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2025.11.25

サクサク、ふんわり!揚げたての油揚げを福井の名店「谷口屋」で【みんな大好き「おあげさん」1】

中国から豆腐が伝来し、日本で油揚げを食べるようになったのは室町時代のころ。庶民の食卓に登場するのは、江戸時代中期といわれています。豆腐よりも日もちがして、栄養価も高い油揚げは日々のおかずに欠かせないもので、形や厚みを変え、袋状にしたりと、日本で独自の進化をとげました。「おあげさん」好きな地といえば、油揚げとがんもどきの購入額が61 年連続で全国1位の福井県。浄土真宗の宗祖・ 親鸞聖人の月命日に食べられる精進料理に欠かせない油揚げは、信仰の篤さに比例して、重量感も増えたとか。まずは、手揚げにこだわる有名店【谷口屋】へご案内します。

完成まで1時間! 揚げたての油揚げが食べられる食事処【谷口屋】(福井県坂井市)

一辺約13㎝・厚さ3㎝。
外はサクッ、中はふんわりジューシーな大きな油揚げで人気のこの店は、福井駅から車で30分離れた山間の竹田地区に大正14(1925)年に創業。
山を越えれば丸岡城の城下町で、山代温泉にも程近く、旅館のおかみさんたちなどの口コミで評判が広まりました。

油揚げをつくるには、豆乳濃度や水分量を変えた専用の生地が必要ですが、基本は豆腐と同じ。おいしい豆腐がつくれる先に、味わい深い油揚げができます。
「初代はにがりの打ち方が上手だったようです」とは広報部長の谷口弘晃さん。
弘晃さんの母・富士子さんは、「ここに嫁いだときに、木綿豆腐がふるふるしていて驚きました」と昔を振り返ります。

約100回上下に返し、約1時間かけて揚げます


さて、この店の油揚げの特筆すべき点は、厚みがあるのに軽い食感で、それが長く続くところ。中の生地が軽すぎず、重すぎず、ふんわりと食べやすい。

秘密は生地の製法と揚げ方。「時間をかけて豆乳に空気を含ませると、生地が油の中でよく伸びます」と弘晃さん。
油の温度を上げ下げしながら、徐々に水分を飛ばして生地をふくらませます。手揚げで完成まで約1時間かかるとか!

山の奥深い所にある竹田は、冬季に限らず食材の確保が重要でした。
貴重なたんぱく源であり、保存食である油揚げをおいしく食べるための創意工夫がこの一枚を生んだのです。

食事処の定番人気は「あげ1枚御膳」1,760円。越前海岸の海水塩や岩塩、特製醬油などの薬味で味比べも楽しい。豆の甘みがあり、塩だけでも大満足。かつては1辺が9㎝ほどだったが、3代目主人が「家族団欒(だんらん)で食べてもらいたい」と現在の13㎝に変更。国産大豆、圧縮一番搾りの菜種油など原料も改良した。

気泡がいっぱい! これがサクサクの秘密

熱々のうちに箸で大きく割いて、大根おろしやネギとざっくり混ぜて、醬油をまわしかけるのがつくり手である谷口家のおすすめの食べ方。カリッ、サクッとした口あたりだが、大豆の味わいも感じられるように中心部にしっとりした食感を残してあるのが職人の技。

お土産にはこれ!

左/豆乳を使ったスイーツの一例、「豆乳ロールケーキ」(プレーン)350円。右/薄い油揚げも、大豆の旨みをしっかり感じる。「巾着うすあげ」2枚入・330円。自慢の「豆腐」も数量限定で売店にて販売。

竹田の里までいらっしゃいませ!

4代目主人・谷口富士子さん。「谷口屋の、おあげ」1枚699円。

谷口屋(たにぐちや)

住所:福井県坂井市丸岡町上竹田37-26-1
電話:0776-67-2202 
営業時間:食事処は10時30分〜15時(L.O.、12月から3月中旬は11時〜14時、土日祝日10時30分〜15時) ※売店の情報は公式サイトでご確認ください。
休み:火曜、年末年始
公式サイト:https://taniguchiya.co.jp/

※本記事は雑誌『和樂(2025年2・3月号)』の転載です。掲載価格はすべて税込です。価格や営業時間などは2025年11月現在のもので、変更される場合もありますのであらかじめ公式サイトなどでご確認ください。
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和樂web編集部


撮影/内藤貞保 構成/藤田 優
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