Craft
2019.07.03

着る人もつくる人も喜ぶ「思い」の入った服づくりが美しい。オーダーサロン「BLASON」とは?

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実際に着心地が良いばかりでなく、背景には、日本の文化や技術がきちんとあるもの。それが、和樂が手がけるファッションアイテムです。日常的だけど美しいふたつのアイテムを、国内有数のクチュリエやデザイナーと一緒に考えてみました。

クチュリエ服部さんが語る理想の服とは?

年々、暑さが厳しくなる日本の夏。和樂では、そんな季節を快適に過ごせて、職人の手仕事がきちんと加わっている最上級のアイテムを開発しました。今回、プロジェクトに携わっていただいたのは、日本屈指のクチュリエ・服部幸之助さん。クチュリエとは高級注文服のデザイナーのことで、服部さんは自身のアトリエでオーダーメイドの服や小物を製作しています。「あらかじめ決められた数年先の流行にのせて、洋服づくりをすることには抵抗が…。ファッションとは本来、着る人にとっていちばんいい服であるべきだと思うんです」。美しくて心地よく、機能的。そしてデザインが表に立ちすぎず、あくまでも着る人が主役でいられるもの。それが服部さんの考える理想の服だとか。

また、服部さんは年々少なくなってきている高い技術をもつ日本の職人も大事にしています。自分でつくったデザインとパターンを具現化するために、職人たちにイメージを的確に伝えるのもクチュリエの重要な仕事。「その職人の特性がわからないとオーダーの仕方もわかりませんから、長く深いつきあいの中で関係性がつくられてきます。そうしてつくられた服は、量産型のものとはたたずまいが違う。ファストファッションの流行の傍らで、僕らみたいに少人数でつくる服を大事にしてくれる人もいるんです。AIでは解決できない品質が、今後の服づくりには、より大切になってくるのではないでしょうか」と、熱く語る服部さん。

日本古来の素材を使ったこだわりのシャツと帽子

そこで今回、服部さんと一緒につくったのは「最上級のシャツ」と「至高の帽子」。日本の素材にもこだわりました。

古くは縄文時代から、日用品や神事などに用いられていた大麻布(たいまふ)と呼ばれる素材を採用。戦後に一度、流通から外れた歴史がありますが、再び復活した今注目の素材です。「日本人の精神や歴史が背景にあることが魅力ですし、素材そのものも非常に優れています。速乾性が高く、清涼感も。丈夫だけどやわらかさも合わせもっているのが特徴です。これはつくり手としても新しい発見でした」

単に古いものを守るのではなく、それを時代に合わせて、何をどう選んで取り入れるかという視点が、現代のものづくりには不可欠だとか。「以前は、子どもがお母さんやおばあさんにつくってもらった服を着る、というのがあたりまえでしたよね。服をつくった人も着る人もうれしい気持ちになる。要は“人の思い”を着ているんです。そういった情熱や愛情みたいなものを、洋服づくりに残していきたいと、僕は常々思っているんです」

服部幸之助/有名クチュールブランドで、デザイナーやチーフプロデューサーを務めたのち独立。オーダーサロン「BLASON」を設立する。そのほかアーティストの舞台衣装や、出身地である焼津で「魚河岸シャツ」をプロデュースするなど、幅広く活動している。