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2025.12.01

日本一油揚げを愛する福井人が推す!毎日食べたい「おあげさん」名品7選【みんな大好き「おあげさん」2】

日本では室町時代から食べられるようになり、江戸時代中期から庶民の食卓に上った油揚げ。油揚げ好き日本一の福井県の「おあげさん」は、正方形で厚みのあるタイプ。他府県で認識されている「厚揚げ(生揚げ)」に見た目が近いものもあれば、中はふわふわの別物もあってバリエーション豊富です。個性あふれる町の豆腐屋さんの逸品の中からおすすめの7品を【ヤマショウ商店】ご主人・山田さんに教えてもらいました。

日本一油揚げを愛する福井人が食べている油揚げとは? 県内を食べ尽くしてきた達人が選定!

福井の油揚げは、大まかに「厚揚げ」「薄揚げ」(他府県でいう油揚げ)の2種類に分かれます。
呼び名に混同しそうですが、一般的な厚揚げは水切り木綿豆腐を素揚げしたもの。
福井の「厚揚げ」も木綿豆腐が元になりますが、低温から高温に移して揚げる「薄揚げ」同様の製法が多いため、それ専用の生地が必要に。

そんな「厚揚げ」を地元民は煮物に適した「煮揚げ」(中心部はみっちりと豆腐の質感)と、焼くとよりおいしい「焼揚げ」(中の気泡が多い)に使い分けるとか。

ヤマショウ本店の山田庄一郎さん曰く、「つくり手は昔からの製法を続けているだけで、食べる側の好みで選んでいるとも言えます(笑)。ふたつのいいとこどりをした油揚げもあったりするし、『焼揚げ』を煮ても、ジューシーな味わいになるんです」。

「ヤマショウ商店」は、代々醬油製造業と並行して、豆腐・油揚げづくりに欠かせないにがりや菜種油の卸業を営んできました。
山田さんは市街地に配達する折、足を延ばして、村に根づく豆腐屋さんを見つけることが楽しみになったそう。
「そこで暮らす住人のために、地道にすごいものをつくっている生産者さんを知ってもらえたら」。

「ヤマショウ商店」の店頭には常時、3種類ほど稀少なつくり手の油揚げが並ぶとか。買い支えることで、福井の油揚げ文化を残したいと考える山田さんです。

小さなつくり手を応援したい!

左/ヤマショウ商店の主人・山田庄一郎さん。右/店頭には山田さんが自らほれ込んだ油揚げが常時3種類ほど置かれている。

ヤマショウ商店

住所:県福井市左内町9-25
電話:0776-36-1563
営業時間:9時〜18時
休み:水曜・日曜
公式Instagram:@yamasho_soy
※油揚げの発送は要相談。

福井のおあげさん名品図鑑

1・高橋金蔵商店の「伊自良の里 厚あげ」

縦11㎝・横11㎝・厚さ5㎝

煮汁で炊く〝煮揚げ〟に!

手つかずの里山が広がる福井市美山地区で4代続く豆腐店。
「昔からのやり方をする人が少ないので、珍しいだけ」と主人は謙遜するが、大きな鉄釜で豆乳を根気強く煮詰めて、豆の旨みを引き出す。
「油の温度を少しずつ上げることで皮に張りがあり、中は豆腐がみっちり。おいしい『煮揚げ』の理想です」(山田さん)。

●「伊自良(いじら)の里 厚揚げ」1枚388円(製造元の提示価格。以下同)。発送可。
問い合わせ先/高橋金蔵商店 電話:0776-93-2036

2・トーフ庵の「あぶらあげ」

縦13㎝・横13㎝・厚さ3.5㎝

カリッと〝焼揚げ〟に!

実家の「谷口屋」から約30年前に独立し、福井市内で独自の道を進む谷口満さん。
福井産大豆「サトノホホエミ」を100%使用し、豆の味の濃い豆腐と油揚げをつくる。
「トーフ庵さんの油揚げは、皮の仕上がりが独特。外側にふくらんでいて、ここが焼き直してもパリパリッとした食感に。独自配合の油で色が濃く、香ばしい匂いもたまりません」(山田さん)。

●「あぶらあげ」1枚335円。発送可。
問い合わせ先/トーフ庵 電話0776-56-8668

3・酒井豆腐店の「三角あげ」

短辺10㎝・長辺12㎝・厚さ2.5㎝

おでんや鍋焼きうどんに!

