日本文化の入り口マガジン和樂web
5月12日(水)
Love the life you live. Live the life you love. (ボブ・マーリー) 映画「HOKUSAI」公式サイトはこちら
日本文化の入り口マガジン 和樂web
日本文化の入り口マガジン 和樂web
5月11日(火)

Love the life you live. Live the life you love. (ボブ・マーリー) 映画「HOKUSAI」公式サイトはこちら

読み物
Culture
2020.04.01

まんじゅう50個、ごはん68杯…⁉︎死にかけた参加者多数! 江戸時代の大食い大会記録

この記事を書いた人

「最近、大食い系のYouTubeにハマってるんですよ〜〜」

スタイルのよい女優さんが『最新ハマっていること』の質問に対してそう答えている場面をよく目にします。なんでも、「たくさん食べたい!」という欲求を擬似的に満たしてくれるんだとか……。

大食いYouTuberが活躍していたり、グルメ系の番組で出演者が大盛りメニューに挑戦していたり、『大食い』は現代でも大人気のカテゴリ。実は、時を約200年戻した江戸時代でも、ガチすぎる大食い大会が開催されていました。なんと、死にかけた参加者もいたそうで。

目を疑う記録続出。江戸時代のやりすぎ大食い大会

江戸中の大食い自慢を集めた大会が、文化14(1817)年に開かれました。会場は、柳橋の町(現在の台東区)にあった人気料亭「万八楼(まんぱちろう)」。大会には、農民から武士、商人など、身分に関係なく約200人が集まったといいます。大会の種目は、『菓子の部』、『蒲焼鰻の部』、『飯の部』、『そばの部』、『酒の部』の5部門。酒の部に関しては、大食いではなくもはや大酒大会ですね。江戸時代の人気読本作者・曲亭馬琴(きょくていばきん)らが編成した随筆集『兎園小説』には、大会の様子が記されています。それらをもとに、参加者たちの無茶しすぎ〜な記録をみてみましょう。

血糖値の急上昇に気をつけて!「菓子の部」

菓子の部は、参加者それぞれが好きなものを食べるシステムのようです。まんじゅうやようかんなどの和菓子から、ん? それって「菓子」カテゴリに入るの? と疑問なものも。

丸屋勘右衛門さん(56歳/神田在住)
まんじゅう:50個
ようかん:7棹
薄皮もち:30個
お茶:19杯

まんじゅうが怖くなってしまいそうな記録……。お茶19杯も衝撃的です。

足立屋新八さん(45歳/丸山片町在住)
今坂もち:30個
せんべい:200枚
梅干:2升
お茶:17杯

せんべい200枚。口のなかがズタズタになりそうですね。新八さんは歯が強い方だったのでしょう。梅干し2升(約1kg)は、想像しただけで唾液が止まらなくなります。

亀屋佐吉さん(43歳/麻布在住)
あま酒:50杯
菜漬:3把

お腹がガボガボになりそう……。

「菓子」ってなんぞや?

ひたすら甘いものを食べてる場面を想像した菓子の部ですが、「せんべい」「梅干」「菜漬」などなど、甘い……? と思うものがたくさん。そこで、「菓子とは」で調べてみたところ、

食事以外に食べる嗜好(しこう)本位の食べ物。多くは甘い。

という検索結果が。現代では、梅干はおにぎりの具の代表として、食事の場で食べられることが多いですが、江戸時代の人々にとってはおやつだったのでしょうか。

いくらでも食べられるゾ!「蒲焼鰻の部」

えっ! ごはんはナシなんですか⁉︎ うなぎの蒲焼だけを食べ続ける「蒲焼鰻の部」は、食べた量ではなく、なぜかその金額が記されていました。

よし野や幾右衛門さん(53歳/本郷春木町在住)
うなぎの蒲焼:1両2分

1両2分……。あまりピンときませんが、日本銀行金融研究所貨幣博物館によると、江戸時代のそばの値段を仮に1杯16文とし、当時の公定相場1両=銭6,500文で計算すると、1両で約406杯のそばを食べられることになるとか。約406杯のそばと同価のうなぎの蒲焼--。蒲焼が超高級だったのか、たくさん食べたのか、結局よくわからない記録です。

あなたならおともに何を選ぶ?「飯の部」

「白米は日本人のこころ!」ですが、白米だけを何十杯も食べるのはつらいものがあります。ごはんのおともが肝になりそうな部門。結果は……?

三右衛門さん(41歳/三河島在住)
ごはん:68杯
醤油:2合

たしかに醤油ごはんは美味しいけれども……。

和泉屋吉蔵さん(73歳/浅草在住)
ごはん:54杯
青唐辛子:58本

吉蔵おじいちゃん、唐辛子58本もなかなかの記録です。辛いもの、好きだったのでしょうか。

噛まずにどんどん流し込むべし⁉︎「そばの部」

そばの大食いと聞くと、わんこそばをイメージしてしまいますが、この大会で使われたのは、しっかり一人前のせいろ蕎麦。大量の薬味が欲しくなりそうです。

山口屋吉兵衛さん(38歳/池之端仲町在住)
63杯

桐屋惣左衛門さん(42歳/新吉原在住)
57杯

鍵屋長介さん(49歳/浅草在住)
49杯

そばの部は、比較的若い3人が参戦。ごはん54杯のあとに、そば49杯をみてしまうと、そこそこ……? と感じてしまいますね。

無理しすぎ注意!「酒の部」

江戸の酒豪が集まった酒の部。トンデモ記録と、トンデモエピソードが残されていました。

鯉屋利兵衛さん(30歳/芝口在住)
3升入りの盃×6杯半

天堀屋七右衛門さん(73歳/小石川春日町在住)
5升入りの盃×1杯半

3升入り、5升入りの盃ってなんやねん! とツッコミたくなりますね。鯉屋利兵衛さんは大会中に倒れ、天堀屋七右衛門さんは帰宅途中で倒れたとか。ふたりとも大事には至らなかったそうですが、ここまでくると命がけの勝負です。

大食いはいつの世も人々のドリーム

実は、今回ご紹介した万八楼の大食い大会の記録は、事実である! とはっきりと言い切れる史料は残されていないそうです。ですが、仮にちょい盛りな内容だったとしても、菓子、米、そば、うなぎ、酒をこんなにたくさん食べたーーい、飲みたーーい!! という江戸の人たちの夢をのぞいたようで、ちょっぴりほっこりした気持ちになりませんか?

現代のわたしたちでも、チョコレートの海に溺れたい! 胃がはち切れるまでお肉を食べたい! ビールのお風呂に飛び込みたい! そんなことを夢見たことが一度はあるはず。いつの世も、好きなものをたらふく食べられる「大食い」は、人々のドリームなんだなぁ〜と感じますね。

ですが、同じものをたくさん食べたり、よく噛まないで早食いしたり、お酒を大量に飲んだりしては、体を壊してしまいます。好きな食べ物と、お酒と、いつまでもともに生きていけるように、健康に気を配った食生活を心がけましょう。

書いた人

1994年生まれのさそり座の女。地元・北千住を愛す。大学在学中、和樂編集部で3年間アルバイトをする。就活に挫折していたところ、編集長に捕獲される。好きになるものの偏りが激しいことが悩み。最近心に響いたコトバは「お酒は嗜好品ではなく必需品」。アルコールは正義だと思っている