京都・祇園と帝国ホテル。ふたつの伝統が融合し、生まれたのは、極上のくつろぎ空間でした
1 意匠
壮麗な劇場施設の装飾を新しい形として生かす

花街を彩る劇場施設だった「弥栄会館」。竣工は昭和11(1936)年。演劇や人形浄瑠璃など、さまざまな演芸が披露された、贅沢で華麗な建物でした。「帝国ホテル 京都」が誕生するにあたり、要となったのは、この美しい建築意匠を可能な限り継承すること。外観はもちろんのこと、館内のあらゆる場所にも、その姿は新しい形となって遺されています。館内を回遊しながら当時の美意識や優れた技巧を見つけ出すのも、楽しみのひとつです。

中央/「オールデイダイニング 弥栄」にあしらわれている、木象嵌(もくぞうがん)の花鳥図。詳細は不明だが、役員室の装飾だったもの。
右/一部の客室に飾られているのは、かつて弥栄会館の食堂の壁面にあった千鳥のモザイク。改装の際に1羽ずつ切り出し、額装した。

中央/貴賓室に飾られていた芭蕉の葉のガラスのレリーフ。現在は「弥栄」の入口に。洗練された、大胆なデザインが印象的。
右/当時の面影を残す客室「弥栄スイート」。窓枠が忠実に再現され、隣の祇園甲部歌舞練場(ぎおんこうぶかぶれんじょう)が見える、祇園らしい眺め。
2 美食
ホテルの伝統を大切にし、京都ならではの味わいを


「帝国ホテル 京都」には「フランス料理 練」と「オールデイダイニング 弥栄」、ふたつのレストランが。「練」ではフランス料理に日本の食文化を取り入れた二十四節気に沿ったコースが楽しめます。「京都は食材の宝庫」と語る、料理長の今城浩二さん。カウンター越しに解説しながら仕上げをしてくれるライブ感は、この上ないおもてなしに。「弥栄」ではホテル伝統の洋食に薪窯(まきがま)グリルを組み合わせたここだけの味が。どちらも特別な日に訪れたい名店です。

右/宿泊者はこちらで朝食も。割烹「祇園 川上」監修の和朝食もそろう。
「フランス料理 練」17時30分〜22時30分(20時30分L.O.) 日曜休(祝日の場合は翌日休み) ディナーコース38,000円(税サ込)
「オールデイダイニング 弥栄」朝食6時30分〜10時30分(10時L.O.、和朝食は7時〜)※宿泊者のみ、ランチ11時30分〜14時30分、ティータイム14時30分〜17時30分、ディナー17時30分〜22時(21時30分L.O.) 無休
3 癒やし
地下のウェルネスエリアは日常を忘れるひみつの空間
気分がリフレッシュできるスパやプールは、旅の醍醐味。特に「THE SPA」で体験したいのは、独自に開発されたメニュー「サイレント・セレニティ」です。サウンドメディテーションを取り入れたボディトリートメントで、施術の前後には、日本の伝統楽器である神楽鈴とメディテーションボウルで荘厳な音を奏で、気持ちを整えます。荒々しさが残る岡山の北木石(きたぎいし)で覆われたプールは、洞窟のような趣。ここが京都の中心であることを忘れてしまうほどの異空間です。

4 静寂
喧騒と離れて過ごせる宿泊客限定の空間
宿泊する際にうれしいのが、一般エリアと客室エリアの動線が完全に分かれ、より静かでプライベートな空間づくりがされているところ。「帝国ホテル 京都」には、いわゆるフロントカウンターというものが存在しません。宿泊客は、エントランスからすぐに専用のラウンジへ。ゆったりした席で季節の和菓子とお茶をいただきながら、チェックインができます。ここには時間帯ごとに内容が変わる軽食やドリンクも並んでおり、滞在中は本を読むなどして過ごすことも。

5 非日常
格調高いオーセンティックなバーで古都の夜に浸る
帝国ホテルの品格を象徴する「オールドインペリアルバー」が、京都にも誕生。トップバーテンダーによる、抹茶を用いたオリジナルカクテル「マウント比叡」(写真中央)は、「帝国ホテル 東京」で愛されてきたシグネチャーカクテル「マウント フジ」に着想を得た、感性豊かな一杯です。7階の窓から一望できる祇園の街並みや比叡山の姿は、見慣れていたはずの京都の、違った表情を映し出して。街中にいながら日常を離れ、自分を労ることができる、特別な時間が過ごせます。

6 伝統
フランク・ロイド・ライトの面影を同じ素材で表現
弥栄会館の伝統を受け継ぐと同時に、帝国ホテルとしての矜持も表現。館内には、アメリカの建築家、フランク・ロイド・ライトが設計し、大正12(1923)年に完成した「帝国ホテル2代目本館」、通称「ライト館」の面影が。たとえば1階と2階をつなぐ階段の壁には、同じ宇都宮の大谷石(おおやいし)が使われています。しかも当時採掘されたものを使用しているというこだわりぶり。この石は「オールドインペリアルバー」にも用いられ、帝国ホテルの背景を物語っています。

7 進化
客室で体感できる次の時代に向けた試み
日本のホテルとしての歴史を牽引しつつ、新しいものを生み出し、より上質なサービスを提供する試みも。「安らかな眠りを誘う」と人気の高いパジャマは、岐阜のメーカー「浅野撚糸」の特殊工法「SUPER ZERO®」を用いた、軽く吸水性に優れたダブルガーゼ素材を初めて採用。空気を含んだような風合いは、今の時代にフィットするリラックス感に溢れています。また客室の時計は「銀座 和光」が制作。文字盤の「弥栄フォント」がモダンで、これからの時間を刻むのにふさわしい、素敵な未来を予感させる調度品です。

帝国ホテル 京都

京都府京都市東山区祇園町南側570-289
☎075・531・0111
151,800円〜(室料のみ)
※1室2名、サービス料・消費税込、宿泊税別。
www.imperialhotel.co.jp/kyoto

