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2021.04.02

葛飾北斎にちなんだ20色を探せ!「江戸をぬりつぶせ! HOKUSAI色えんぴつ」制作秘話

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2020年に公開を延期した映画『HOKUSAI』が、2021年5月28日(金)から新たに公開されることが決定しました! 新予告編もお披露目となり、ますます期待が膨らみます。これから話題になること間違いなしの北斎。和樂webでは、一足早く北斎の世界に浸れるアイテムを開発しました。それが3月16日に発売を開始した「江戸をぬりつぶせ! HOKUSAI色えんぴつ【20/500 COLORED PENCILS】」。「フェリシモミュージアム部™」の「500色の色えんぴつ TOKYO SEEDS」とのコラボ商品です。

「HOKUSAI色えんぴつ」は、フェリシモのオリジナル商品「500色の色えんぴつ TOKYO SEEDS」の中から20色を厳選したオリジナルのカラーセットです。「なんでこの20色なの?」「なんでこのネーミングなの?」。今回はそんな「HOKUSAI色えんぴつ」の開発にあたっての舞台裏をお届けしたいと思います。

♦︎葛飾北斎の名作『冨嶽三十六景』をイメージした色鉛筆「江戸をぬりつぶせ!HOKUSAI色えんぴつ」発売開始

20色で知る北斎!

今回の開発の目的は、北斎の色を使って誰でも自由に表現できる色鉛筆をつくること(北斎の絵を再現するのではなく)。フェリシモと和樂webの打ち合わせでは、ぬり絵を楽しみながら北斎の作品や人生を知ることができる、そんな遊びと学びが一体化するような商品にしたいと話していました。

葛飾北斎『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』(1830-32年)メトロポリタン美術館

北斎は江戸時代に活躍した浮世絵師ですが、そもそも「浮世」を描いた浮世絵は江戸の庶民にとって娯楽でもありました。役者絵や美人画、風光明媚な名所絵など、浮世絵師たちは時代のニーズに合わせた作品を世に送り出したのです。中でも、北斎が72歳で描いた『冨嶽三十六景』シリーズは、伊勢参りや名所巡りなどの旅行ブームを背景に大ヒット。風景画という新しいジャンルを確立しました。ヨーロッパから輸入された最先端の顔料プルシアンブルーや西洋絵画の遠近法が用いられた『冨嶽三十六景』は当時の人々にとって目新しく映ったでしょう。

そんな当時のワクワクに思いを馳せられるような商品にしたい! そんな思いで商品名は「江戸をぬりつぶせ! HOKUSAI色えんぴつ」と名付けました。

The great WaveならぬThe great Fuji?

北斎カラーを選ぶとき、まずはじめに悩んだのはどの絵から抽出するか?でした。海外では『冨嶽三十六景 神奈川沖波裏』が「The great Wave」という名で親しまれているように、北斎といえば波が印象的です。そのためはじめは北斎が描いた波の作品数枚から色を抽出しようかと考えていました。

葛飾北斎『冨嶽三十六景 御厩川岸より両国橋夕陽見』(1830-33年)シカゴ美術館

葛飾北斎『冨嶽三十六景 甲州石班澤』(1830-33年)シカゴ美術館

「青の微妙な違いを楽しめるように20色すべてを青色にしてみる?」「あえてまったく同じ色を2、3本入れたりしても面白いかも?」などアイデアを出し合いましたが「波の絵だと思いのほか色のバリエーションが出ないかも……?」と少し立ち止まり。

すると、編集長のセバスチャン高木から決め手の一言。
「波じゃなくて、山に焦点を当てて『神奈川沖浪裏』『凱風快晴』『山下白雨』の三大傑作から選ばない?」

初夏の早朝、南風を受けて一瞬赤く染まった富士山を切り取った作品。鮮烈な配色で海外では驚きの目で迎えられたといいます 葛飾北斎『冨嶽三十六景 凱風快晴』(1830-32年)メトロポリタン美術館

上部は⻘く晴れ渡り、下部は黒色の積乱雲から雷が落ち、対照的な天候をひとつの画面に描いた作品 葛飾北斎『冨嶽三十六景 山下白雨』(1831年)メトロポリタン美術館

それぞれ「赤富士」「黒富士」の通名をもつ2作品は、『神奈川沖浪裏』と並び世界に北斎の名を轟かせた名作。配色も斬新なことから、これなら北斎カラー20色を探し出すことができるかも! ということになり、抽出する作品が決まりました。

編集長のセバスチャン高木(右)とディレクターの鳩(左)、スタッフとま子の3人で色を選びました

三大傑作から北斎カラーを探してみた

色選びは、3作品それぞれの象徴的な色やモチーフに注目し、「500色の色えんぴつ」と照らしあわせながら行いました。『神奈川沖浪裏』の波は波でも、うねりや飛沫によって色の違いがみられるため、細かく色を細分化。近い色の色鉛筆をピックアップして、実際の色を確かめながら色を選んでいきました。

