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2019.09.06

東京駒場のおすすめ穴場ブックカフェ。日本近代文学館「BUNDAN」がおしゃれ!

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「本」は人を旅へ誘います。読書そのものも「旅」と言えるかもしれません。なじみのカフェの居心地のいい空間と、好みのコーヒーと、1冊の本。これさえあれば、心をいつでも旅に遊ばせる極上の読書タイムになるのです。本が読みたくなる、本と出会える、そんなカフェをご紹介します。

BUNDAN COFFEE & BEER

日本近代文学館

化粧煉瓦やタイルを施した立派な洋館に、書院づくりの日本建築はどちらも昭和初期のもの。そして巨木や名石をあしらった庭園に芝生の広場。小説の舞台に紛れ込んだような気分になれるのは、旧前田侯爵私邸敷地跡、駒場公園です。

気持ちいい季節なら、芝生広場のベンチに腰掛けてバッグから本を…といくところですが、寒い時季は公園内に建つ日本近代文学館へ。50年前にできた昭和レトロな建物の扉を開けると、かすかにコーヒーの香りがしてきます。日本近代文学館の一角にあるのが「BUNDAN COFFEE & BEER」。散歩のあとの読書とコーヒー、まさに本好きのための空間です。

日本近代文学館

文学館の閲覧コーナーが整頓された図書室という雰囲気なら、ここは店主の趣味がちりばめられた古本屋といった趣。実際のところ、壁一面の棚、そしてその隙間に押し込まれた本は、2万冊の蔵書をもつというこの店のオーナーの私物とか。ふむふむ。近代文学から最近のベストセラー本、エッセイ、漫画にゲームの攻略本、哲学書に料理本…ここの主は、いったいどんな人なのでしょう。

日本近代文学館

手近にあった本を開くと、40人もの作家がコーヒーについて書いたエッセイをまとめたもの。パラパラめくって目が留まったのは森村桂さんの章。軽井沢に手づくりケーキとお気に入りの紅茶で喫茶店をはじめたけれど、コーヒーはなかなかおいしくいれられない、といった話です。森村桂さんといえば「天国にいちばん近い島」、当時夢中で読んだな、映画の原田知世さんがかわいかったな、いやいや、スキー帰りに軽井沢のこの店に行ったじゃない…と、数ページに目を通しただけで心はふわふわあちこちへ。本は、どこへでも旅立たせてくれる魔法の扉です。

日本近代文学館

さて、コーヒーは何を選びましょう。「芥川」は程よい酸味とナッツのような香りのブラジル産の豆を使用。「寺山」は飲みごたえのあるモカベース。スパイシーで力強いマンデリンの「鷗外」も。コーヒー豆に作家の名前とは、さすが読書マニアが通うカフェ。選んだ本との相性を探るのも、この店での楽しみです。

「BUNDAN COFFEE & BEER」公式サイト