Culture
2019.12.09

お坊さん作のカードゲーム「御朱印あつめ」とは?10才から遊べて装丁もカッコイイ

この記事を書いた人

「御朱印」って知ってますか?

御朱印とは、神社やお寺を参拝した証としていただくことのできる証明書のようなもの。手書きの墨文字と押し印で、寺院の名前や御本尊、本堂の名前などが記されます。
かつては参拝者が写経を納めることで授与されるものでしたが、現在は寺社によって決められた御朱印代を納めることに代替されました。

ジャパニーズクール!……と叫びたくなるようなカッコよさですが、神様や御本尊の分身でもある、とても神聖なもの。大切に扱いましょう。

そして、御朱印をいただく専用のノートが「御朱印帳」です。蛇腹折りになった和紙で作られており、墨がしみこみやすいのが特徴。
雑貨屋や文房具屋で気軽に手に入れることができますし、もちろんそれぞれの寺社でもオリジナルのものが授与されていることが多いので、ぜひお気に入りの一冊を探してみてください。

私が持っている御朱印帳。左から高台寺(お寺用)、八坂神社(神社用)、そして一目ぼれしたハワイ出雲大社のもの!

マイ御朱印帳を片手に、寺社巡りを楽んでみてはいかがでしょうか?

……なんて終わりそうな勢いですが、本題はここから!
実は先日、この御朱印集めをモチーフにしたカードゲームを発見してしまいました。その名もズバリ、『御朱印あつめ』です(書き方がややこしくってごめんなさい)!

シンプルでカッコいい装丁!

『御朱印あつめ』ってどんなゲーム?

簡単に説明すると「より長い写経を納めた人がゲットできる『御朱印』を、より多く、高い得点になるよう集めた人が勝ち!」なゲーム。
プレイ人数は3~4人、1プレイにかかる時間は30分ほどと書かれています(実際にプレイしてみたところ、長くても1時間以内には終わる感じでした)。

ゲームに使用する内容物はこんな感じです。

御朱印カード


仏様の名前が記されたカード。基本的にはこのカードの数を競い合うことになります。
白いカードは1点、黒い特殊カードは5点。おちゃめなはずれカードを手にしてしまうと-1点!

写経チップ


御朱印をゲットするために欠かせないチップ。1~4の数字が書かれているものを1枚ずつ持ちます。
数字が大きくなるごとに、書かれているお経が長くなっていることに注目。

御朱印帳ボード


いただいた御朱印カードを並べていく目印になるボード。
ミニサイズの御朱印帳を模したデザインが、とってもかわいい……!

上で紹介した本物の御朱印の写真と比べて、とってもリアルに作られていると思いませんか?
それもそのはず。実はゲームの作者である向井真人さんは、臨済宗妙心寺派のお寺・陽岳寺の副住職。正真正銘のお坊さんなのです!
つまり、御朱印カードも写経チップもすべてお坊さんの直筆ということ。リアルなわけですよね。

ざっくりとゲームの流れをご紹介

さて、このゲームの手順は大きく分けて二つ。

(1)御朱印カードの競り
(2)御朱印カードを手に入れ並べる

です。

(1)御朱印カードの競り

プレイヤーは毎ターン、御朱印カードを手に入れるための「競り」に参加します。競りに使うのは、お金ではなく写経チップ。全員が親(最初のプレイヤー)から順番に最低1枚、最高3枚の写経チップを出して、もっとも長い組み合わせの写経チップを出せた人が御朱印カードを手に入れることになります。

この場合、手前の2、3、4を出したプレイヤーがカードをゲットできます。

「それなら毎回2、3、4の組み合わせを出せばいいじゃない?」と思うかもしれませんが、もちろんそう簡単にはいきません。1回使った写経チップは、次のターンでは裏返しておかなければならず、連続して使用することができないのです。

裏返すと「只今、写経中…」という文字が。

例えば前のターンに2、3、4のチップを使っていたとしたら、次に使えるチップは1だけ。
また、はずれカードなど自分が欲しくないカードが場に出た場合も、必ず写経チップを出さなくてはなりません。このとき残されているチップが4など大きい数字だけだと、非常につらい展開に……。

(2)御朱印カードを手に入れ並べる

ただ手に入れるだけでも得点となる御朱印カードですが、重要となってくるのが「役」です。
例えば、「釈迦如来」「阿弥陀如来」「大日如来」のように、同じ種類の仏さまの御朱印が連続して3枚以上並んでいれば「サンナラビ」という役になり、+5点ゲットできます。

これが「サンナラビ」。

そろえるのが難しい役もありますが、上手に複数の役を完成させることができれば、手に入れた御朱印の数が少なくても、ぐんと得点を伸ばすことができるのです。

実際にプレイしてみました!

