招き猫を求めて、下町をぶらり散歩。招き猫伝承が残る豪徳寺界隈と、招き猫人形発祥の浅草今戸を、和樂でおなじみのイラストレーター・なかだえりさんが歩いてルポ!今回は豪徳寺界隈編をお届けします。
招き猫伝承の「豪徳寺」は気持ちのいいさんぽ寺
参道の松並木が独特な雰囲気。山門をくぐると、広々とした境内に仏殿、本堂、鐘楼など立派な建造物がのびやかに配されています。
2006年建立というまだ新しさの感じられる三重塔には、よく見れば十二支に紛れて招き猫がいらっしゃる。
必見は、その名も「招猫殿」。脇の猫塚へ行ってみると、いるいる、たくさんの招き猫!納められた大中小さまざまな猫の密集具合がすごいのです!
◆豪徳寺
住所 東京都世田谷区豪徳寺2-24-7
幕末ファンなら「松陰神社」へのお参りはマスト!
幕末に活躍し、明治維新の精神的指導者といわれる吉田松陰を祀る神社。明治15年に弟子たちが墓の横に社殿を建てたのがはじまりとか。
吉田松陰の座像や松陰が教えていた松下村塾を模した家、門下生や同志たちの墓も。幕末好きには歴史的意義のある場所だし、そうでなくても参道の松陰神社通り商店街と併せて寄りたい、散策にぴったりのスポットです。
◆松陰神社
住所 東京都世田谷区若林4-35-1
公式サイト
商店街いち古い「松栄堂」に並ぶのは昭和のおやつ
縞模様の庇、暖簾、トタン屋根、木製ショーケース、豆タイル…ひと目で外観が気に入ったのは、昭和2年創業の和菓子店。長屋だった建物は羊羹のようにバッサリ切られて隣りが建て替わっていますが、小さくとも存在感は抜群。
まんじゅう、大福、いなり寿し、鹿の子など品数は多くありませんが、懐かしいおやつが並びます。扉をガラリと開けると割烹着姿のおばあちゃんが。わ、期待どおり!
◆松栄堂
住所 東京都世田谷区若林4-27-12
ビーフシチューとハンバーグがおいしい!「ヒポポタマス」
隣りの若林駅で開業、2015年にこの地へ移転した、動物の「カバ」を店名にしたお店。大原裕さんと麻樹さんご夫妻がつくるのは、ほっと和める料理とあたたかい雰囲気。
あっさりめのビーフシチューは香味野菜やハーブがきいていて、薬膳を思わせる優しい味わいです。
◆ヒポポタマス
住所 東京都世田谷区若林4-20-10
公式サイト
毎日の食事パンやスイーツで駅前の顔「ニコラス静養堂」
100年以上の歴史をもつ、明治45年創業の老舗パン屋さん。安くて気取らない日常の味に、店内は地元客でいっぱい。良質な素材からつくられるシンプルなおいしさは驚愕のコスパを誇ります。
松陰饅頭や松陰あんぱんはおみやげに。毎日のように顔を出すという、2代目にして御年94歳の太田米蔵さんに会えたらラッキーかも。
◆ニコラス静養堂
住所 東京都世田谷区若林3-19-4
迷いながら選ぶのも楽しい、おでん種の「おがわ屋」
広い間口の店頭に約30種類のおでん種が並びます。すべて手づくりで1個50円から。この道一筋の小川利明さんは、無添加なうえに小麦粉や卵不使用の、安心安全な魚肉練製品にこだわっているとか。もやし入りのかき揚げやピリ辛味の鶏なんこつがめずらしい。
紅しょうが入りの人気商品、松陰ジンジャーはおみやげに。おでんの具としてはもちろん、そのまま食べてもおいしい一品です。
◆おがわ屋
住所 東京都世田谷区若林3-17-10
駅のホームの延長のような「松蔭PLAT」
世田谷線の線路に並行するように立つ建物は、まさにプラットホームのよう。築50年以上の木造アパートをリノベーションし、1Fに4区画、2Fに5区画。生活雑貨の製造販売やカフェなどの店舗が入っています。
1Fの「POLALIS」は、北欧と和のセレクトショップ。フィンランドのリビングウェアブランド「イッタラ」や「アラビア」、富山県高岡の鋳物「能作」、京都の「開化堂」など、センスのよい生活雑貨や食品が並びます。
◆松蔭PLAT
住所 東京都世田谷区世田谷4-13-20
公式サイト
-イラスト/なかだえり-