日本を代表するお酒「日本酒」。いろいろな種類があり、日本酒初心者にはちょっぴりハードルが高いですよね。飲んでみたい、買ってみたいけど、どう選べばいいのかわからない…そんな人のために、日本酒の種類について解説します!
日本酒の種類をわかりやすく解説!
たくさんの種類があるイメージの日本酒ですが、醸造アルコールの使用割合で大きく2つに分類して考えることができます。
1.純米酒(じゅんまいしゅ)
純米酒とは、水と米と米麹だけでつくった清酒です(清酒ってなんだ? は、のちほど!)。シンプルな原料でつくられているので、お米の旨味や風味をしっかりと味わうことができます。
2.本醸造酒(ほんじょうぞうしゅ)
本醸造酒は、純米酒の原料である水、米、米麹に加え、醸造アルコールが使用されている清酒のことです。醸造アルコールとは、主にサトウキビを原料として発酵させた純度の高いアルコールのこと。白米の精米歩合や、使用できる醸造アルコールの量が細かく定められています。無味無臭なので、さらりとしたクリアな酒質の日本酒になります。
そもそも清酒とは何か?
「日本酒とは?」と検索すると、通常は米と麹と水を主な原料とする清酒を指すと出てきます。ここで生まれるひとつの疑問…「清酒ってなんだ?」。
実は、清酒は、日本酒のジャンルのひとつ。昭和28(1953)年に改正された「酒税法」によると、清酒とは『原料に米を使い、必ず“こす”工程があり、アルコール度数22度未満の酒』と定められています。こす工程のない「どぶろく」や、塩や副原料などが添加されている「料理酒」などは、清酒には含まれません。また、平成27(2015)年の国税省による日本酒の地理的表示の定義では、“原料の米に国内産米のみを使い、かつ、日本国内で製造された清酒が「日本酒」を独占的に名乗ることができる”とも定義されています。
精米歩合(せいまいぶあい)とは??
日本酒の種類を見ていくと、たくさんでてくる“精米歩合”という言葉。なんとなく耳にしたこともありますよね。
精米歩合とは、原料であるお米を削った割合のこと。削れば削るほど雑味がなくなります。わかりづらいのが、%で示された数値の見方。
これは、例えば精米歩合60%と表記されていた場合、40%を削って、残りの60%を原料として使用しているという意味になります。数値が低くなるほど、多くの部分が削られているということ。低ければ低いほど、雑味のない香りの強いお酒になります。
なんでお米を削ると美味しくなるの?
日本酒をつくるために必要なのが、デンプン質。これは、お米の中心部分に集中しています。その周りを囲むお米の表面部分には、タンパク質や脂質など、重要な栄養素がたっぷり。しかし日本酒づくりでは、これらの栄養素が多すぎてしまうと雑味が残り、お酒の香りが薄くなってしまうのです。日本酒の雑味の原因になる成分を削る。それが、お米を削る(精米する)理由です。
吟醸と大吟醸の違いは? 「特別」ってなんだ??
醸造アルコールが使われているか使われていないかで、2種類に分けることのできる日本酒。2種類に分けられた純米酒と本醸造酒は、さらに4種類ずつ、合計8種類に分類することができます。
1「純米大吟醸(じゅんまいだいぎんじょう)」
2「純米吟醸(じゅんまいぎんじょう)」
3「特別純米(とくべつじゅんまい)」
4「純米(じゅんまい)」
5「大吟醸(だいぎんじょう)」
6「吟醸(ぎんじょう)」
7「特別本醸造(とくべつほんじょうぞう)」
8「本醸造(ほんじょうぞう)」
漢字が並んで呪文のようですが…大吟醸は、“美味しい日本酒”というイメージがありませんか? これらは、原料のお米を削った割合である精米歩合によって分けられています。
上の表を見てみると、吟醸より大吟醸のほうが精米歩合の数値が低い(たくさん削られている)ことがわかります。手間がかかっている分、大吟醸のほうがより雑味のないすっきりとした味わいになるのです。
気になるのは、特別純米酒と特別本醸造酒。精米歩合が60%以下、または特別な製造方法とありますが、“特別”とはいったいどういうことなのでしょうか。
我が家にたまたまあった「特別純米 澤乃井」
実はこの“特別”には、細かなルールや規定はありません。各酒蔵がこだわりをもってつくった日本酒のことをいいます。
特別純米酒は、純米酒よりも米の風合いが強く、特別本醸造酒は、本醸造酒よりも引き締まった味のものが多いです。同じ蔵でつくられている純米酒や本醸造酒と比べて、なぜこの日本酒が「特別」であるかわかるように、それらと異なる原料や製造方法を記載しなくてはなりません。
日本酒の種類一覧
以上を踏まえて、大きく分類した日本酒の種類を、一覧にまとめました。ここでは、それぞれの特徴、味の違いなども簡単にご紹介していきます。この8つをおさえておけば、日本酒を語るのも怖くない…!
(※生酒やひやおろしなど、さらに細かく分けられるものもあります)
1.純米大吟醸酒
原料:水・米・米麹
精米歩合:50%以下
極限まで磨かれたお米が使用されている純米大吟醸酒は、お米の甘さをしっかりと感じる、やさしい飲み口です。
2.純米吟醸酒
原料:水・米・米麹
精米歩合:60%以下
精米歩合が大吟醸よりも低いので、質がさがってしまうと思われがちですが、そんなことはありません。純米吟醸ならではの、華やかな香りと芳醇な味わいのコントラストを楽しむことができます。
3.特別純米酒
原料:水・米・米麹
精米歩合:60%以下または特別は製造方法
洗練された華やかさのある特別純米酒。大吟醸や吟醸より、米の旨味や風味を強く感じます。
4.純米酒
原料:水・米・米麹
精米歩合:規定なし
精米歩合がとくに決められていないのが、純米酒(通常は60〜70%のものが多いです)。腰の強さが特徴で、お燗に合う種類が多くあります。
5.大吟醸酒
原料:水・米・米麹・醸造アルコール
精米歩合:50%以下
原料に使用している醸造アルコールに香りを引き立てる効果があるので、同じ精米歩合の純米大吟醸よりもすっきりとした香りの高さを楽しめます。
6.吟醸酒
原料:水・米・米麹・醸造アルコール
精米歩合:60%以下
フルーティでなめらかな口当たり。醸造アルコールは、アルコールを補充する目的ではないので、使用する量は少なめです(大吟醸も同じ)。
7.特別本醸造酒
原料:水・米・米麹・醸造アルコール
精米歩合:60%以下または特別は製造方法
味わいを軽くする、香りを生み出すという醸造アルコールの特性を生かし、個性的な本醸造酒をつくる酒蔵も多いそうです。
8.本醸造酒
原料:水・米・米麹・醸造アルコール
精米歩合:70%以下
醸造アルコールの使用量が、使用する白米重量の10%を超えないように決められているのが特徴。スタンダードな日本酒で、常温、燗酒、冷酒など、さまざまな飲み方を楽しめます。
参考:国税庁課税部酒税課の酒のしおり、木村克己「日本酒の教科書」