CATEGORY

最新号紹介

10,11月号2024.08.30発売

大人だけが知っている!「静寂の京都」

閉じる
Craft
2019.09.13

日本の工芸技術はケタ違い! 「明治の超絶技巧」が間近で見られる3つの美術館

この記事を書いた人

幕末から明治にかけて、超絶技巧を駆使した新しい工芸品が続々と現れたことをご存知でしょうか? 伝統的技法を受け継いだ工芸作家たちが、匠の技と心血を注いで制作した作品の数々は、今も圧倒的な存在感で、見る者を魅了してやみません。そんな工芸作品から、七宝(しっぽう)や金工、漆工や陶磁器など、明治工芸の超絶技巧を堪能できる3つの美術館をご紹介します。

館長が蒐集した超絶技巧の名品を常設展示する「清水三年坂美術館」

明治工芸並河靖之「桜蝶図平皿」 七宝 径24.6㎝ 明治時代 清水三年坂美術館 深い黄緑色の地を背景に色とりどりの蝶と薄紅色の桜が描かれた並河作品らしさを存分にたたえた有線七宝の名品。並河が生涯をかけて追求した、有線七宝による文様の優美さが際立つ。

京都のランドマークである「八坂の塔」を見下ろす三年坂の途中にあるのが、幕末から明治にかけての工芸の名品を数多く所蔵する「清水三年坂美術館」です。

2000年9月に開館した、七宝から金工、蒔絵に印籠、京薩摩など、「明治の超絶技巧」と呼ばれる作品の数々を常設展示する日本初の美術館の所蔵作品は、すべて館長の村田理如(むらたまさゆき)氏が30年以上の歳月をかけて蒐集したもの。その中核をなす作品が、2014年〜2015年に全国各地を巡回した「超絶技巧! 明治工芸の粋」展で紹介されると、まさに超絶というべき技巧に人々は驚愕。その凄さを多くの人に知られるようになりました。

明治工芸正阿弥勝義「群鶏図香炉」 金工 高さ15.0㎝ 明治時代 清水三年坂美術館 香炉の本体は、銀地に金、銀、赤銅、素銅などの素材を象嵌(ぞうがん)して鶏の群れをパノラマのように配している。蓋の文様に至っては菊の花弁の1枚1枚を、ドーム型の一枚の銀板を鏨(たがね)で彫り出して表現。刀装具制作で培った技を駆使した代表作。

こちらでは、明治工芸の中でも特に細密にして華麗な優品を1階の展示室で常時公開(随時展示替えあり)。超絶技巧をつぶさに鑑賞できる希有な空間となっています。また2階は3か月ごとにテーマを決めて企画展示が行われ、多角的な作品鑑賞が可能です。

明治工芸

◆清水三年坂美術館
住所 京都市東山区清水寺門前産寧坂北入清水3-337-1
TEL 075-532-4270
開館時間 10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜、火曜(祝日の場合は開館)、臨時休館あり
入館料 800円
公式サイト

世界に比類なき美をたたえた七宝がずらり!「並河靖之七宝記念館」

明治工芸並河靖之「浜松風景文撫六角面取花瓶」 20.3×11.0㎝ 明治時代 並河靖之七宝記念館 銅や銀の器胎に金、銀、銅線などで文様の輪郭をつくり、そこにガラス質の釉薬を載せて焼成、仕上げに研磨して美しい色彩の装飾文様を浮かび上がらせる有線七宝を究めた。

明治の超絶技巧を代表する七宝で名高い並河靖之(なみかわやすゆき)。高い美意識と卓越した技術による並河七宝は、日本を代表する芸術品として世界にその名を轟かせています。そうした数々の七宝が製作された旧邸を2003年から記念館として一般公開しているのが「並河靖之七宝記念館」です。

並河七宝の展示はもちろんのこと、作品の下画や製作道具など、並河家に伝わる縁の品々を往時のままの旧邸とともに鑑賞できるようになっています。明治27(1894)年完成という旧邸の庭は、「植治」の屋号で知られる明治時代の造園家、七代目・小川治兵衛(おがわじへえ)の作です。

明治工芸

◆並河靖之七宝記念館
住所 京都市東山区三条通北裏白川筋東入堀池町388
TEL 075-752-3277
開館時間 10:00〜16:30(入館は16:00まで)
休館日 月曜、木曜(祝日の場合は開館、翌日休館)、夏季、冬季、長期休館あり
入館料 800円
公式サイト

建物自体がもう重要文化財!「東京国立近代美術館工芸館」

明治工芸初代永澤永信「白磁籠目花鳥貼付飾壺」 明治10(1877)年 個人蔵(東京国立近代美術館寄託) 撮影/アローアートワークス 一見すると竹籠に着色したような外部の造形だが、すべて白磁でできているというから、驚愕すべき技巧が施された一作と言える。初代永澤永信(ながさわえいしん)は兵庫の出石焼を代表する陶工で伝統の白磁を用いた華麗な作品で知られる。

東京・竹橋にある東京国立近代美術館の分館として昭和52(1977)年にオープンした「工芸館」では、明治時代以降の日本の工芸作品を中心とした所蔵作品展と、企画展の両面から、近代工芸の有り様を鑑賞することができます。

所蔵作品の幅は陶磁器をはじめとして、ガラスや漆工、木工、染織、さらには工業デザインまで、極めて幅広く、工芸を取り扱う美術館としては質量ともに日本屈指。また建物自体も明治の洋風レンガ造の典型として重要文化財に指定されています。

明治工芸

◆東京国立近代美術館工芸館
住所 東京都千代田区北の丸公園1-1
TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間 10:00〜17:00(入館は閉館の16:30まで)
休館日 月曜(祝日は開館し、翌日休館)、展示替期間、年末年始
観覧料 所蔵作品展250円(企画展は別途)
公式サイト

※2020年夏、工芸館のみ石川県金沢市に移転。

※状況により、美術館は臨時休館となる可能性があります。詳細・最新情報は、各美術館のHPをご確認ください。