【京都の美術館で「工藝の美」に酔う】前編は、こちら。
京都市京セラ美術館|京都の近代工芸を季節ごとに紹介、岡崎エリアのおすすめスポット

京都で工藝を楽しむのに“穴場”ともいえるのが、京都市京セラ美術館のコレクションルームかもしれません。ここでは、京都の近代工芸を紹介。主に明治から昭和の陶芸、漆工(しっこう)、染織といった作品を通して、京都で育まれた美意識が、近代へとどのように受け継がれてきたのかを辿ることができます。清水六兵衞、富本憲吉(とみもとけんきち)、八木一夫(やぎかずお)……京都の工藝の層の厚さと広がりを、足を運ぶたびにあらためて思い知らされます。

工藝の展示情報
国内最古の公立美術館建築内にあるコレクションルームでは、約4400点を誇る収蔵品の中から、季節感を意識したセレクトで、工藝のほか、多分野の作品を紹介(『大礼磁仙果文花瓶』と『青華水指』の展示は未定です)。

●京都市京セラ美術館 DATA
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
電話:075-771-4334
公式サイト:https://kyotocity-kyocera.museum/
河井寛次郎記念館|用の美を生きた陶工・河井寬次郎の生活と造形の原点、ここに在り

大正から昭和にかけて活躍した陶芸家・河井寛次郎(かわいかんじろう)が、晩年まで暮らし、制作を続けた住まいと工房を公開する記念館です。
柳宗悦(やなぎむねよし)による民藝運動の中心的存在として、寛次郎は「用の美」を理念に掲げ、鑑賞のための美ではなく、日々の生活で使われるうつわにこそ美の本質がある、と考えました。また陶芸にとどまらず、彫刻や言葉、建築へと表現を拡張。「生きること」そのものを創作ととらえていたのです。
来訪者の多くが口にするのは、「時間を忘れて滞在できる」「心が定まる場所」という実感です。記念館では、迫力ある登窯(のぼりがま)や、轆轤(ろくろ)を回していた仕事場を巡りながら、寛次郎が追い求めた生命感あふれる工藝の美に触れることができます。


工藝の展示情報
テーマを設けた展覧会ではなく、年に4回の展示替えで、寬次郎の世界を紹介。訪れるたびに新たな作品や展示に出合えるのが魅力。

●河井寬次郎記念館 DATA
住所:京都府京都市東山区五条坂鐘鋳町569
電話:075-561-3585
公式サイト:http://www.kanjiro.jp/
何必館・京都現代美術館|祇園散策時に立ち寄りたい! 魯山人コレクションと上質な現代アート

祇園商店街に面したエントランスのドアが開くと静寂が。この美術館は、22歳のときに村上華岳(むらかみかがく)の一枚の絵と出合い、美の道へ進んだ創設者で館長の梶川芳友(かじかわよしとも)さんが、理想の作品鑑賞の場としてつくりあげたもの。自ら設計し、7年の歳月をかけました。
コレクションには村上華岳、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)、山口薫(やまぐちかおる)らの名品が。魯山人作品室は常設展示で、花を入れて展示されている作品もあります。料理を盛るための、花を活けるための…と制作した魯山人のやきものが、あるべき姿で鑑賞できるのです。
現代アートの企画展は年に2回ほど。5月10日までは、梶川さんが四半世紀にわたって活動を見つめてきた写真家、サラ・ムーンの個展が開催されています。

工藝の展示情報
地階の北大路魯山人作品室は、企画展とともに常時観覧可能。何必館のシンボル的存在であるモミジが植えられた「光庭」は最上階の5階に。

●何必館(かひつかん)・京都現代美術館 DATA
住所:京都府京都市東山区祇園町北側271
電話:075-525-1311
公式サイト:http://www.kahitsukan.or.jp/
京都伝統産業ミュージアム|京都の工藝すべてが集結! 好奇心を満たしたあとはお買い物も

京都の工藝――それだけで上質な特別感が漂います。この町の歴史は、茶道や能といった日本独自の文化を育み、それらに用いるさまざまな道具や調度、衣装などを高度な技術でつくりあげる伝統産業を継承してきました。
平安神宮や京都国立近代美術館にほど近い、京都市勧業館みやこめっせ内には京都伝統産業ミュージアムが。京都の伝統産業74品目を展示。制作の工程や、素材・道具なども紹介されています。
地階とはいえ外光も入るこのミュージアムでは、併設されたショップも楽しみのひとつ。旅の記念として、伝統工芸から何かを連れて帰りたくなるかもしれません。

工藝の展示情報
常時、京都の伝統工芸が鑑賞できるミュージアム。多種多様な品々に驚かされる。企画展示では、現代の新たな工芸品も展示。

●京都伝統産業ミュージアム DATA
住所:京都府京都市左京区岡崎成勝寺町9-1 京都市勧業館みやこめっせB1
電話:075-762-2670
公式サイト:https://kmtc.jp/
千總ギャラリー|室町時代創業の老舗コレクションに見る手描き友禅や染織、刺繡の粋

室町時代の弘治(こうじ)元(1555)年、法衣(ほうい)装束商として創業した「千總(ちそう)」。明治期には友禅染(ゆうぜんぞめ)に商いの主軸を移し、下絵を日本画家に依頼してデザインを一新するなど、京友禅の新時代を築いて現在に至ります。
いっぽうで、パトロンとして京都画壇を支えてきた一面も。この千總ギャラリーは、貴重な古い時代の染織の品から日本美術まで、多彩な所蔵品を公開するため、平成元(1989)年に開設。令和4(2022)年には現代作家の作品を扱う展示スペースを新たに加え、所蔵品と現代アートによる同一コンセプトの企画展などを開催しています。
きものをはじめとする染織工芸や近世・近代の絵画、そして現代アート。ゆったりと時間が流れる、気持ちのいい空間です。

工藝の展示情報
三条烏丸(さんじょうからすま)の千總本店の2階にギャラリーが。下の写真は所蔵品を展示するギャラリー1、ほかに現代アートを展示するギャラリー2も(日本画のみの展示の場合あり)。

●千總ギャラリー DATA
住所:京都府京都市中京区三条通烏丸西入ル御倉町80 千總本店2F
電話:075-253-1555
公式サイト:https://www.chiso.co.jp/gallery/

