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2026.11.05

京都・千本玉壽軒の職人が追求した“とろける食感”の美しき絶品「雪餅」【京の和菓子帖2026】

「京菓子」には、四季の風景、花鳥風月や京の風俗が織り込まれ、そこにゆかしい菓銘がつきます。「京菓子」を知ることは、京の文化を知ること。高名な銘菓とそれを生み出す職人わざを見せていただいた名店4軒の最後を飾るのは、千本玉壽軒の「雪餅」。見た目もくちどけも繊細を極めた銘菓を受け継ぐ、職人の心意気が感じられます。

極上の口どけ、白さは唯一無二のもの|千本玉壽軒のきんとん「雪餅」

山芋が旬を迎える冬、これを蒸して裏ごしし、砂糖を加えて練り上げた真っ白な生地できんとんに仕立てた「雪餅(ゆきもち)」。非常に手間がかかるため、限られた店でしかお目にかかれない極上の味です。通常はつくね芋を使いますが、この店では大和芋を選択。芋の香りも優しく、ホワッとした口どけに身も心もやわらぎます。

「梅の雪」、「雪餅」

「雪餅」(右)は11月半ばから2月いっぱいごろまで、「梅の雪」(左)は2月ごろの販売。雪餅の中は黄身あんで、卵の黄身の風味は控えめ。「梅の雪」はこしあん。各594円。

「雪餅」
最初の製作依頼は「除夜釜(じょやがま)」の一席。暗がりに浮かぶ雪の美しさに魅入られ、たどり着いた白さとはかなさ。
「梅の雪」
雪餅のそぼろあんを2色で重ね出し、雪の下で萌える緑を表現。梅はごく細かいそぼろあんで可憐に。

【この手から美味が生まれます】現当主が広げた生菓子が好評!「雪餅」は冬の看板菓子に

つくる手間もかかる上に、味の出来も明快な「雪餅」。
3代目主人・元島真弥(もとじましんや)さんの肩を押してくれたのはお茶の先生でした。

「長年、雪餅を依頼していた店がやめられることになって。でも冬のお茶席にはこの菓子が必要だと」。
試行錯誤の末、納得のいくものが完成したのが約20年前のこと。
「ひっそりと続けていけたら」との思いとは別に、ほかの店にはない“とろける食感”を求めて、近年では販売開始の問い合わせが来るほどに。

茶席向きの干菓子や半生菓子が先代までの商いで、生菓子の種類を増やし、力を入れるようになったのは現当主から。
初夏に登場するういろう製「さくらんぼ」も京菓子の新定番として大人気。「心が動くお菓子をつくりたい」と創作に励むご主人です。

大和芋を蒸して裏ごし。口どけのために生地を何回もこします

馬毛が網目になった「とおし」は、ごく細かいそぼろができる。芋生地を押し出す手の厚みに注目。手が立派な道具であることを語る。

大和芋と砂糖を練り上げ、生地が冷めたら裏ごし。細かい目のとおしで4~5回裏ごしを重ねる。そぼろは短めで、「ほわっと」した食感に。

左/昭和初期創業のたたずまいをそのまま残した店構え。右/卵白と寒天などを合わせた軽い食感の干菓子「かがみ石」12個入918円。抹茶、黒砂糖、和三盆糖の3種類の味。口に入れやすい大きさに再調整し、これが好評。

「菓子は一期一会だからこそ思いをのせたい」

3代目主人・元島真弥さん。

●千本玉壽軒(せんぼんたまじゅけん)

住所:京都府京都市上京区千本通今出川上ル上善寺町96-2
電話:075-461-0796 
営業時間:8時30分~17時
休み:水曜
公式サイト:https://sentama.co.jp/

※本記事は雑誌『和樂(2026年10・11月号)』の転載です。
※価格は税込、2026年9月現在のものです。
※この特集でご紹介した菓子のうち、特に明記のないものは通年販売になります。
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和樂web編集部


撮影/伊藤 信 構成/藤田 優、古里典子(和樂)
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