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2019.12.16

奈良旅行で訪れたいパワースポット「吉祥龍穴」と龍神伝説の「室生龍穴神社」を巡る

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奈良県宇陀市室生にある女人高野「室生寺」を拝観した後に車で向かったのは、このお寺から近い場所にある「室生龍穴(むろうりゅうけつ)神社」。
「室生寺」と歴史的に大きなつながりがあると言われています。

龍神伝説があり、パワースポットとしても知られている室生龍穴神社は、その奥宮こそが、知る人ぞ知る古来からのスーパー・パワースポット。
この奥宮はアクセスがしづらい山奥の秘境地にあるので、いつか行ってみたい場所の1つでしたが、ようやく訪れることができました。

最近は、観光バスによるツアーもあるらしいので、車が無いことやアクセスのしづらさで断念していた人も訪れることができるようになっているようです。

今回は、龍神伝説が残る「室生龍穴神社」や、その龍神の住処と伝わる洞穴がある、奥宮「吉祥龍穴」を中心にご案内いたします。

「室生龍穴神社」とは?


室生龍穴神社は、室生寺から室生川に沿いに1km近く上った渓谷の入り口にある奈良県宇陀市室生に位置しています。
ご神体は、伝説で龍神の住処とされている「吉祥龍穴」で、奥宮にあります。
その右側には「招雨瀑(しょううばく)」という滝が流れており、この水の流れる川は、奈良の木津川や大阪の淀川の水源にもなっていることから、「吉祥龍穴」では、古くから雨乞いの神事等が多く司られてきており、現在も行われています。


創建年代が分からないほど古い歴史がある室生龍穴神社。
鳥居前の両脇には樹齢600年以上もあるとされる杉の巨木があり、神社の門番ともいえるような存在感と威厳たっぷりに参拝者を出迎えています。
敷地を取り囲む様に周囲にも沢山の同じような杉の巨木が立ち並んでいることもあり、この神社は、どこか神秘のベールに覆われているような独自の神聖な雰囲気と静けさに溢れています。
境内の敷地自体は大きくないのですが、広さよりも高さを感じる不思議な空間です。

「室生龍穴神社」と龍王寺とかつて呼ばれていた「室生寺」との関係

「日本紀略」によれば、8世紀に、後に桓武天皇となる山部親王が病魔に冒されてしまったので、病気が治ることを祈願して、室生にある龍穴で祈祷が上げられたという記録が残っています。この龍穴こそが、古来からのスーパー・パワースポットとなっている「吉祥龍穴」であったとされています。


無事に病気が治り天皇となった桓武天皇が、その後に命令して作らせたのが室生寺なのです。室生龍穴神社は、室生寺が誕生する前からあり、奈良時代から平安時代にかけて、雨乞いの神事が頻繁に行われていたほど高い社格の神社でした。
室生寺は、それを守る神宮寺として開かれたとも言われており、龍王寺と呼ばれていた時もあったとのことです。

「善女龍王社」と掲げられている拝殿


現在、室生龍穴神社の祭神は、日本書記に登場する慈雨を降らす山や丘の上の水神様とされる「高龗神(たかおかみのかみ)」となっており、古くは雨乞いや河川氾濫が起きないように祈願する際の神様として信仰を集めてきました。
この神は水の神なので龍神と同一視されています。

しかし、拝殿を見ると「善女龍王(ぜんにょりゅうおう)社」と神額に掲げられています。室生龍穴神社は高龗神を祀る前からこの龍王を祀っていた社だったので、これは、そのことの証の1つでもあります。

室生龍穴神社の龍神伝説

龍神「善女龍王」


室生龍穴神社に古くから祀られていた「善女龍王」とは、雨乞いの際に祈祷される雨や水に関連する龍王のうちの一尊。仏法を守る八体の竜神が所属する竜族の八大竜王(はちだいりゅうおう)の一尊である沙掲羅龍王(しゃかつらりゅうおう)の三女です。
「善女龍王」は、仏教における龍を統率する女神で、弘法大師が神仙苑(しんせんえん)という京都にある寺院で雨乞いを行った時に現れた龍王としても知られています。

