Culture
2019.11.25

おいしいおかゆの炊き方とおかゆや離乳食用のお米を選ぶ3つのポイント

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皆さんは、どんなご飯が好きですか?
ここでいう「ご飯」とは、日本人の主食である、あの真っ白い炊いたお米のこと。
粒が立ってしゃっきりしたご飯、甘みがあってもっちり粘り気のあるご飯……ひと口にご飯といえど、その個性はお米の品種によって千差万別。
メディアを通じてあらゆる地方のお米の情報が手に入るようになったこともあり、皆さん自分の好みに合ったご飯に出会いやすくなったのではないでしょうか。

かくいう私は、粒がもっちりしていて、甘みがあるご飯が好き。何品種か食べ比べてみて、「これ!」と選んだお米をリピート買いしています。
このお米を買い続ける! もう浮気はしない!と心に決めていた……はずだったのですが。

実は半年ほど前から、私は一週間に一度、多い時は二度ほど「おかゆ」を炊くことが習慣になっています。
勘のいい方や、同じ状況にある方はもうおわかりでしょう。
そう、現在0歳の息子に食べさせるための離乳食です。
何度も何度もおかゆを炊いて息子に食べさせているうち、私の中にはある一つの疑問が湧いてきました。

「……今私たちが食べているこのお米って、おかゆ向きのお米なの?」

最近、巷では「カレー向き」「チャーハン向き」などと書かれたお米をよく見るようになりました。ということは、同じように「おかゆ向き」のお米も存在するのかも?
考えてみれば、もっちり炊けるお米より、柔らかく炊けるお米の方が、なんとなくおかゆに向いているような気もします。
我が家のもっちり炊けるお米は、ひょっとしておかゆ作りに向いていないのでは……?

そう思ったら、お米に対する浮気心が、むくむくと湧き出してきてしまったのです……!

おかゆが離乳食になったのはいつ?

日本では2019年現在、アレルギーを発症する心配が少ないことから、赤ちゃんに初めて与える食べ物として米がゆが推奨されています。
では、いったいいつから「赤ちゃんの離乳食=米がゆ」という定番ができあがっていったのでしょうか?

赤ちゃんにはおかゆをあげるべし、と明確に指示しているもっとも古い文献は、江戸時代、元禄16年に書かれた日本初の育児書、『小児必用養育草(しょうにひつようそだてぐさ)』(香月牛山(かつきぎゅうざん)著)です。
この本には、赤ちゃんには生後半年からかゆのうわずみ(おもゆ)を、10カ月を過ぎたらかゆを煮ただらかしたものを食べさせるように、と書かれていたそう。
生後5カ月から10倍がゆ(米:水が1:10のおかゆのこと)を与え、徐々に水分を減らしていく現代の離乳食と比べるとずいぶんスローペースですが、300年前の赤ちゃんと今を生きる赤ちゃん、両者が主として食べるものが一緒というのは、どこか感慨深さを覚えます。

必見! これがおかゆに合うお米だ!

もちろん今は、江戸時代と違ってパンやうどん、パスタなど、あらゆる主食が存在するし、便利なベビーフードも山のように売られていますよね(私もヘビーユーズしています)。
けれど親としては、日本の主食であり、和食の要でもある「お米」「ご飯」のおいしさも、しっかりと教えてあげたい!

そのためにも、今よりもっとおいしいおかゆを炊けるようになりたい……!

そこで今回は、自ら米専門店「スズノブ」を経営しながら、多くの地域ブランド米づくりに携わってきた「五ツ星お米マイスター」の西島豊造さんに、おかゆについての素朴な疑問をぶつけてみることに。
そもそも、「おかゆ向きのお米」というのはあるのでしょうか?

結論から言うと……「おかゆ向きのお米はある」んです!
のど越しがいいお米、もっちりしたお米など、使用する品種によって、できあがるおかゆにも個性が生まれます。
今回は、作りたいおかゆの特徴に合わせた、おすすめの品種を教えていただきました。

(1)さっぱりとしたのど越しのおかゆ

・あきたこまち…コシヒカリの良さを受け継いだ、秋田県生まれの品種。平成の大嘗祭に献上されたお米としても有名。
・つや姫…その名の通り、炊いた時のつやと輝き、粒の大きさが特徴の、山形生まれのお米。
・ななつぼし…星がきれいに見える北海道で生まれたお米。名前には北斗七星のように輝いてほしいという願いが込められている。冷めてもおいしい。
・きぬむすめ…「キヌヒカリ」と「祭り晴」を掛け合わせて生まれたお米。炊いた時のつやと白さが特徴。島根県での生産に力を入れている。
・風さやか…あっさりとした食感のお米。すがすがしい清らかな長野の空気で育てられていることが名前の由来。

