〝ブルガリ〟が見出した色石の芸術と可能性
ローマの老舗ハイジュエラー〝ブルガリ〟。日本では10年ぶり、そして過去最大スケールとなる展覧会『ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧』が、9月17日〜12月15日、東京の国立新美術館にて開催されます。「カレイドス」とは、ギリシャ語の「美しい(カロス)」と「形態(エイドス)」を組み合わせた造語。約350点ものマスターピースを通して、メゾンが現在まで辿ってきた、美と創造性の調和を探求していきます。
展覧会は、おもに3つの章から構成。「色彩の科学」「色彩の象徴性」「光のパワー」と、全体を通してテーマとなるのは、“ブルガリ”の真髄である「色彩」。1900年代初頭まではプラチナを用いた色味を限定したハイジュエリーが主流であったのを、第二次世界大戦後に色鮮やかなハイジュエリーを誕生させ、宝石界に革命を起こしたのが〝ブルガリ〟でした。1950年代にはイエローゴールドにサファイア、ルビー、エメラルド、さらにダイヤモンドを組み合わせる大胆なコンビネーションを発表。またアメシストやシトリン、ターコイズといった半貴石もあしらう大胆な挑戦は、メゾンに「色石の魔術師」としての名声を確立することになります。
Chapter1 色彩の科学
初お目見えのブレスレットも必見
ジュエリーを通して、色彩がもたらす効果を科学的に追究。色同士の相互作用について探っていきます。なかでもイタリア国外では初の展示となるシトリンのブレスレットは見逃せない逸品。

「『ビブ』ネックレス」ゴールド、プラチナ、エメラルド、アメシスト、ターコイズ、ダイヤモンド 1968年 リン・レブソン旧蔵 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション
「ペンダントイヤリング」ゴールド、プラチナ、エメラルド、アメシスト、ターコイズ、ダイヤモンド 1968年 リン・レブソン旧蔵 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

「ブレスレット」ゴールド、プラチナ、シトリン、ダイヤモンド 1940年ごろ ブルガリ・ヘリテージ・コレクション
Chapter2 色彩の象徴性
言葉ではなく色に込めるメッセージとは
色の文化的、象徴的な側面を掘り下げる章。意味や感情を、色彩を使ってどのように伝えてきたかを考察していきます。伝説のネックレス「セブン・ワンダーズ」は往年の映画女優の胸元を飾ったアイコニックな傑作。

「バングル」ゴールド、プラチナ、ルビー、サファイア、ダイヤモンド 1954~55年 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション

「ネックレス」プラチナ、エメラルド、ダイヤモンド 1961年 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション
Chapter3 光のパワー
メゾンの精神をさまざまな色石に体現
人間が色を感知する際の、光の役割に焦点を当てた章。多様な色石を用いたあでやかなハイジュエリーが、展覧会のハイライトを飾ります。シルバーやゴールドなど反射する素材において、光がどのように作用するかも観察していきます。

「コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット」ゴールド、アメシスト、ターコイズ、シトリン、ルビー、エメラルド、ダイヤモンド 1969年ごろ ブルガリ・ヘリテージ・コレクション
展覧会では、さらにララ・ファヴァレット、森万里子(もりまりこ)、中山晃子(なかやまあきこ)の3名のアーティストによる作品も展示されます。色彩豊かなハイジュエリーから着想を得た作品は、〝ブルガリ〟の世界を、より新鮮に、多角的に魅せてくれることでしょう。
『ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧』

会場 国立新美術館 企画展示室2E
東京都港区六本木7-22-2
会期 9月17日(水)〜12月15日(月)
休館日 毎週火曜日 ただし 9月23日
(火・祝)は開館、 9月24日(水)は休館
開館時間 10時〜18時(金・土曜日は~20時、入場は閉館の30分前まで)
観覧料 一般 2,300円
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.bulgari.com/ja-jp/stories/kaleidos-exhibition
構成/湯口かおり
※本記事は『和樂(2025年10・11月号)』の転載です。

