仏像・美術・名庭・美味・手仕事、静寂もカワイイも楽しめる秋の奈良1泊2日の旅 1日目
シカに癒やされてね!

10:00【東大寺】 奈良という古都の引力、その中心にこの寺がありました

最初に出かけたのは東大寺。
奈良時代、災害や社会不安が続くなか、聖武(しょうむ)天皇はすべてのものの幸福を願い、仏教の力で世を救おうと大仏造立を進めました。東大寺の大伽藍(だいがらん)は、多くの人びとの力を結集した一大プロジェクトだったのです。
「当時の仏教は、医療や土木、建築などの知識も含む総合的な先進文化でした」。そう教えてくれたのは、東大寺ミュージアムの学芸員・久永昂央(ひさながあきひさ)さん。
東大寺を訪ねるなら、まずはミュージアムへ。ここで寺の成り立ちや全体像をつかんでから大仏殿へ向かうのが、久永さんイチオシの順路です。館内には、奈良時代から受け継がれてきた宝物が並んでいます。かつて法華堂(ほっけどう)に安置されていた日光・月光菩薩像(にっこう・がっこうぼさつぞう)も間近で拝観できます。
「静かな環境で、細部まで見ていただけるのが魅力なんですよ」(久永さん)。土でつくられたとは思えない、やわらかな衣のひだ。塑像(そぞう)はもろく、外部へ出陳(しゅっちん)することができません。この2像に会えることも、東大寺を訪れる大きな理由になります。

広い境内には、南大門(なんだいもん)、大仏殿、戒壇(かいだん)堂、法華堂と、国宝の建築が点在しています。仏像や建築をじっくり見るなら、「最低でも半日はかかりますね」と久永さん。
なかでも足を延ばしたいのが、少し離れた法華堂です。奈良時代の仏像が並ぶ堂内には、ぴんと張りつめた空気が漂います。
一度では見尽くせない東大寺。再訪する楽しみが尽きません。


●東大寺(とうだいじ)DATA
住所:奈良県奈良市雑司町406-1
電話:0742-22-5511(代表)
拝観時間:4月~10月は、大仏殿7時30分~17時30分、東大寺ミュージアム9時30分~17時30分(入館は17時まで)。11月~3月は、大仏殿8時~17時、東大寺ミュージアム9時30分~17時(入館は16時30分まで)
休み:無休
拝観料:大仏殿・東大寺ミュージアムセット券1,200円
公式サイト:https://www.todaiji.or.jp/
13:30【カフェ・葉風泰夢】 作品の余韻にひたれる、なごみカフェ
奈良国立博物館地下1階、ミュージアムショップ向かいにあるカフェ。観覧券なしで利用でき、気候のよい時期はテラス席もおすすめです。
人気を二分するのは玉ねぎの甘み豊かな特製カレーと、やわらかなフレンチハンバーグ。ぜひ味わってみて。
オープンスペースでも食べられます

●カフェ・葉風泰夢(ハーフタイム)DATA
住所:奈良県奈良市登大路町50 奈良国立博物館B1
電話:0742-22-1673
営業時間:10時~17時(L.O.16時30分)
休み:月曜
公式サイト:https://tokokuro.jp/cafe/
「第78回 正倉院展」が始まります!

奈良国立博物館では10月24日~11月9日の間、正倉院展が開催されます。
非常に人気の高い展覧会なので、観覧する際は時間にゆとりをもって出かけてください。
会期:10月24日(土)~11月9日(月)
会場:奈良国立博物館(https://www.narahaku.go.jp/)
電話:050-5542-8600(ハローダイヤル)
開館時間:8時~18時(金・土・日曜・祝日は20時まで)※入館は閉館の60分前まで。
休み:会期中無休
観覧料:(一般)2,000円 ※事前予約制の「日時指定券」の購入が必要
正倉院展公式ホームページ:https://shosoin-ten.jp/
14:30【依水園・寧楽美術館】 東大寺を借景にした素晴らしい名庭へ
特に紅葉の季節の庭は絶景なんですよ!