かつて油揚げの自販機に入れるために(!)、厚揚げの半分の薄さの「三角揚げ」の製造を依頼され、いつからか定番になったと飄々(ひょうひょう)と語る主人。
三角形をきれいに保ったまま揚げるには、手間と時間がかかり、福井でも稀少な存在に。
「おでんや鍋焼きうどんに入れると、出汁が染みて最高。煮崩れもしません」(山田さん)。

●「三角あげ」1袋4個入250円。要事前予約。
問い合わせ先/酒井豆腐店 電話:0778-65-1361

4・林とうふの「絹あげ」

縦4㎝・横9㎝・厚さ10㎝

福井人はこれも油揚げと呼ぶ

80年にわたって親しまれてきた敦賀の名豆腐店が後継者不足につき閉店。が2024年5月に再開! 
看板商品の「絹どうふ」とそれを素揚げした「絹あげ」も見事に復活した。
「絹あげ」は「豆乳の濃さと水切りの塩梅(あんばい)がおいしさのすべて」と主人。
「皮がごく薄く、中はトロトロ。福井市から敦賀は距離がありますが、この味はわざわざ足を運んでも食べたい」(山田さん)。

●「絹あげ」142円。店頭販売のみ。
問い合わせ先/林とうふ 電話:0770-22-1338 

5・板垣商店の「おぼろ揚げ」

縦9㎝・横9㎝・厚さ5㎝

ふわふわ食感を楽しむ

夏は売れ行きのいいおぼろ豆腐を冬でも同じように売りたいと考えた主人。
水を切ったおぼろ豆腐を素揚げにした「おぼろ揚げ」は、煮ても、焼いても絹揚げのような食感が楽しめると好評。
「福井では鍋料理にも油揚げが欠かせません。ここの『おぼろ揚げ』をぜひ鍋に入れてみてください。日にちが経つと締まってくるので、焼いて食べるなら当日がおすすめ」(山田さん)。

●「おぼろ揚げ」240円。発送可。
問い合わせ先/板垣商店 電話:0776-23-1024

6・農家のとうふ屋さんの「あお豆あげ」

縦6.5㎝・横6.5㎝・厚さ4.5㎝

自家栽培した青大豆の風味満点

製造元の「ゆいファーム」は大野市蕨生(わらびょう)が拠点。
日本百名山・荒島岳(あらしまだけ)のふもとに位置する盆地は、農作物がよく育つ。おいしい青大豆を加工品に、として生まれたのがこの一品。
「青豆特有の香り、甘みはほかにはない味わい。まずは焼いただけで口にして、この香りに驚いてほしいです。煮物にしても香りが残ってうまい!」(山田さん)。

●「あお豆あげ」1袋4個入290円。発送可。
問い合わせ先/ゆいファーム 電話:0779-66-2218

7・杉下とうふ店の「うすあげさん」

縦11㎝・横30㎝・厚さ0.3㎝

炊き込みごはんや味噌汁に!

福井でもこの薄揚げは珍しい! 現在66歳の女主人がひとりで祖父から教わった秘伝の製法で豆腐と油揚げづくりに励む。
薄揚げの皮はやや硬めで、煮ると肉のような食べ応えのある食感に。
「ごく小さな生地が揚げるとこんなに大きくなるそうで、面白い(笑)。炊き込みごはんにはこの薄さがちょうどいいんです」(山田さん)。

●「うすあげさん」1袋2個入190円。
問い合わせ先/杉下とうふ店 電話:0779-64-1184

福井のフェスといえば「あげフェス」です!


山田さんも実行委員に名を連ねる、年1回開催される油揚げの祭典「あげフェス」。
福井駅前の広場には各店の実演販売や郷土料理の販売もあって、盛り上がります。6度目となった2024年度は2日間で1万人が来場! 2025年は11月に終了し、2026年も11月に開催予定。
●問い合わせ先/福井市にぎわい交流施設 電話:0776-20-2901

【みんな大好き「おあげさん」】シリーズ一覧はこちら

※本記事は雑誌『和樂(2025年2・3月号)』の転載です。掲載価格はすべて税込です。価格や営業時間などは2025年11月現在のもので、変更される場合もありますのであらかじめ公式サイトなどでご確認ください。
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和樂web編集部


撮影/内藤貞保 構成/藤田 優
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