マンガや小説を読んでいるうちに、登場人物だけでなく作者にも興味をもち、作者本人を推しだす方も多いのでは。『光る君へ』の主人公・紫式部も、きっとたくさんの人の“推し作家”だったことでしょう。
そこで、これまでに描かれた紫式部の肖像画をパブリックドメインから集めてみました。これだけたくさんポートレートがあるなんて、みんなに愛されている証拠。さて、どんな風に描かれていたのでしょう?
紫式部のポートレート
まずは紫式部を描いた作品6点を一気にご紹介!
さすが美人画の清長! 肩にかかる髪の流れまで美しい
粋な雰囲気の紫式部。「てやんでい」とか言いそう
これぞ、私たちの想像する「平安美人」
“ブロマイド”がヒットした春信。手の置き方までアイドルっぽくてカワイイ!
江戸好みのスッキリした顔立ちに、平安風の眉毛とヘアスタイル。平安と江戸のいいとこどり
しっとり大人な紫式部。顔や姿がすべて見えないところが色っぽい
どれも個性が光る作品ですが、ある共通点があります。
すべてに月が登場!
今回集めた肖像画を見てみると、すべての紫式部は月とセットで描かれていませんか? 月の実物が描かれていないものも、紫式部が月を見上げている様子が見てとれます。
これは、紫式部が月の名所として知られる石山寺(滋賀県)に参籠中、月を愛でながら『源氏物語』の構想を練った……という話によるものでしょう。絵師のみなさん、このシチュエーションをどう描くかが、腕の見せどころだったのでしょうか?
NHK大河ドラマ『光る君へ』でも、藤原道長と紫式部を結ぶものとして月が登場します。古から、日本人は月を大切に愛でてきました。詳しくは馬場あき子先生の記事でどうぞ。
水面に映る望月にことさらな趣を感じた平安貴族。馬場あき子【和歌で読み解く日本のこころ】
ところで『光る君へ』では、藤原道長の「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」は登場するのかどうか気になるところ。月に注目してドラマを見てみるのも面白そうですね。