植田伊津子の読み物
秋ですね。寒暖の差がはっきりと出てきて、わたくしはようやく半袖をしまいました。個人的には10月まで夏気分。だって暑いんですもの。 しかし、美術館や博物館では「芸術の秋」をパワープッシュするすばらしい展覧会が、各所で開かれています。そして近年、都内の美術館では海外の方を目にする機会が確実に増えています。訪日外国人に日本の美術館が「ものすごく日本的(当たり前か)」だってことが知られてきたんですね。 「旅行先で、そこの美術館に行く」ということは、ザクッと見知らぬ土地の文化を知ろうというとき、もっとも手っ取り早いこと。それはハワイでも同じ。ただ「ハワイの美術館ってどうなんだろう……」と思っていました。 […]
山村若静紀(やまむらわかしずき)という日本舞踊家をご存じですか? 若静紀さんは上方舞の若手のおひとり!……きもの雑誌『七緒』では「堀口初音(ほりぐちはつね)」という本名で、やさしく着付けについて解説されていたり、『上方伝統芸能あんない』(創元社刊)という著書を上梓されたり。 ……ちょっとびっくりするぐらいきさくで、チャーミングな女性なのです。 その山村若静紀さんのはじめての舞の会が、このたび11月6日に、東京・表参道の銕仙会(てっせんかい)能楽研究所で開催されます。 現代の生活では、日本舞踊に触れる機会が少ないかもしれません。特に同世代の方の踊りは、本当に目にしないような……。 「もっと日本舞 […]
「モンブラン」と「栗きんとん」の季節がやってきました! あらゆるスィーツショップの「栗への執念」といいますか、あっ間違えた!「栗への愛」といいますか(汗)、ここ近年の栗スィーツの発展は目を見張るものがあります。 しかし和菓子もすごいと思いませんか? 特に茶席の和菓子は、日本が世界に誇る芸術といえるもの。 ミセス茶人オノさんは、ハワイに移住してから和菓子を「手づくり」するようになったそうです。 今回は、オノさん手づくりの和菓子を多数ご紹介。では、和菓子について、ゆっくりうかがってみましょう! 「茶席の和菓子」は自分でつくるしかない 文と写真/オノ・アキコ ハワイの10月は温かいよう […]
埼玉・遠山記念館で展覧会を見たあとは、同敷地内にある「遠山邸」を必ず見学してほしい。いやはや、これはもう衝撃を受ける名建築でした。 遠山邸は、遠山記念館の美術コレクションを築いた「遠山元一(とおやまげんいち)」の旧居です。 厳選された素材、考え抜かれた設計、超絶技巧の職人技……すべてにおいて、心がふるえてしまった……。 ここを見るだけでも、わざわざ出かける価値があります。ぜひ、この遠山記念館で、死ぬほど贅沢な名建築を堪能してください。 では、なかに入っていきましょう。2018年、国の重要文化財指定を受けた「遠山邸」へ。 千鳥破風(ちどりはふ)の茅葺き屋根、ケヤキ造りという東棟の表玄関。渋好みの […]
埼玉県の遠山記念館で、9月14日より「古筆招来(こひつしょうらい)」展が開催されています。古筆は、「平安から鎌倉時代にかけて書かれた和様(わよう)の名筆」のことをいいます。 趣のある、遠山記念館の入り口。ここは日興證券(現SMBC日興証券)の創立者・遠山元一の旧居(重要文化財)で、敷地内の美術館施設でも、重要文化財6点を含む美術・工芸品を公開。 遠山記念館は2018年春に展示施設の改修が終わり、この秋はじめて特別展を開催。本展は、館外所蔵家から、重要文化財を含む名品を借用しておこなうプレミアムな展覧会になります。 古筆展もとても味わい深いのですが、美術館施設に隣接する「遠山邸」(重要文化財)も […]
『和樂』で茶の湯特集を組むと、茶箱の記事はとても人気があります。 茶箱は、もともと今から約400年前の千利休が、野外でお茶をいただくために、旅持ち用に小さな茶道具を仕組んだのがはじまりといわれています。表千家には、利休が所持していた蒟醤(きんま)の茶箱が伝わっているんですね。 なぜ今もみんなが茶箱に惹きつけられるのかを考えてみると、工芸の粋を表した容れ物のなかに、雛道具のようなミニ茶道具が端正に仕組まれている姿に、幕の内弁当や折り詰めに共通する「日本の美意識」を感じるからじゃないかな、と個人的に思っています。 ともかくお茶をしたことがない方でも、茶箱を見ると「かわいい♥︎」とキュンとしてしまう […]
2019年春、表参道の南青山にオープンした「即今(そっこん)」。 伝統文化を体験する場所って、実はとても限られていますよね。 「雰囲気の落ち着いたクラシシックな趣の茶室で、気軽に、ちょっとおいしい和菓子とお茶でゆるゆるとひと休みしたい。抹茶体験してみたい!」という和の初心者にやさしいお店が、ファッションビルが立ち並ぶ表参道・骨董通りのビルの地下にできました。 その名も「即今」。ここは茶道を軸に、さまざま日本文化が体験できるお店です。 靴を脱いで店内に入ると、「わっ、これ、本物の茶室ですよね」と思わずつぶやいてしまいそうな、茶の美空間が出現。 四畳半の周囲に3つの腰掛け席を設けた広間「爛酔亭(ら […]
ハワイ大学で裏千家茶道の講師を務めるミセス茶人、オノ・アキコ。 オノさんは国際基督教大学卒業後、モルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッド証券に入社し、ニューヨーク本店やロンドン支店を経たのち、ロンドンのインチボルド・スクール・オブ・デザイン校でインテリアを学ぶなど、さまざまな経験を経てから茶の湯と出会い、お茶の魅力にとりつかれたといいます。 2007年に移住したハワイでも、オノさんはずっとお茶を続けてきました。日本から6,200キロも離れた異国の茶の湯の世界は、想像できない出来事ばかり。 そこでオノさんに、お茶を通じて日々感じていることを書き綴ってもらうことにしました。海外から茶道という伝統 […]
何ができるかを考え抜いた原三溪 横浜美術館で開催中の「横浜美術館開館30周年記念 生誕150・没後80年記念 原三溪の美術 伝説の大コレクション」展。この展覧会は、原三溪(はら・さんけい)を「コレクター三溪」「茶人三溪」「アーティスト三溪」「パトロン三溪」という4分野にわけ、ゆかりの美術品を通じてを彼の全貌に迫るという構成をとっています。そこで、和樂webを代表してわたくし植田が「すごく迷うけれど、コレだけは絶対観るべし!三溪翁の至高の逸品」について、先述の各分野から1点ずつ推薦したい、ということで、まずは前回「コレクター三溪」「茶人三溪」パートのオススメの作品をご紹介しました。 →前回の展覧 […]
毎日、暑い毎日が続いていますよね。外に出ると、体がとけてしまいそうです。 今週は、お盆休みでふるさとに帰省されている方も多いのではないでしょうか。 さて、子ども時代は、夏休みがとても待ち遠しいものでした。 スイカ、昼寝、海水浴、浴衣、夏祭り……皆さんは、夏にどんな思い出をお持ちでしょう。 日本は7月の海の日以降にお休みがはじまっていますが、ハワイではもっと早い時期から、もっと長いお休みになるそうです。 今回は、お盆の季節にぴったりの盆踊りのお話。ハワイの夏の風物詩を探ります。 ダンス、ダンス、ダンス! 文と写真/オノ・アキコ アメリカは秋から新学期となるため、夏休みは卒業式や修了 […]