ここで、私、夫、友人Aで実際にゲームをプレイしてみることに。今回は、3人プレイにおすすめだという「省エネルール」に従い、何枚かカードを抜いています。
さっそく場をセットして……。

手前が私、向かって左が夫、右が友人A。

親は私でスタートです! さて、最初のカードは……

はずれ。

は、はずれ……!
当然、みんな欲しくなかったようで、全員が1の写経チップを出しました。複数の人が最大の数の写経チップを出した場合、カードは最初にチップを出した人のものになります。つまりこの場合、親である私のものになってしまうのです。

ゲーム開始早々、残念な展開!

悔しすぎたので、次に仏さまのカードが出た際には、持っている写経チップを全力で投入し取りに行きました。

大日如来をゲットしました!

さて、数ターンが経過しました(本来、本物の御朱印帳と同じく左隣に並べなくていかなくてはならないカードを、間違えて右側に並べてしまっていることをお詫びいたします)。お、おかしい。役が完成するどころか、はずれが増えている!

一見特殊カードに見える黒いはずれカードも加わり、はずれが2枚に!

このゲームの難しいところは、たとえ大きい数の写経チップを温存していたとしても、次に来るのがはずれカードだと不利になってしまうということ。「必ず」チップを出さなくてはいけないというルールがかなり効いてきます。役を作ろうとしているときに、欲しくないカードをとらされてしまったり……。

ちなみにこのときもっとも勝っていたのは友人A。はずれが一枚もなく、とてもきれいな並びです。いわく、「あまり欲をかかず、1点1点を重ねていくことだけを考えていた」のだとか! うう、仏さまは下心を読んでいるのか……!?

すべての御朱印カードを場に出し終えたら、ゲームは終了。さっそく得点計算です。まずは私。

カードが増えたので2段に分けました。

仏さまカードが1点×4枚。
特殊カードが5点×1枚。
はずれカードが-1点×2枚。
「聖観音」「勢至菩薩」「阿弥陀如来」が1枚ずつあるので、「アミササンゾン」という10点の役をゲットです!
最後に駆け込みでカードをそろえ、何とか形になりました。得点は17点。

次に夫。

仏さまカードが1点×6枚。
はずれカードが-1点×2枚。
「馬頭観音」「千手観音」「十一面観音」と観音さまが3枚並んだので、「サンナラビ」という5点の役になりました。
枚数は私より多いものの、点の低い役しか作れず、得点は9点に。

そして友人A。

途中までは勝っていましたが……?

仏さまカードが1点×5枚。
特殊カードが5点×2枚。
はずれカードが1枚もないことで「エンムスビ」という5点の役と、「釈迦如来」「普賢菩薩」「文殊菩薩」が1枚ずつあるので「シャカサンゾン」という10点の役がつきました。
複数の役を作れると強い! 得点はダントツ、30点です!

この勝負、友人Aの完全勝利となりました……!
悔しい……。

お買い求めの場合はぜひ第2版を!

いかがでしたか?
本当の御朱印集めをしている人も、そうでない人も、思わず遊んでみたくなってしまうビジュアルと、戦略的なチップの出し方、役の作り方が物をいうゲームとしてのおもしろさ。しっかり伝わっていると良いのですが……。

ちなみに、今回遊んだのは夫が買っていた「第1版」でしたが、現在は「七福神」カードが追加された「第2版」が発売されております。これから買うよ!という方は、ぜひ「第2版」と書かれたものをお買い求めください。

こちらが第2版。装丁も少し変わっているのでご注意を!

10歳から遊べるので、年末年始の集まりなどで子どもたちと一緒に遊ぶのにもぴったりですよ(ちょっと渋い遊びだけれど)!

【販売元】
ようがくじ「不二の会(ぷにのかい)」

書いた人

東京生まれ東京育ち。茶道の授業があるような幼稚園に通い、自然と日本文化に親しむ。塾講師のアルバイトで季語を教えた際、「すすき」を知らない生徒がいてびっくり。現在1児の母。日本の伝統を次世代に伝えるために試行錯誤の日々。