日本画ここに極まれり!
近代日本画を語る上で忘れてならないのが、明治時代に岡倉天心(おかくらてんしん)が主導した日本画革新運動の中心メンバーのひとりで、早世の天才として知られる菱田春草(ひしだしゅんそう)の『落葉』です。
春草は天心が校長を務めた東京美術学校の第3期生として入学。先輩の横山大観(よこやまたいかん)、下村観山(しもむらかんざん)とともに天心と行動をともにするものの、眼病の兆候が表れて療養生活へ。それでも春草は『落葉』(永青文庫蔵)を描き上げ、第3回文展に出品して最高賞を獲得。しかし、その2年後に36歳で帰らぬ人となります。
菱田春草『落葉』(左隻)六曲一双 紙本着色 154.0×354.3㎝ 明治42(1909)年 福井県立美術館
後年、大家(たいか)と称された大観は決まって「春草の方がうまかった」と述懐(じゅっかい)。日本画は、それほど偉大な才能を失ったわけです。
本作は、春草が『落葉』を主題に描いた5作品のうちのひとつで、六曲一双は永青文庫の所蔵作と福井県立美術館のもののふたつだけ。しかも、本作のほうが後に描かれていたということが近年判明し、注目度は高まるばかり。本作において、明治の日本画は完成したと言っても過言ではありません。
菱田春草をはじめ、横山大観や下村観山の作品が山種美術館で見られます!
※会期は終了しました。
詳しい美術展情報はこちらから!