(2)米粒感を感じる、あっさりとしたおかゆ

・雪若丸…山形生まれの、「つや姫」の弟分。しっかりとした粒と適度な粘りが両立している。
・新之助…大粒でコクと甘みがある、新潟生まれのお米。
・天のつぶ…さっぱりした味ながら、しっかりとした食感で食べ応えがある。福島県で15年かけて開発された。
・富富富…うまみと甘みの強いお米。富山の人、水、大地に育てられ、食べた人が思わず「ふふふ」と微笑んでしまうお米になるように、と名付けられた。
・つぶぞろい…近年の激しい気候変動に強いお米を、と開発された品種。名前には「つぶが大きく」「おいしい秋田米」という意味が込められている。

(3)しっとり甘く、柔らかいおかゆ

・ひとめぼれ…宮城県で誕生。「コシヒカリ」と「初星」を両親に持つお米で、味と香りがよく、粘りが強い。
・夢しずく…「キヌヒカリ」と「ひとめぼれ」を掛け合わせて生まれた佐賀のお米。適度な粘りがあり、優しい味わい。
・にこまる…「キヌムスメ」を母に持つ、ふっくらもちもちのお米。長崎県でもっとも作られている。
・ぴかまる…でんぷんの一種であるアミロースの含有率が低く、冷めても硬くなりにくいお米。おにぎりやお弁当にもおすすめ。
・あさゆき…青森県で生まれた、同じく低アミロースのお米。粘りが強く、柔らかい食感が特徴。

(4)適度に柔らかく、甘みがあるおかゆ

・コシヒカリ…強い粘りと甘みがあるお米。ごはんの味が強いため、味の濃い料理とも相性抜群!
・こしいぶき…「ひとめぼれ」と「どまんなか」を両親として生まれた、気候変動に強いお米。冷めても硬くならず、炊き立てのおいしさが持続する。
・きたくりん…北海道生まれ。病気に強く、少ない農薬で作れる「クリーン」なお米、というのが名前の由来。粘りがあり柔らかい。
・ふっくりんこ…北海道の南側で生まれ育ったお米。名前の通り、ふっくらと柔らかい食感が魅力。
・さがびより…粒が大きく、もっちりとした食感で甘みのあるお米。名前には、ようやく迎えた収穫の日の喜びの気持ちと、穏やかな佐賀の気候のイメージが込められている。

(5)もっちりとした、食べ応えのあるおかゆ

・いちほまれ…令和元年に生まれたばかりの福井米。甘味、粒感、粘り、柔らかさのバランスがいい。
・ゆめぴりか…「白いご飯が好き」という人のために開発した北海道米。粘り気があり柔らかい食感の、甘いご飯が炊ける。
・ミルキークイーン…味と粘りの強いお米を開発中、コシヒカリの突然変異として生まれたお米。アミロース含有率が低く、もちもちとした食感で硬くなりにくい。
・淡雪こまち…淡雪のように白くふっくらとした見た目が名前の由来。もち米とご飯の中間のように、もちもちと柔らかい食感。
・だて正夢…震災復興の祈りと、「天下をとる」という思いを乗せ、平成30年にデビューしたお米。もちもちとした食感で、かむと一粒一粒からうまみと甘みが染み出てくる。

お米を選ぶポイントは、まず自分がどんなおかゆを作りたいのか、はっきりさせておくことです。
例えば病気の人に「もっちり食べ応えのあるおかゆ」を食べさせるのは、ちょっと厳しいですよね。「さっぱりのどごし」か、回復してきたら「しっとり甘く柔らかい」「適度に柔らかい」くらいがちょうどいいでしょう。
目的にあったお米を選べば、きっとこれまでよりおいしいと思えるおかゆを炊くことができるはずです。

離乳食用のお米を選ぶポイント3つ

当然、赤ちゃんにもそれぞれ味の好みがあります。けれど、「おいしい!」「まずい!」すら言えない離乳食の時期にそれを読み取るのは至難の業。
そこで、離乳食用のお米を選ぶ際には、次のポイントを参考にしてみましょう。

◆もっちりしすぎのお米はNG

離乳食期の赤ちゃんは、まだ「食べる」という行為の練習をしている段階。
飲み込む力が弱いため、あまりもっちりと粘り気の強いおかゆだと、食べづらいと感じてイヤイヤされてしまう可能性が。

◆甘ければいいというものではない!?

