ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス『おとぎ話(王たちのおとぎ話)』の全貌はこちら!
この風景は、輝く未来? それとも…

リトアニアの心を描いた早逝の芸術家
チュルリョーニスはリトアニアを代表する画家。旧ソ連からいち早く独立した、バルト三国のひとつとして知られるリトアニアは、中世からの長い歴史をもち、豊かな文化を育んできた国です。
1875年に生まれたチュルリョーニスは、はじめ音楽家として身を立て、やがて絵画に没頭。35歳の若さで没するまでの約6年間に、300点以上もの作品を手がけていて、本作は晩年の代表作のひとつ。
「チュルリョーニスは画業を通じて、宇宙を司(つかさど)る超越的存在としての『王』を描き続けました。ふたりの王が手にするドームの中には、光り輝くリトアニアの農村風景が収められています。そこには、当時ロシア帝国の支配下にあったリトアニアの民族復興の願いが込められているのでしょうか」(国立西洋美術館 研究員 山枡(やまます)あおいさん)
ふたりの王の背景は夜の森。それは、ただの闇ではありません。
「背景の暗い森に目を凝らすと、枝に小鳥のように止まる小さな城や家々や人々の存在に気づかされます。ひとつひとつの枝の上で密(ひそ)やかな物語が展開しており、その解釈は鑑賞者に委ねられています」
昨年、生誕150周年を迎え、ヨーロッパ各地で再評価されたチュルリョーニスの回顧展は、日本では34年ぶり。唯一無二の世界観に、魅せられてしまうでしょう。
一幅の絵にいくつもの物語を秘めて…

左の王は青い服を着て農村風景が描かれた輝くドームを手に持ち、右の王は赤い服を着て剣を持っている。
対照的なふたりの王の背景は、暗闇と思われる森。一見しただけではわからない、さまざまな物語が進行していて、神秘的かつ幻想的と評されるチュルリョーニスの魅力がぎっしり!
本展では、日本で初公開となる、謎に包まれた大作『レックス(王)』はじめ、約80 点が展示される。
「チュルリョーニス展 内なる星図」
国立西洋美術館 ~6月14日


国立西洋美術館 DATA
住所:東京都台東区上野公園7-7
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9:30~17:30(毎週金・土曜日は~20:00) ※入館は閉館の30分前まで。
休館日:月曜日(ただし月曜日が祝休日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始。臨時開館・休館あり
公式サイト:https://www.nmwa.go.jp/jp/
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※本記事は雑誌『和樂(2026年4・5月号)』の転載です。
※本誌では原寸で掲載しています。

