「民藝の息づく街を訪ねて」シリーズ一覧はこちら。
盛岡の民藝や手仕事はこんなに個性豊かです
南部鉄器からホームスパンまで… 見ているだけで心浮き立つ
東北民藝の聖地という名にふさわしく、これだけ幅広いバリエーションの民藝や手仕事がそろう街は、全国を見渡しても、そうはありません。東北地方は冬が長く、農民たちが農閑期を利用して手工業に従事してきたことから、職人の技術が発展しました。厳しい気候や交通の不便のもとでも、人々がつくったものは、素朴で慎ましやか。そんな日用品に柳宗悦も魅了され、「民藝の宝庫」と評したといいます。盛岡の代表的な民藝や手仕事は、確かに、並べてみると心が温まるものばかり。また「ござ九・森九商店」や「釜定」がある紺屋町は、南部藩時代、盛岡城下を通る奥州街道に沿って発展した町人町。昔の趣が残っているので、今でも歩くだけで、当時の雰囲気が味わえます。
「ござ九・森九商店」の>岩手産の竹製弁当カゴと地ほうき
「うるみ工芸」の浄法寺塗の片口と椀
「蛭子屋 小野染彩所」の南部古代型染のブックカバーとコースター
【店舗情報】ござ九・森九商店
ござく・もりくしょうてん
昔ながらの生活道具がずらりと並ぶ「ござ九・森九商店」。文化13(1816)年より、ザルやほうきといった荒物や日用品を扱う。建物自体も景観重要建造物に指定されており、藩政時代からの盛岡の姿を肌で感じられる。写真のほかにも、90代の職人が編む遠野のわらじなど、店を通して、東北を中心とした手仕事の文化を伝えたいと願う。
住所:岩手県盛岡市紺屋町1-31
電話:019-622-7129
営業時間:8時30分~16時30分
休み:日曜
http://morioka539.com
【店舗情報】うるみ工芸
うるみこうげい
マットな風合いが特徴の浄法寺塗を製作する「うるみ工芸」。漆の一大産地である二戸(にのへ)。「浄法寺塗」は、奈良時代よりこの地にある天台寺の僧侶が使うために、つくられたといわれているが、それを唯一盛岡で製作する。マットな本朱(ほんしゅ)と溜(ため 黒に近い茶)の上塗りが特徴で、ほかのうつわと相性もよい。
住所:岩手県盛岡市中央通2-9-23
電話:019-654-4615
営業時間:10時~17時
休み:日曜
http://www.urumi.jp/
【店舗情報】蛭子屋 小野染彩所
えびすや おのせんさいしょ
南部古代型染を400年以上にわたり継承「蛭子屋 小野染彩所」。武田家の一族である南部家の御用染師として始まった蛭子屋。南部古代型染は藩士の豪快な気性を思わせる、ダイナミックで縁起のよい文様が特徴で、今ではさまざまな日用品にもアレンジされている。男性人気も高い。
住所:岩手県盛岡市材木町10-16
電話:019-652-4116(代表)
営業時間:10時~17時30分
休み:日曜、年末年始
https://katazome.jp/
撮影/篠原宏明 構成/湯口かおり
※本記事は雑誌『和樂(2021~2022年12・1月号)』の転載です。
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