東大寺のすぐそばに、これほどの名庭があることをご存じですか?
国の名勝・依水園は、江戸前期と明治期、ふたつの時代に生まれた池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)庭園です。
注目は、実業家・關藤次郎(せきとうじろう)が茶の湯と詩歌の集いのために築いた庭園。細い石畳を抜けると、ふいに視界が開け、池と築山(つきやま)、その向こうに若草山、春日奥山(かすがおくやま)、御蓋山(みかさやま)、東大寺南大門までが、一幅の絵のように連なります。
緑を映す水面も、滝から小川へ続くせせらぎも、すべてが景色のうち。歩みを進めるたび、日本の美しさに心洗われるでしょう。
併設の寧楽美術館では、中国の青銅器、高麗(こうらい)・朝鮮時代の陶磁器、日本の茶道具などを展示。庭のあとは、東アジアの古美術をゆっくりと。
寧楽美術館では「中国・朝鮮半島・日本の美をもとめて―後期―」展を開催(10月1日~12月24日)

写真左は吉田包春(ほうしゅん)作「春日厨子(かすがずし)」と、細谷而楽(ほそやじらく)作「観音菩薩像」。右は奥田木白(もくはく)作「赤膚鳳凰文土風炉(あかはだほうおうもんどぶろ)」。緻密で繊細な美を堪能できる。
●依水園・寧楽美術館(いすいえん・ねいらくびじゅつかん)DATA
住所:奈良県奈良市水門町74
電話:0742-25-0781
開園時間:9時30分~16時30分(入園16時まで)
休み:火曜、庭園整備期間(9月下旬)
入園料:(美術館含む)1,200円
公式サイト:https://isuien.or.jp/
15:30【友明堂】 古美術に囲まれてお抹茶でひと休み
正倉院御物(ぎょぶつ)を写した茶碗です!


ちっちゃな奈良一刀彫(いっとうぼり)

奈良国立博物館の目の前という好立地。創業から約70年、手ごろな古美術から茶道具まで扱います。
見疲れたら小上がりで抹茶と手づくり甘味を。夏は葛菓子、冬は温かいぜんざいに、心までほっこり。日本美術好きが幅広く楽しめるお店です。

●友明堂(ゆうめいどう)DATA
住所:奈良県奈良市春日野町2
電話:0742-22-3301
営業時間:10時~17時
休み:無休
18:00【まつ喜】 料理もうつわも、大和の美意識に包まれて
まつ喜名物、玉子焼きが絶品!

初日の締めくくりの夕食は、ミシュランガイドの星をもつ割烹(かっぽう)の「まつ喜」(※店名の「喜」の表記は、「喜」の草書体からつくられた、「七」を上にひとつ下にふたつ書いた文字を用います)。
大正時代の建物をモダンに改装した空間で、主人の松室克哉(まつむろかつや)さんが季節の恵みをひと皿ずつ仕立てます。目にも華やかな八寸には、3時間かけて低温で焼く名物の厚焼き玉子、自家製からすみ、大和牛などをギュッとひと盛り。
そんな松室さんが大切にするのは、専属で育ててもらっている野菜と米。米は泳がすように繊細に洗い、気温で浸水時間も変え、土鍋でふっくらと炊き上げているとか。
「最後のご飯がおいしくなかったらダメなんですよ」と松室さん。
だしの要となるのは利尻昆布です。一昼夜水に浸して昆布水をとり、客が訪れる時間に合わせて、削りたてのかつお節を加えているそう。
「音でいうと、重低音が昆布で、高音がかつお。下を支える味が昆布です」。
素材の声に耳を澄ますような言葉そのままに、澄んだ一番だしが、奈良の旬を静かに引き立てます。

一番の旬、お出しします!


●まつ喜(まつき)DATA
住所:奈良県奈良市不審ヶ辻子町1
電話:0742-93-6222(予約電話)
営業時間:ランチ/12時~14時30分 ディナー/18時~22時
休み:日曜、第1・3月曜。第2・4月曜、第1・3火曜はランチのみ休み
ディナーの懐石コース19,800円(サービス料別)
公式サイト:https://kappou-matsuki.com/