「吉祥龍穴」を棲み処とした「善女龍王」伝説


伝説によれば、善女龍王は、奈良市の興福寺付近にある猿沢の池でかつて暮らしていました。しばらくして、天皇の食事を奉仕していた下級の女官が、用無しにされたことで悲嘆にくれてこの池に身投げをしたので、善女龍王はこれを嫌い、春日の山中に身を移しました。
しかし、春日の山中にも亡骸(なきがら)が多かったので、清らかで静かな環境を求めて室生へ逃れ、巨大な1枚板の岩場を流れる清流の側にある洞穴へ棲み処を移したという伝説が残っています。
その洞穴というのが、「吉祥龍穴」と伝わっています。

室生エリアに残る「九穴八海」伝説


室生赤目青山(むろうあかめあおやま)国定公園内に位置しているこのエリアは、室生火山群に属していることもあり、独特形状の山々や岩が多く、山中には奇岩や洞穴も沢山あります。
こうした地形から室生のエリアには、「九穴八海(くせんはっかい)」という伝説もあります。
これは、3つの龍穴と6つの岩屋を「九穴」とし、5つの渕と3つの池を「八海」としており、それぞれの場所には、そのスポットならではの伝説が残っています。

室生龍穴神社の奥宮にある「吉祥龍穴」は、この3つの龍穴のうちの1つにあたり、さらに、その奥宮への途中にある「天の岩戸」は、この6つの岩屋の内の1つにあたります。

「龍穴」で隠まわれた「須勢理姫」伝説

室生神社のご神体の龍穴は、伝説によれば、後に大国主命の本妻になる須勢理姫に由緒がある場所らしいです。
その昔、現在、吉祥龍穴となっている洞穴に須勢理姫を入れて岩と赤土で岩戸をふさいで隠まったという言い伝えが残されています。その後、須勢理姫は、その洞穴から西の方角に4kmほど行った現在、白岩神社が鎮座する場所付近にある赤埴白岩に移されました。空となったこの洞穴を中国の伝承になぞって龍穴に見立て、雨の神様を祀って、雨乞いの神事を行ったことが、室生龍穴神社の起源となっているそうです。

また、室生エリアは「九穴八海」伝説などもあることからも分かるように、洞穴や岩穴なども信仰の対象とされてきた歴史があります。現在、吉祥龍穴となっている洞穴にも龍穴信仰が起こり、龍王の住処とされたので、この龍王を祀るために室生龍穴神社が創建されたのではないかとも言われています。

県指定文化財になっている室生龍穴神社の本殿と天岩戸伝説


室生龍穴神社の拝殿の奥にある本殿は、1671(寛文11)年に建てられた朱塗りの春日造りの建造物で、県指定文化財にもなっています。
実は、この本殿は、春日大社若宮社の旧社殿が譲られたものとのことです。

本殿前方の左右両脇には、それぞれ朱塗りされた春日造りの一間社があり、仏教に出てくる弁財天と同一視されることが多い宗像三女神の一柱である市杵島姫命(いつきしまひめのみこと)が鎮座する道主貴神社と、天照大神(あまてらすおおかみ)が天の岩戸へ隠れた際に腕を引っ張って外に連れ出したとされている天手力男命(あまのたぢからおのみこと)という男神が鎮座する手力男神社があります。

ちなみに、天岩戸伝説では、天の岩戸へ隠れた天照大神を外に出させるために芸達者な踊りで気を大いに惹いて大活躍した天錮女命(あめのうずめのみこと)を崇拝していた人の多くが弁財天信仰の広まりによって、弁才天を信仰するようになったとされる歴史があることから、この2柱も同一視する人々も少なくないようです。

室生龍穴神社は、龍神伝説が残る龍神が祀られている神社ですが、天岩戸伝説に関連した痕跡も残る不思議で興味深い要素もあるんですね。

縁結びのパワースポット「連理の杉(夫婦杉)」


室生龍穴神社の境内には、2本の杉の木が根元の方で一体化している「連理の杉(夫婦杉)」があります。この杉は、縁結びのパワースポットにもなっており、夫婦や家庭円満、家運隆盛(りゅうしょう)などのご利益も期待できます。
表から見るよりも、裏側から見ると、2本の杉の木がつながっているのが良く分かります。