色選びの参考に小学館から発刊している『北斎原寸美術館 100%Hokusai!』を使用


色を選ぶにあたって驚いたのは「500色の色えんぴつ」の色の豊富さ! 「HOKUSAI色えんぴつ」では北斎が好んだ藍にちなみ、青のバリエーションをもたせてみましたが、「500色の色えんぴつ」全体では青の種類はこの倍以上ありました。「500色の色えんぴつ」でなければ、作品に近い色を抽出することは容易ではなかったと思います。

そして、選んだ20色がこちら! 筆圧によって色の濃さを変えたり、ふわっとぼかしたり、版画のように色を塗り重ねてぬったりなどしてみても面白いかも?

自信作です! 北斎にちなんだネーミング

「500色の色えんぴつ」にはもともと英語名と日本語名がそれぞれつけられていますが、今回は「20色で知る北斎!」がテーマの1つにあったため北斎にちなんだ色名をつけました。

例えば「SWEET CHOCOLATE」のもとの日本語名は「一度はまったら抜け出せない!魅惑のチョコレート沼の色」。和樂webでは絵に生涯を捧げた北斎にとっては「絵を描くこと以外は考えない、考えたくない」と考えるかも? とイメージを膨らませてそのまま色名にしてみました(実際、北斎は甘いもの好きだったようですが…)。

実際につけたネーミングはこちら。

 BLUE BIRD RUN→その視点はまるで鳥の眼
 DEEP COOL→どこまでも青い自由な青
 DEEP SLEEP→もっと青を!
 TWILIGHT TALES→黄昏からはじまる百物語
 WATERSKI WAKE→透明な水はなぜ青く見える?
 DOUBLE DENIM→青にもいろいろあるんだぜ
 COLLECTED COOL→異世界への入り口色
 MAJESTIC MARINE→水の魔法使いはこんな色を使うんだ
 FOREST DREAMS→わが師は自然、そして宇宙
 POMEGRANATE ILLUSION→幻をも描いてみせる
 RUSTIC STEPS→江戸のダンス・ダンス・ダンス
 PALACE SHEETS→御殿に住む必要があるのかい?
 SUAVE ENTRANCE→旅人を迎える田園の春風
 CHESTNUT HILLS→隠と陽、男浪と女浪
 TERRACOTTA TERRACE→朝焼けで赤く染まる富士
 SWEET CHOCOLATE→絵を描くこと以外は考えない、考えたくない
 BIG APPLE→This is Edo
 WILD WILLOW→風だって描けるんだ!色
 LATE LEAVES→富士山にかかる黒い雲
 ZERO HOURS→生まれた時から絵師の色

こうして完成した「江戸をぬりつぶせ! HOKUSAI色えんぴつ」。北斎のように自由な発想でぬり絵を楽しんでみてくださいね。

「江戸をぬりつぶせ!HOKUSAI色えんぴつ 【20/500 COLORED PENCILS】」商品情報

版を摺り重ねた多色摺の浮世絵のように色を重ねて塗ってみたり、北斎のように想像力を働かせてあえて大胆な色を使ったり。色鉛筆を使って、北斎の浮世絵の魅力を実感できるセットです。

商品詳細URL:https://www.felissimo.co.jp/s/pr2103162/6/
価格:4,400円(税込)
製造:日本
セット内容:色えんぴつ20色、ペンケース、塗り絵、情報カード、スリーブ
※限定数販売の予定でしたが、多数のリクエストをいただき追加生産が決定いたしました。
※この商品は2021年5月分(2021年4月下旬~5月下旬)からのお届けです。

フェリシモミュージアム部™とは

アートが大好き、ミュージアムが大好き、そしてミュージアムグッズも大好き! そんなメンバーが集まって、多種多様なアートやミュージアムの楽しみ方を、商品企画やSNSを通じて発信する公式部活動。
公式サイト:https://www.felissimo.co.jp/museumbu/

500色の色えんぴつ TOKYO SEEDS とは

シリーズ累計12万セットが世界55ヵ国で愛されている「500色の色えんぴつ TOKYO SEEDS」。滑らかで柔らかな描き心地に、繊細で美しい発色。世界中のしあわせな情景からインスピレーションを受けた500色です。限定生産の日本製。
公式サイト:https://www.felissimo.co.jp/500/

書いた人

1995年、埼玉県出身。地元の特産品がトマトだからと無理矢理「とま子」と名付けられたが、まあまあ気に入っている。和樂編集部でアルバイトしていたところある日編集長に収穫される。MBTI性格診断ではINFP型。検索するとサジェストに生きづらい、社会不適合者と出てくる。睡眠と甘いものが好き。