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2022.06.06

まるでRPGのダンジョン!栃木県の異空間「大谷資料館」行ってみた

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栃木県、宇都宮駅から、バスで30分。切り立った崖のような石に囲まれたところに大谷資料館という建物があります。通称、「巨大神殿」「ダンジョン」。その正体は大正時代に開かれた「大谷石」(おおやいし)の採石場です。

RPGみたい! どんな場所なんだろう?

現在、採掘は終了。「大谷資料館」として、人気の観光名所となっています。

戦時中は「秘密工場」!地下に潜む巨大な採石場だった

広さ2万平方メートルという巨大な空間の歴史は、1919(大正8)年から始まります。1986(昭和61)年に採石場としての歴史を終えるまで約70年間、「大谷石」を掘り出してきました。野球場がすっぽり入ってしまう大きさと言えば、なんとなくイメージしていただけるでしょうか。

戦時中は、陸軍の地下秘密工場として使われていたそう!1945(昭和20)年は中島飛行機(現 富士重工)の地下軍需工場で、この暗く広々とした空間には飛行機が置かれていました。また、年間を通して8度前後という安定した冷蔵庫のような気温なこともあり、戦後には政府米の「貯蔵庫」として利用されていたとのこと。
大谷資料館としてのオープンは1979(昭和54)年。以来、独自の魅力を活かし、アーティストのMVや映画のロケ地、美術展の開催、結婚式場など多彩な場を提供しています。

昔からずいぶん色んなことに使われているのですね!

大谷石とは?耐火性にすぐれた宇都宮市の名産


白っぽく、あたたかみのある風合いが特徴の大谷石。宇都宮市の大谷町近くで多く産出される軽石凝灰岩(かるいしぎょうかいがん)です。

駅前にある有名な「餃子像」も大谷石でできています。

よく見たら……確かにこれは餃子

大谷石は比重が小さく軽く、加工しやすいという特徴を持ちます。それゆえに建築資材などに多く使われました。耐火性にすぐれ、焼却炉や七輪、時にはピザ窯に使われることもあるのだとか。

独特の雰囲気は建築家フランク・ロイド・ライトを魅了し、名建築「旧帝国ホテル」本館にも多く使われました。現在は明治村に玄関部分だけ一部移築されています。

気分はオペラ座の怪人?異空間に圧倒される


資料館入り口でチケットを買い、長い階段を降り、採石場に入っていきます。いきなりぐっと暗くなり、冷気が肌に触れ、まるでオペラ座の怪人のワンシーンを体験しているよう。


さらに細い階段を降りきると、そこは別世界。ぽかっと開いた空間に、切り開かれた石の壁が並んでいます。インディージョーンズや、ドラゴンクエストの世界に入り込んだ気分に。

ロープで仕切られていますが、地下水が湧き出ている箇所も多いですし、明かりがない場所はとても暗いので、必ず順路に従って進みましょう。

なかなかハードな道のり

手掘りと機械掘り……歴史を感じる箇所があちこちに

入り口横には、大谷石の歴史や用途などを説明した資料室があります。実際に石を掘り出すのに使われたツルハシなどの道具や、地上へ石を運ぶ道具などが展示されているので、降りる前に見ておくのがおすすめです。

機械彫りは深々と筋が入っている

70年の歴史を持つ採石場。機械化前の手掘りで採石されていた箇所と、機械で採石した箇所を見ることができます。その違いは歴然。

手彫りは浅く、細やかな筋が入っているのみ

いくら大谷石が柔らかく加工しやすいといっても、手作業での採掘がいかに大変だったか、またデジタルカメラも内視鏡もない時代に、正確に掘り進められてきたのかがわかり、先人の知恵に驚くはずです。

かすかに見える光が地上部分

とてもとても深い採石場。「見上げてみて」という表示があり見上げたところ、思わず「えっ」と声を上げてしまいました。かつて採石を行っていた人々はエレベーターなどなく上り下りしていたと考えると、圧倒されます。今のような長時間保つ明るい電気もない暗い中、採石を進めていた人たちを思うと、頭が下がります。

採石場内部は夏でも気温があがらないので、大きな冷蔵庫に入った感覚があります。
実際、取材した日は大変に天気が良く、外は19度ありました。資料館の中はなんと7度。戦後天然の貯蔵庫として使われたのも納得です。

家庭用冷蔵庫の温度が0~10℃程度だそうです!

きっと事故もあったでしょうし、戦時下軍事利用された経験も持つこの場所。現在は全く違う形で利用されるようになりました。

『るろ剣』『翔んで埼玉』などに登場!大谷資料館の現在

この大谷資料館は独特の雰囲気を活かし、さまざまな映画のロケ地、アーティストのMVなどに使われています。例えば『るろうに剣心』、『翔んで埼玉』、GLAYのMV、海外ブランドの発表会でも使用されていて、資料館内に写真も飾られていました。

るろうに剣心に関しては、出口近くに、こんな表示が。「天井近くから人をつるす」という表現に衝撃を受けます。

近年は、芸術作品の展示場所となることもあり、假屋崎省吾さんの幻想的な作品などが飾られていました。幻想的すぎて、暗がりからいきなり現れると少し驚くほど。地下水が池のようになっている場所で見る芸術作品は、迫力がすごかったです。

かつての採石場が、次第にアートの場に!

昔も今も、人々のそばで


あまりにも広く、別世界に舞い込んでの気持ちになる大谷資料館。その裏には、様々な人々の苦悩があったことでしょう。採石場としての役目を終えたあとも、その美しさと圧巻のスケールで人々を魅了しています。

大谷資料館
住所:〒321-0345 栃木県宇都宮市大谷町909
TEL. 028-652-1232 FAX.028-652-0010
開館時間 4月~11月9:00~17:00(最終入館16:30まで) 12月~3月9:30〜16:30 (最終入館16:00まで)

書いた人

歌舞伎を着物で観つつ和菓子を食べ茶を点て過ごす日々。実はTOEIC910点だが、あまり活用していない。旅行とコスメと本が好き。ラグビーとプロレスで叫んでいることもある。今日も漫画は面白い。

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大学で源氏物語を専攻していた。が、この話をしても「へーそうなんだ」以上の会話が生まれたことはないので、わざわざ誰かに話すことはない。学生時代は茶道や華道、歌舞伎などの日本文化を楽しんでいたものの、子育てに追われる今残ったのは小さな茶箱のみ。旅行によく出かけ、好きな場所は海辺のリゾート地。