奥宮へ向かう途中にある「天の岩戸」


「天の岩戸」と称されるスポットは全国の色々な場所にありますが、ここ室生龍穴神社内にも奥宮へ向かう途中にあります。
前述でもご紹介しましたように、本殿も天岩戸伝説に関連したところがありましたが、白い小ぶりな鳥居をくぐった先に見えるのは、この地の「天の岩戸」。

2つに割れたかの様な、5mくらいもある1対の巨岩にしめ縄がまかれて鎮座。
近くには、祠(ほこら)もありました。

奥宮「吉祥龍穴」へ向かう道中に、ぜひ、立ち寄ってみてください。

古来からのスーパー・パワースポット「吉祥龍穴」

室生龍穴神社のご神体となっている古くから神聖な磐堺(いわさか)となっている奥宮の「吉祥龍穴」。
かなり昔から雨乞いなどの神事が長いこと行われてきたスーパー・パワースポットです。


鳥居をくぐって100段ほどの階段を降りると、「龍穴」が見える「遥拝所」があります。しかし、上からは下にある遥拝所が全く見えず、なによりも人影を全く感じないパワースポット特有の雰囲気。

静寂な空間の中で鳴り響いてるのは、急流の小川の水の音だけ。
下へ降りていくほど、気が変わっていくのを感じました。

10分ほど下ると遥拝所が見えてきて、無事、到着!
この拝殿は土足厳禁なので、用意されているスリッパを履いてから中へあがり、遥拝所から見える龍穴に向かって祈願します。

龍穴のずっと右側には大きな1枚岩の巨岩があり、招雨瀑という滝が流れています。その岩を伝って清流となっている速い流れの小川があります。

そして、遥拝所左側にある口を開けたような洞穴の空間こそが、龍神の住処と伝わる「吉祥龍穴」です。
龍穴の前にも、1枚岩の巨岩を伝って流れてくる清らかな小川が流れています。

100段ほどの階段を下りてきたここまでの道中とは打って変わって、目の目に広がっていたのは、静かですがすがしく清らかさに溢れた空間。
龍神伝説の善女龍王がこの地へ逃れてきたのも分かる様な気がしました。

「吉祥龍穴」へのアクセス方法


「室生龍穴神社」から奥宮「吉祥龍穴」へは徒歩でも可能ですが、片道20分ほどかかり、さらに行きはずっと登り道となっていますので大変です。

車でアクセスする場合は、室生龍穴神社から県道28号を室生川上流に沿って500メートルほど行くと、左側に案内板が出ていますので、そこを左折して林道を入って行きます。
この林道から急に道幅は狭くなりますので、気を付けて運転してください。林道は1車線なので、対向車が来た場合は、道幅がある場所までどちらかが下がってうまくかわさないといけないので、運転は冷や汗ものです。

この林道を登って行くと、500メートルくらいのところに「天の岩戸」が右側にあります。そこからさらに300メートルほど進むと左側に「吉祥龍穴」の看板と白い鳥居があります。どちらの場所も到着地付近は道幅が広めになっているので、車道端に車を停められます。

室生龍穴神社の宮司と御朱印について


現在、室生龍穴神社には常駐の宮司さんはいないので、村人が交代で管理。
そのため、室生龍穴神社の拝殿は閉まっていることが多いですが、月1回程のペースで宮司さんが来る際には、神社の拝殿も開けられるらしいです。
宮司さんは、毎月15日とお正月の9時30分ごろからお昼まで、そして、ゴールデンウィークに不定期にいるそうです。
室生龍穴神社の御朱印は、室生寺の入り口に近い場所で授かることができるとのことです。

室生龍穴神社 基本情報

住所:奈良県宇陀市室生1297
ご利益:慈雨、止雨、開運、縁結び、病気平癒など

書いた人

猫と旅が大好きな、音楽家、創作家、渡り鳥、遊牧民。7年前、ノラの子猫に出会い、人生初、猫のいる生活がスタート。以来、自分の人生価値観が大きく変わる。愛猫を連れ、車旅を楽しむも、天才的な方向音痴っぷりを毎度発揮。愛猫のテレパシーと自分の直感だけを頼りに今日も前へ進む。