危機に陥る事態となってしまったのです。
その原因は、当時のコトデンに対する県民の「イメージの悪さ」でした。
それまでも職員の態度や言葉遣いの悪さ、電車や駅構内の汚さといったサービス面への評価が低く、それはことでんの社員でさえ認識していたほどだったそうです。
会社復活のためのインタビュー調査を行っていたところ、市民から寄せられた衝撃的な言葉に職員は絶句。
「鉄道はいるが、ことでんはいらない」「ことでんいるか? (必要か)」とまで言われる状況だったそうです。
2001年、ことでんは経営体制を一新した上で、よりよいサービスを企業理念とし、経営再建を行うことを決定しました。

99万円のグッズ?? 面白さを追求する攻めの姿勢

そしてリスタートにあたり、市民からの「ことでんはいるか?」という言葉を忘れてはならないという気持ちを込め、2002年に誕生したキャラクターが、イルカの「ことちゃん」です。「ことちゃん」はことでんのれっきとした職員。お腹の出ているイルカで、ぽっこりとしたお腹は好物の釜玉うどんの食べ過ぎによるものだそう。2013年にはご当地キャラ総選挙で3位に食い込むなど大健闘を果たしました。今では県民の誰からも親しまれているキャラクターに成長しました。

ことでんのアグレッシブな取り組みはことちゃんだけでなく、お堅い鉄道会社らしからぬ、斬新な企画で注目をされることになりました。ご覧ください。そのひとつがこのポスターです。


電車の中で温泉の洗い場よろしく体を洗う職員、温泉の湯船につかる制服姿の職員など、なんとも攻めたポスターです。実はこれ沿線の温泉施設「仏生山温泉」と提携したきっぷのPRとして作られたもの。ユニークなうちわ型きっぷ「ことでんおんせん乗車入浴券」(1,200円)は運賃+入浴料、仏生山温泉オリジナルタオル、うちわがセットになっています。

「高松琴平電気鉄道」の広報担当者は「発表した当初は裸の男性のポスターはいかがなものか、温泉に制服で浸かるなどけしからん、といったご意見もいただきましたが、何か面白い事をやってみよう、ことでんと仏生山温泉が一体となり、皆にくつろいでもらえる企画だよということを知ってもらいたい、という強い気持ちが勝りましたね」と当時を振り返ります。
その攻めの姿勢が顕著に表れているのが毎年恒例の自社イベント「ことでん電車まつり」にて開催されるグッズ販売です。鉄道会社のイベントでの部品の販売は珍しくありませんが、ことでんのグッズは規格外。2016年から始まった特殊販売シリーズが毎年話題になっています。2019年は攻めに攻め、線路・4種踏切・信号機・駅名板のまるごとセットを1セット限定で、お値段何と99万円。自宅に踏み切りを設置したいという夢が100万円を切るお得な…いやいや。さすがに購入される方はいなかったそうです。

しかしながら自社から面白さを発信していこうという姿勢は素晴らしいこと。工場見学に来た人の安全のため着用してもらっていたヘルメットを職員が手作りでことちゃん仕様にしたところ、欲しいという人が続出。遂に商品化したという「ことめっと」(6,000円)はオンラインショップでも大人気商品となっています。

震えながら詫びる運休時のHPも話題に

台風で運休になった際に、ことでん公式HPのトップには震えながら泣くことちゃんの姿が。これが可愛いとSNS上で話題に。

「運休時のHPへのアクセス増対策の1つだったのですが、意外な反響の大きさに驚きました」と担当者。台風などで運休か否か不安でHPにアクセスする人たちに、少しでも和んでもらえたら、という思いはしっかりお客さんたちに伝わったようです。
また昨年の2019年からは新たな「コトディーン」というユニークな企画もスタート。香川県に眠る、神話や昔話などの歴史をモチーフにした怪事件やキャラクターが登場。スタンプラリーやグッズ販売などを展開中です。このイベントもデザイナーと職員が企画・運営を行っています。職員が積極的に関わりながら情報発信をしているスタンスが利用者の共感を呼んでいます。

イルカ駅員のことちゃんが明かす今後の野望

やっぱりここまで取材すると、どうしてもことちゃん本人(本イルカ?)からお話が聞きたくなり、インタビューさせていただくことになりました。
52ヶ所あることでんの駅のどこかで毎日勤務しているそうで、多忙な勤務時間の中でのインタビューとなりました。

――ことちゃんがことでんの駅員となったいきさつを教えてください。また現在はどんな業務に携わっているのでしょうか。
ことちゃん:ぼくは、2002年8月に大人の事情で生まれ、ことでんの駅員として働き始めました。現在は、駅員として働く傍ら、地域のイベントに参加させていただいたり、SNSを活用し「ことでん」や「香川県」を知ってもらうために頑張っていますことこと。
――家族構成を教えてください。
ことちゃん:妻の「ことみ」と、娘の「ことの」の3頭家族です。

――ユニークなラインスタンプやTwitterの発言も人気ですが今後SNSではどのような展開を考えていますか?
ことちゃん:引き続きSNS等でことでん沿線や香川県の魅力を発信し、国内外問わず多くのお客様に足を運んでいただきたいですことこと。
――今後の「野望」があれば教えてください。
ことちゃん:近年、日本では多くのキャラクターが生まれ、いろいろな仲間たちが増えました。そんな中、実は2013年に日本百貨店協会様主催の「ご当地キャラ総選挙 2013」で、ふなっしー、オカザえもんに次ぐ全国3位に入賞したんです。あまり知られていないのですが…笑
その時は、嬉しい反面、応援してくれた方たちのことを考えるととても悔しく、帰りの新幹線の中で泣いてしまいました。地方私鉄のキャラクターに出来ることは限られているかもしれませんが、これからもぼくを知ってくれた人がクスッと笑って幸せになれるように頑張りたいと思います。そして、みなさんの中で何かしらの1位をぼくにいただければとても幸せですことこと。
――和樂webの読者にメッセージをお願いします。
ことちゃん:現在、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、多くの公共交通はとても厳しい状況の中にあり、当社も例外ではありません。その中で、ぼくたちキャラクターも会社の期待を背負って何とか踏ん張ろうと社員一丸となって戦っております。コロナウイルスが収束した際にはぜひお近くの公共交通を使ってお出かけ下さい。香川県にお越しの際にはぜひことでんをご利用いただければと思います。お待ちしておりますことこと。
公式サイト:ことでん公式サイト

書いた人

せとうちに暮らすカエル好きライター。大雨の中、取材先に向かう山道で迷いイノシシに遭遇した経験あり。京都国立博物館トラりんの強火おたく。ジャニヲタ。@yukkisetouchi