赤ちゃんはミルクを連想させる甘い味が大好き。しかし、まだまだ胃のサイズが小さいので、甘みが強いお米を使ったおかゆを与えると、すぐにおなかがいっぱいになってしまうことがあります。
特に「この子は食が細いな」と思うあかちゃんには、あえてさっぱりとした味のおかゆを与えると、パクパク食べてくれるかもしれませんよ。

◆味の好みにも男女差が!

面白いことに、赤ちゃんが男の子か女の子かによっても、味の好みに差が出ます。
男の子は成長とともに粘りと甘みがあるお米を好むようになっていき、女の子はのど越しが良く、甘すぎないお米を好んでいくようになるようです。

以上から、男の子の赤ちゃんには、「米粒感を感じる、あっさりとしたおかゆ」~「適度に柔らかく、甘みがあるおかゆ」、
女の子の赤ちゃんには、「さっぱりとしたのど越しのおかゆ」「米粒感を感じる、あっさりとしたおかゆ」
に該当するお米がおすすめとなります。
反対に、「もっちりとした、食べ応えのあるおかゆ」は食べにくいかもしれないので、離乳食期を抜けるまでは避けた方が良いのかもしれません(我が家はまさに「もっちり」にラインナップされていたお米を使っておかゆを作っていました。息子、ごめんね……!)。

赤ちゃんは日々の成長とともに、味覚もどんどん豊かになっていきます。そのため、昨日まで食べていたおかゆを、今日は食べてくれない!ということも、往々にして起こりうるでしょう。
そんなときは上のリストを参考に、いつもとは違った特徴のおかゆを食べさせてあげてみてください。
またおいしそうに食べてくれるかもしれませんよ。

実践! おいしいおかゆの炊き方

せっかくおいしいお米を用意しても、作り方が間違っていては、おいしいおかゆにたどり着くことはできません。
ここからは、西島さんに聞いたおいしいおかゆの作り方をご紹介します!
(使用している鍋は、ル・クルーゼの直径14センチのもの。作っているのは米:水が1:5の5倍がゆです)。

(1)米をとぎ、20分以上2時間以内の時間、浸水させます。米粒の芯まで水分を含ませることがポイント。

今回は30分浸水させてみました。

(2)通常の火加減よりもやや火力を弱めて沸騰させます。沸騰までの時間が長くなるほど、粘りと甘みが引き出されるので、ここは時間をかけて! 沸騰したら、焦がさないようにさらに火力を弱めて30~40分ほど煮ます。

途中で噴きこぼれてくるので、少し鍋のふたをずらしておくのがおすすめ。

(3)米が十分柔らかくなったら、ふたをして12分程度蒸らします。蒸らし終わったら、米粒をつぶさないように、優しく全体を混ぜてあげましょう。

完成! う~、息子のだけど、米が白く光っておいしそう!

おかゆの個性を知って、自分好みのおかゆを探そう

さて、今回は女の子の赤ちゃんにおすすめのさっぱりした「風さやか」と

今年は甘みが強く、男の子にもおすすめという、米粒感がある「雪若丸」の二種類のおかゆを作ってみました。

左が風さやかで、右が雪若丸。見た目にはそんなに違いはありません。

さて、食べてみると……。

「風さやか」は、とてもさらっとしているおかゆ! 口に入れると粒がほろりとつぶれるため、とてものどごしがいい印象です。とろみ程度の粘り気で、ねっとり感もありません。

一方「雪若丸」は、煮ているときから風さやかと比べてねばりの強さを感じていました。風さやかよりつぶがしっかりしている印象ですが、しつこい甘みはありません。かむとごはんを食べているときのようなふくよかな香りと甘みが口の中に広がっていきます。

お米の品種によって、こんなにおかゆの個性が変わるなんて! なんだか息子だけじゃなく、私までおかゆにはまってしまいそう。

土鍋で朝がゆとか、おしゃれですよね。

息子は男の子ですが、どっちのおかゆが好きだろう? 今までより食べやすく思ってくれるかしら……と、考えるだけでちょっとワクワクしてきます。さっそく明日からあげてみよう!

ちなみに、そろそろ足音が聞こえてきた2020年。
「1月7日に七草がゆを作りたい!」
という人は、ぜひ「さっぱりとしたのどごし」「米粒感を感じるあっさり」のお米を選んでみてください。野菜をたっぷり入れた薬膳がゆや、出汁を入れたおかゆと相性ばっちりだそうですよ。

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書いた人

東京生まれ東京育ち。茶道の授業があるような幼稚園に通い、自然と日本文化に親しむ。塾講師のアルバイトで季語を教えた際、「すすき」を知らない生徒がいてびっくり。現在1児の母。日本の伝統を次世代に伝えるために試行錯誤の日々。